開示請求は本当に自分でできるのか②
開示請求が認められる要件とは
あなたが、「この書き込みは絶対に私のことを侮辱している!開示請求してやる!」と思ったとしても、なんでもかんでも開示請求できる訳ではありません。
あなたに名誉権や肖像権、プライバシー権がある一方で、書き込みをした方にも、表現の自由やプライバシー権があります。
あなたがスマートホンで何気に掲示板に投稿したとして、掲示板の管理者やスマホのキャリアが、請求されるがままにあなたのIPアドレスや住所氏名を第三者に公開してしまったらたまったものじゃないですよね。
開示請求が認められるためには、下記の3つの要件が必要となります。
・あなたに向けられた投稿であること(同定可能性)
・あなたの権利を侵害する内容であること(権利侵害の明白性)
・開示を受ける正当な理由
あなたのことを対象とした投稿かどうか
まずはその投稿があなたのことを対象としたものであることが第三者からみてわかる内容でなくてはいけません。これを同定可能性をいいます。
第三者からみてわかる内容ということがポイントです。あなたが自分のことだと思っても、第三者があなたのことだと分からなければ開示請求はできません。何故なら、誰のことか分からなければ、あなたの権利は侵害されていないからです。
同定可能性では主に下記のようなことが問題となります。
・ハンドルネーム
・伏せ字
・源氏名
たとえば書き込みにあなたの本名や住所、会社などを記載したうえで誹謗中傷をしていた場合、それはあなたに対する誹謗中傷であることは明らかですよね。
同定可能性は、一般の第三者がその投稿を見た時に誹謗中傷の対象者を特定できる可能性があるかという基準(一般読者基準)で判断します。
ハンドルネームや、伏せ字、源氏名だと一部の限られた人にしか特定できないようにも思えますが、他の人に言いふらす可能性がありますよね。一部の限られた人から不特定多数の第三者に伝播する可能性があれば同定可能性があるといえます。これを伝播性の理論といいます。
あなたの権利を侵害する内容かどうか
書き込みがあなたについてのものだと第三者からみてあきらかである場合は、つぎにその内容が問題となります。開示請求をするには、その内容が、あなたの権利を侵害している必要があります。
開示請求で主に問題となるのは下記のような権利です。
・名誉棄損
・名誉感情の侵害
・プライバシーの侵害
・著作権の侵害
・脅迫
開示を受ける正当な理由
開示請求をするには正当な理由が必要です。興味本位で知りたいだけでは駄目なのです。
加害者に対する損害賠償請求や刑事告訴のためなど、自身の権利侵害を救済するためであれば、この正当理由は認められるでしょう。