船舶法の現代語(口語)訳:仮訳
(日本船舶の範囲)
第1条 次の船舶を日本船舶とする。
日本の官公庁が所有する船舶
日本国民が所有する船舶
日本の法律に基づいて設立された会社で、その代表者全員と業務執行役員の3分の2以上が日本国民であるものが所有する船舶
前三項に該当しない法人であって、日本の法律に基づいて設立され、その代表者全員が日本国民であるものが所有する船舶
(国旗掲揚の制限)
第2条 日本船舶でない船舶は、日本の国旗を掲げることはできない。
(不開港場寄港および日本各港間運送従事の制限)
第3条 日本の船籍を持つ船舶(日本船舶)以外は、一般に船舶の入港が禁止されている港(不開港場)に入港すること、および、日本の港と港の間で貨物や人を運送することはできない。ただし、法律や条約で別段の定めがある場合、海難(船の事故)や捕獲(海賊など)を避けようとしている場合、または国土交通大臣から特別な許可(特許)を得ている場合は、この限りではない。
(船籍港および総トン数測度)
第4条 日本の船を持っている人は、日本の港(船籍港)を決めて、その港を管轄している海事の役所(管海官庁)に、船の大きさを測る手続き(測度)の申請をしなければならない。
2. 船籍港を管轄する海事の役所は、他の海事の役所へ船の大きさを測る手続きを依頼することができる。
3. 外国の港で船を買った場合、その船を外国の港の間で航海させるときは、船を持っている人は、日本の領事館に船の大きさを測る手続きを申請することができる。
(新規登録と船舶国籍証書)
第5条 日本の船を持っている人は、(船の所有権に関する)登記を行った後、船籍港を管轄している海事の役所(管海官庁)に備えられている船の記録簿(船舶原簿)に、その船を登録しなければならない。
2. 前項の登録が終わると、海事の役所は、その船が日本の船舶であることを証明する書類(船舶国籍証書)を交付しなければならない。
(船舶国籍証書の検認)
第5条の2 日本の船を持っている人は、国土交通大臣が定めた期限までに、船の船舶国籍証書を、その船の船籍港を管轄している海事の役所(管海官庁)に提出し、確認を受けなければならない。特別な事情がある場合は、最寄りの海事の役所でも手続きをすることができる。
2. 上記の期限は、船の船舶国籍証書をもらった日、または前回確認を受けた日から、大きな鉄製の船(総トン数100トン以上)は4年、それより小さい鉄製の船は2年、木製船は1年が経過した日以降とする。
3. 船が外国にいる場合や、他のやむを得ない理由で、上記の期限までに船舶国籍証書を提出できない場合は、その期限までに船の所有者が理由を説明して申請すれば、海事の役所は提出期限を延ばすことができる。しかし、延ばされた期限までにも提出できない場合は、再び期限の延長を申請することができる。
4. 日本の船を持っている人が、上記の期限までに船舶国籍証書を提出しないときは、その船舶国籍証書は無効とする。この場合、海事の役所は、船の記録簿からその船の登録を抹消しなければならない。
(国旗掲揚または航行開始の要件)
第6条 日本の船は、法律に特に定めがある場合を除き、船舶国籍証書か仮船舶国籍証書を受け取った後でない限り、日本の国旗を掲げたり、航海したりすることはできない。
(船舶所有者変更時の措置)
第6条の2 船の所有者が変わった場合、新しい所有者は、船舶国籍証書を書き換える手続き(書換申請)をしてからでないと、その船を航海させることはできない。ただし、所有者が変わったことを知ったときから2週間以内は、この限りではない。
(国旗の掲揚および名称等標示の強制)
第7条 日本の船は、法律で定められた方法に従って、日本の国旗を掲げ、船の名前、船籍港、船の番号、船の大きさ(総トン数)、船の喫水線(喫水)その他の事項を標示しなければならない。
第8条 削除
(修繕の場合の総トン数改測)
第9条 船の所有者が自分の船を修理して、船の大きさが変わったと認められる場合は、遅滞なく、その船の船籍港を管轄する海事の役所(管海官庁)に、船の大きさを測り直す(改測)手続きの申請をしなければならない。
2. 4条2項および3項の規定は、前条の場合に準用する。
(登録事項変更の登録)
第10条 船舶に関する登録事項に変更が生じた場合、船舶の所有者は、その事実を知った日から2週間以内に、変更の登録を行わなければならない。
(船舶国籍証書の書換)
第11条 船舶国籍証書に記載されている内容に変更があった場合、または船舶国籍証書が破損した場合、船舶の所有者は、その事実を知った日から2週間以内に、国籍証書を書き換える申請をしなければならない。
(船舶国籍証書の再交付申請)
第12条 船舶国籍証書を紛失した場合、船舶の所有者は、その事実を知った日から2週間以内に、新たに国籍証書を交付してもらう申請をしなければならない。
(仮船舶国籍証書の交付)
第13条 日本の船が外国の港に停泊している間に、船舶の国籍証書が失われ、破損し、または記載事項に変更が生じた場合は、船長はその場所で仮の船舶国籍証書の交付を受けることができる。
2. 日本の船舶が外国を航海している途中で、1項に記載されたような事由が生じた場合は、船長は最初に到着した場所で仮の船舶国籍証書を交付を受けることができる。
3. 前2項の規定に従って、仮の船舶国籍証書を交付を受けることができなかった場合は、その後最初に到着した場所で、これを交付を受けることができる。
(抹消登録)
第14条 日本の船舶が失われ、沈没し、解体され、日本の国籍を失い、第20条に掲げる船舶になった場合、または船舶の所在が3か月間不明な場合は、船舶の所有者は、その事実を知った日から2週間以内に、船舶の登録を抹消する手続きを行い、遅滞なく船舶の国籍証書を返還しなければならない。
2. 前項の場合に、船舶の所有者が登録抹消の手続きを行わないときは、管海官庁は1か月以内に手続きを行うよう催告し、正当な理由なくなお手続きを行わないときは、職権で登録抹消の手続きを行うことができる。
(仮船舶国籍証書の交付)
第15条 日本国内で船舶を取得した者が、その取得地を管轄する海事局の管轄区域内に船籍港を定めない場合は、その海事局の所在地において、仮の船舶国籍証書の交付を受けることができる。
第16条 外国で船舶を取得した者は、その取得地において仮の船舶国籍証書の交付を受けることができる。
2. 第13条第3項の規定は、前項の場合に準用する。
(仮船舶国籍証書の有効期限)
第17条 外国で交付された仮の船舶国籍証書の有効期間は、1年を超えることはできない。
2. 日本国内で交付された仮の船舶国籍証書の有効期間は、6ヶ月を超えることはできない。
3. 前2項の期間を超えても、やむを得ない事情がある場合は、船長は改めて仮の船舶国籍証書を交付を受けることができる。
(仮船舶国籍証書の失効)
第18条 船舶が船籍港に到着したときは、仮の船舶国籍証書の有効期間が満了する前であっても、その効力を失う。
(手続規定の準用)
第19条 第11条から第14条までの規定は、仮の船舶国籍証書について準用する。
(適用除外)
第20条 第4条から第19条までの規定は、総トン数が20トン未満の船舶や、オールや櫂(かい)のみで航行する船舶、または主にオールや櫂で航行する船舶には、適用しない。
(省令への委任)
第21条 前条で規定した、総トン数が20トン未満の船舶や、オールや櫂で航行する船舶の船籍や総トン数の測度に関する細則は、小型船舶の登録等に関する法律(平成13年法律第102号)とその関連する政令に特別な定めがある場合を除き、省令で定めるものとする。
2. 前項の省令には、必要な罰則を設けることができる。
3. 前項の省令で定めることができる罰金は、20万円以下とする。
(臨検)
第21条の2 管轄海事機関は、船舶の総トン数、登録、または標示について、必要と判断した場合には、いつでもその職員を船舶に臨検させることができる。この場合、当該職員は、身分を証明する証票を携帯していなければならない。
(行政手続法の適用除外)
第21条の3 「行政手続法」の第2章と第3章の規定は、船舶の登録手続きや、船舶国籍証書・仮船舶国籍証書の発行に関する処分には、適用されない。
(罰則)
第22条 日本の国籍ではない船舶が、日本であると偽る目的で日本の国旗を掲げたり、日本の船舶の国籍証書や仮の船籍証書を使って航海した場合、船長は2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる。この場合、船長が所有または占有しているその船舶を没収することができる。
2. 前項の規定は、船舶が捕獲を避けるために一時的に日本の国旗を掲げた場合は、この条項は適用されない。
3. 日本の国籍の船舶が、日本であると偽る目的で日本の国旗以外の旗を掲げた場合も、前二項と同様の罰則が適用される。
第22条の2 船長が、海事機関の職員による臨検の際に提示するために、他の船舶の船舶国籍証書や仮の船舶国籍証書を船内に持ち込み、その船舶を航行させた場合は、船長は2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる。この場合、船長が所有または占有しているその船舶を没収することができる。
第23条 第3条、第6条、または第6条の2の規定に違反した場合、船長は2年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる。この場合、船長が所有または占有しているその船舶を没収することができる。
第24条 官公署の職員を欺いて、船舶の登記簿に虚偽の登録をさせた者は、2月以上の3年以下の懲役刑に処される。
2. 前項の罪の未遂も罰せられる。
第25条 削除
第26条 第7条の規定に従わずに日本の国旗を掲げた場合、船長は50万円以下の罰金に処される。
第27条 第7条で定められた事項を船舶に表示しなかった場合、または第9条から第12条、もしくは第14条の規定に違反した場合、船舶の所有者は50万円以下の罰金に処される。
第27条の2 第21条の2の規定による臨検を拒み、妨げ、または忌避した者は、30万円以下の罰金に処される。
第28条 第22条、第22条の2、第23条、および第26条の規定は、船長の代わりにその職務を行う者にも適用される。
第29条 船舶所有者の代表者、代理人、使用人その他の従業者が、船舶所有者の業務に関し第27条に違反する行為をした場合、行為者を罰するだけでなく、船舶所有者に対しても同条の刑を科すことができる。
2. 法人の代表者または法人もしくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人もしくは人の業務に関し第27条の2に違反する行為をした場合、行為者を罰するほか、その法人もしくは人に対しても同条の刑を科すことができる。
第30条 削除
第31条 削除
(外国における管海官庁の事務)
第32条 日本国内において船舶に関する事務を取り扱う管海官庁の仕事は、外国においては日本の領事が行う。
2. 領事が行う上記の事務に関する処分や不作為に対して不服がある場合の審査請求の手続き、その他の必要な事項は政令で定める。(ただし、行政不服審査法で定められた事項を除く。)
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