私はどこでも生きていく ビアトリス
どこに住むのか。
どこで収入を得るか。
「私はどこでも生きていける」と言う人に会ったことがありますか。
自分の地盤を選ばない、逞しい(たくましい)植物がいます。
パイナップル科・グズマニア属・ビアトリスです。
葉の形がパイナップルの葉にそっくりです。
120種ほどあるグズマニア属。ビアトリスは怪獣のしっぽのような見た目です。
特殊な生き方ゆえに、見た目も特殊です。
着生植物という生き方
たいていの植物は土の上に生息します。
安定した水分や養分の供給源だからです。
しかし、ビアトリスは、木や岩などさまざまな物の上に生えます。
コケなどに多いのですが、着生植物(ちゃくせいしょくぶつ)と言います。
岩や木の上に生えたら、植物にとっての収入である水や養分はどうするのでしょうか!?
他に頼らない!
主に、降雨量や霧が多い熱帯雨林に生息します。
水が無いところに生えるので、根から水を吸収しません。
ビアトリスは、葉の集合体で水を溜めて、吸収します!
カットすると、何枚もの葉がミルフィーユ状に重なっていることが分かります。
この葉の中に雨や霧の水を溜めます。
地盤に頼れないからこそ、自ら水を確保し吸収します。
あの葉のデザインはそういう理由なのです。
あらゆるチャンスをキャッチせよ!
上向きの葉です。これも、あらゆる場所で生きていくための知恵です。
上向きであることによって、まず葉の間に水が溜められます。
そして溜めた水中には、カエルなどのゲストが住み着くことがあるのです。
木の上にいるカエルもいます。カエルは皮膚呼吸のために体を水で濡らす必要があるわけです。
このゲストがビアトリスにとっては大切です。
なぜなら、カエルや水生生物が出す排泄物が肥料になるからです!
お互いが助け合っているわけです。
とは言え、ゲストがやって来るなんてマレな事です。
だったら、色々な養分を取り込んだ雨水などをキャッチするしかありません。
それゆえ、上向きの葉なんです!
養分をキャッチするチャンスを常に狙っています。
とにかく強い!
安定した地盤ではなく、厳しい環境で育ったビアトリス。
出身は中米。主に、熱帯雨林に生息します。
しかし、ある程度寒い環境でもすぐに枯れません。
室内環境であれば、花びらのような苞は何ヶ月も色鮮やかなままです。
逆に、冬に水をあげ過ぎてしまうと腐るという特徴があります。
過酷な環境で育ってきた花らしい話です。
ビアトリスは、さまざまな環境で生き延びるためにデザインされています。
そのデザインは人間の目を感動させる迫力と美しさを兼ね備えています。
必死に生きるものは美しいですね。