チビTを着せたい、山田先輩
人のサポートが得意な山田先輩。
文化祭など、ベントのときは「俺のクラスのサポートしてもらうんだ!」「いや、この時間からは部のもんだろ、山田さんは」と、取り合いになるぐらい。
面倒見もよく、怖いけど後輩からの信頼も熱い。
ただ、徹夜明けでも朝からスーパーカップを食べれるぐらい元気すぎて、それを強要しがちな山田先輩は、私は苦手だった。
イベントTが渡される日。
山田先輩は3Lぐらいがちょうどだと思われるのに、Lを着ていた。
(なぜ、そんなピチピチを。あー嫌だ。ケツ見えてるじゃん。)
「はい、これ、早く着てきて」
渡してきたのはSだった。
(私、Lゆったり着たい派なんですけどー。)
言えるわけがなく、おしりが気になってしょうがなかった。
山田先輩の手伝いをしているとき、私はミスをしてしまった。
飲み物のストローを忘れてしまったのだ。
小さなことにも目のいく山田先輩にとっては耐え難いミス。
その日から山田先輩は、他の人の前では話してくれるけど、2人になると話し掛けても挨拶すら返してもらえなくなった。
私は他にも色々重なり、部を辞めることにした。
顧問、部長には報告したが、他の人には言わないことにした。
辞めた日。
山田先輩から長文のメールがきた。
それは退部の報告をしないことが、いかに無礼なことかということを説明したものである。
私は何度も読んだ。
けど、なんと返事をしたらいいか分からなかった。
「おはようございます」が届かない先輩に、「辞めます」と言うことに意味があるのかなぁと。
でも、自分も悪いと思う部分もあって。
結局、長文メールは友達が「えいっ‼️」と消してくれた。
「お前はどうせ、何日も考えたって絶対返信しない。」からだそうだ。
部屋着にすら出来ないチビTも速攻捨てた。
今なら言えるなぁー。
「無礼ですいません。そのメールもみんなに見せながら送ってきたんですよね?そんな人に言われたい言葉も言いたい言葉もありません。」
言えたら良かった。