夏の趣き、生活の機微

夏が本気を出してきた。負けそう、ちょー薄着で寝るのも出かけるのも大好きなのに。

今日は遠くまでお出かけ、っつーことで大阪に来ています。着いて2、3時間しか経ってないのに2軒目の喫茶店。喫煙席の1番奥に座ったら近くの席で耳が痛い就活の話をしている親子がいたので、AirPodsで大好きなバンドの曲を流して耳を塞ぎました。

珍しいアコギのサウンドと軽やかなドラムが耳をくすぐるその上でのびのびとした優しい樂の歌声が響く。私が今聴いてるのは、KOHAKUの新曲、kibiです。
以前タイトルの意味を聞いたとき、「機会の機に微妙の微の”機微”だよ、意味調べてみて」って言ってたね。

『容易には察せられない微妙な事情』

曲を何度か聴いた段階で意味を知ったとき、あぁ、そういうことかー、と思った。

世の中、というか私たちそれぞれの生活、何一つシンプルに動くものなんてなくて、気持ちも流れる時間も人との関係すらも複雑に絡み合っている。なんだか感情がうまく表現できないことも、しばしば。それは、きっとさまざまな原因が積み重なって結果として現れただけで。誰かのそれを感じ取って大切な人を思い遣ることって、結構難しい。

人生楽しいことばかりではないし、もちろん辛いことも、乗り越えられないんじゃないかって思うような難題があることも、22年くらい生きてたら大体わかってきた。

そんなとき、いつでも手を差し伸べてくれるのが大好きなあなたたちだった。

私がどれだけ孤独を感じても、暗い小さな爆音が鳴り響くあの箱に帰れば、みんながいる。フロアにもステージにも私のことを肯定してくれる人がいた。いつでも帰っておいでって、待っててくれてる人たちがいた。

人生うまくいかなくて、思い切った決断をして、そんなの周りから認められないかもしれない、って思ったとき真っ先に一緒に頑張ろうって言ってくれたあなたの優しさは、楽曲にそのまま現れている。あなたたちがみんな優しいから、周りにもその優しさが伝染して、こんなにも居心地が良いいつでも帰って来れると思う場所になっているんだと思う。

はじめてこの曲を聴いた日、きっと人前ではじめてこの曲が披露された日。忘れもしない去年の12月3日。陽だまりは暖かかったけど、風は冷たかった冬の日。50人くらいのキャパの小さな場所でアコギ一本で演奏された、まだタイトルもついてなかった。大切な人たちと聴いたあの時よりも、大切にしたい人はもっと増えました。

日常を大切に、些細なことにすら幸せを感じることって、簡単なことじゃない。視野が狭くなって思い詰めている時、笑えなくなるし、泣けなくなる。去年の12月はそういう時期だったし、今までにもそういうことがあった。そんなとき、”泣けなくなったら、笑えなくなったらすぐに言って”という、些細な変化すらも掬い取って手を差し伸べてくれるような歌詞に、涙が溢れそうになった。
野良猫が戯れ合う裏路地も、街角に灯るガス灯も、きっと1人じゃ幸せを感じることはできなかったと思う。気づけなかったと思う。これすらも幸せと感じる感性があることを教えてくれたことは私にとって大きかったし、この曲には私がKOHAKUを好きな理由を見出せた。

もしも樂が、”退屈もそれはそれで悪くないなんてたまに思う”人じゃなかったら、私はこんなにも共感できてないと思うし、KOHAKUの楽曲は私の支えにもなってない。普段は退屈なんてクソ食らえと思うし、つまんないのなんて嫌。だけど、そんな退屈すら愛おしいと思えるほど日常を大切にできることが、たまに、ある。

たまに、であることが私の中ではとっても重要だし、それが人間らしいなと思ったところ。
嫌なことは誰にでもあるし、それをみんな抱えつつも日常を紡いでることを、このフレーズから感じた。思い遣ってくれるあなたにも、うまくいかないことはあるけどそれでも私に優しさを分け与えてくれることは、決して当たり前じゃないなと思う。より一層あなたを愛おしく想う。

あなたが私たちに見せない大変なことや辛いことがあることも、私には見せないけど誰かには見せる一面があることも、心の何処かではわかってるよ。その逆も然りで、私もあなたに見せていない一面もあるよ。それを見せてなんて言うつもり一切ない、今までも、これからも。なんでもいいけど、いなくならないでね。

大切な、大切なあなたがいなくなったら私どうなっちゃうか想像もしたくないよ。
できればずっと、見えるところにいてね、私も追いかけていくから。

もしも、もしもだよ。この先、私とあなたが別々の道を歩くことになっても、あなたにもらった気持ちとか、あなたと過ごした時間とか、あなたがいたから見れた景色とか、一緒に見たもの、共有したこと、全部全部大切に抱きしめて進んでいきたいよ。

それぞれの楽曲の表情が全然違って見えるのは、間違いなくあなたの音色とアプローチのおかげですよ。愛おしくて誇らしいあなた。これからもどうか自分や大切な人の機微を大切にできる素敵な人でいてね。

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