防空壕と手すり 平穏な日常を守るもの
昨日、初めてコンクリートを打ちました。
手摺(てすり)をおばあちゃんの家に付けます。
まずは穴掘り。深さ30cmほど掘るだけなんですが、けっこう大変です。
横では、「私は防空壕を掘った!」と豪語するお祖母ちゃん。現代人にとって、あまりに聞きなれない単語に、比較対象とはなりませんでした。
お祖母ちゃんは、長女です。
責任をもって命がけの穴掘りをしている間、妹たちは料理の手伝いをしていました。料理は妹の方が上手なんだそうです。
初めてでも出来るコンクリート
さて、手すりに話はしばらく戻りまして。
現代建築にコンクリートは必須です。
本来のレシピとしては、砂:3 砂利:3 セメント:1 水:1.5をよく混ぜて放置すると出来ます。
でも、今はインスタントコンクリートが売られています。
カップラーメン並みのレシピです。
砕石も大事
穴を掘ったら、砂利を詰めます。
これで荷重に対して安定します。
施工もしやすくなりますし、施工後も荷重をちゃんと受けてくれます。
生コンは早く練る!
本当に道具って大事です。
今回は練り船(コンクリートを練るための入れ物)が、施工後に邪魔になるなーと思って、お祖母ちゃんの家にあったコンテナボックスを使ってコンクリートを練ることにしました。
しかし、深すぎると練り混ぜスコップが使いづらかったり、色々な不便があって、結果的には普通に練り舟を買えば良かったです。
土木の歴史は長いだけあって、専用の道具は専用である理由があるなと感じます。
早くしないと、だんだんと練りづらくなっていきます。筋肉痛を覚悟で素早く混ぜます。(欲を言えば、電動ミキサーが欲しかったー!)
計算を信じる
ちゃんと、必要な体積を計算してインスタントコンクリートと水を混ぜます。
でも、目で見た感じだと「こんなにいる?」と思ってしまいます。
たった直径30cm×深さ30cmの穴に、インスタントコンクリートを33kgと水4リットル強を使うんです。
しかし、そこは最初の計算を信じて施工します。
すると、やっぱり計算通りピッタリにいくんです。
素人だからでしょうが、目算というものが如何に当てにならないかを突き付けられました。
仕上げると「作品」になる
最後に支柱の水平を縦と横にチェックして、支柱についた汚れをふき取ります。
ラッピングをするように、派手に養生をして完成です。(派手にやらないと、ヒューマンエラーで壊されやすくなります。)
ここまでくると、作品だなーと感じます。
二つの防空壕
話は戻って、防空壕。
穴を掘った後は、お父さんが木材で座れるスペースを作ってくれたようです。
長時間も穴に閉じこもるので、少しでも快適にしたいという思いでしょう。
そして、もう一つ穴を掘ったそうです。
それは貴重なお皿などを入れる穴だそうです。
人命を守ることだけが、防空壕の役割じゃないようです。
戦争が終わっても、日常生活を取り戻さなければならない。
防空壕の役割はそういう日常を守るものでもあったのだと、このエピソードから感じました。
人生で最も高価な買い物になると言われる建築物。
建築は非日常的なものです。でも、守ろうとしているものは、働く人も住む人も、みんな平穏な日常なんですよね。
平穏な日常こそ、最も高価な「作品」です。