きみでしか

大事で、いつか来る別れの日までは予定調和的に一緒にいられると思ってた、そんな関係が心地よかった人が私から離れていった。好きとか嫌いとかよくわからないし、その人はただ常に憎くて愛おしかった。

酔っ払った君は特に可愛かった。私と飲んでても私の方が弱いから、酔っ払った君なんて見れないけど誰かと飲んだ後にうちに来たときは、うるさくて鬱陶しくて明日の朝にはぶん殴ってやろうと思って、だけど朝起きたら昨夜の粗相なんてまあどうでも良くなっている人だった。

私の扱いは雑だし、私に対しての態度は恋人にするそれとはかけ離れていたし、私のことどう思ってんのなんて気にかけたこともなかったし、聞く気も聞く勇気もなかった。年上の私に「お姉さんでしょ、奢ってよ」と言ってくるお前のこといつぶん殴ってやろうかと考えていたのに、いきなり消えてったねえ。

いつも遠くはない近目の場所にはいてくれると思っていた、お前がいなくなって、私はどうしたらいいかわからなくなってしまった。そういえば、この間ネイル短くしたんだよ、とか、HUNTER×HUNTERいま、120話までいったよもうネタバレすんなよとか話したいこと、はたくさんあった気がする。そんなの代わりの誰とでも繰り広げられる会話、と思ったけど、この会話、代わりになれる人が限られているななんて思ったりもする。思えば、私は君と出会ってからずっと明るすぎる金髪だし、ロングネイルだし、HUNTER×HUNTERは君から教えてもらって見始めたもの、だよなあ。今すぐにでも見るのやめたいけど、あと28話で終わるし、なんなら惰性でなんだかんだ見続けているキメラアント編ももうすぐ終わりそうな節まである。わざわざあまり使わないアマプラログインしてみてるんだから、とりあえず最後まで見てしまおうなんて思ったり。

恋愛感情の有無はわからないし分かりたくもないけど、ただ今は喪失感に襲われている。ただ1人大切だった人が近くからいなくなってしまった、それは私が君をどう思っていたかに関わらず、悲しい真実なことに変わりはない。まあ確かに、私たちはどちらかに恋人ができてしまったら終わる関係ではあった。それに君には私みたいな人が多分他にもたくさんいた。だからこそ安心してたし、終わらんと思ってた。今までだったらうまくいってる女の子の話いつもしてたのに、なんも言わずに急に彼女作ってた☆どういうことーて思ったよ、正直ね。

君にはいっぱい他もいたのかもしれないけど、はいさようならでいきなり切るにしては、あまりにも長い期間一緒に居過ぎた。たった一言で半年以上の全てを終わらせるのは私にはあまりにも突然すぎた。こんなに長く一緒にいたのも君が初めてだし、あんなにタバコを一緒に吸った人も君くらいだし、二日酔いの看病で雑炊作ったのも君が初めてだし、多くはないけど少なくはない印象的な出来事が私の心を満たしていたんだなと今更実感している。
それを聞かされたのが昨日で、明日になればあなたの温もりも忘れて日々に戻れると思ってたんだけど、昨日はね。でももう私は知らないうちに君でしか満たされない僕になっていたみたいで、やり場のない思いをこのnoteに消化しているんだけど。本当に思えば大した人じゃなかったし勝手で最低だったお前のこと嫌いなのに、ただ涙も出なくて心に穴が空いた感じなんだよな。


これでいきなり夜中に酔っ払いを家にあげることも、バイト終わりに家に遊びにくる人もいなくなるし、マックももう奢らなくていいし、オアシスパールを分けてあげる必要も無くなったし、部屋が汚いって怒られることも無くなった。

すっきりした、と思えばいい。奢らなくて済むから自炊だっていくらでも頑張ればいいし、買おうとしてるswitchも自分1人でいっぱい楽しめばいい。

君でしか満たされない僕との訣別。私を満たしてくれるものはこの世にたくさんあると知る新たなものたちとの出会い。グッドバイ一文字目の匂い。悔しいけど私は君がいいって褒めてくれてちょっとだけ歌ってくれたシティーガールが忘れられないよ。いつか私が勧めたバンドの曲を聴いたり目にするたびに私を思い出して苦しめばいいのにと、忘れてしまうまでは思っています。


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