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クリニックの開業資金はいくら?診療科目別の目安と資金調達方法を解説

クリニック開業を検討中の医師にとって、「どれくらいの開業資金が必要か」を知りたい人も多いと思われます。一般的に、クリニックの開業資金は5,000万円から1億円程度が目安です。ただし、この金額は診療科目や開業地域によって変動します

クリニックを開業する場合、全体の1〜2割を自己資金として準備し、残りを融資で調達するのが一般的です。

本記事では、クリニックの開業に必要な資金について詳細に解説していきます。その他にも、各診療科目別の開業資金の内訳、利用可能な資金調達方法も紹介。

ぜひ本記事の内容を参考に、より具体的な開業プランを検討してみてください。


クリニックの開業資金にかかる初期費用と運転資金

クリニック開業には多様な初期費用が必要です。物件、改装、医療機器、人材など、費用は多岐にわたります。以下の表で一般的な初期費用項目をご確認ください。

運転資金と内訳

初期費用に加え、運転資金も必要です。運転資金の内訳は以下の表にまとめました。

クリニック開業直後は、診療報酬が入金されるまでに時間がかかるため、収入が安定しないことが一般的です。

開業初期には予期せぬ支出が発生する可能性があるため、最低でも2~3ヶ月分の支出をカバーできる運転資金を用意しておきましょう

クリニック開業における診療科目別、開業資金の相場

内科

内科の多様な専門分野を一覧できるよう、以下の表にまとめました。

内科クリニックの開業には、診療内容や設備の充実度によっても資金が異なります。特に内視鏡検査などを行う場合は、専用の設備やスペースが必要となり、費用が増加することがあります。

整形外科

整形外科の開業費用は、テナントの場合6,000万円から8,000万円、戸建ては1億2,000万円から1億5,000万円程度が必要です。

診療・リハビリスペースの確保や、X線撮影装置、リハビリ機器など高額な医療機器の導入が必要なため、他科と比べて初期費用が高くなる傾向があります。


脳神経内科・外科

基本設備のみで近隣医療施設と連携する場合、5,000万~6,000万円程度で開業可能です。

一方、CTやMRIなどの高度な設備を導入すると、1億円から3億円程度の資金が必要となります。具体的には、自前でCTやMRIを所有する場合、2億円前後の開業資金が必要となることもあります。


皮膚科

皮膚科クリニックの開業資金は、一般的に2,000万円から6,000万円程度で、規模や診療内容により変動します。

主な費用には、テナント料・内装工事費約2,000万円、設備費約500万円(美容用レーザー機器を除く)、広告宣伝費や運転資金などその他の費用約800万円が含まれます。


耳鼻咽喉科

耳鼻咽喉科の開業には、一般的に4,000万円から8,000万円程度の資金が必要とされています。

この金額には、不動産関連費用、内装工事費、医療機器費用が含まれます。具体的には、敷金や礼金などの不動産費用に約3,000万円、内装工事に約2,000万円、診療ユニットや防音室などの医療機器に2,000万〜2,500万円が必要です。

さらに、家具・家電、電子カルテシステム、マーケティング費用なども考慮する必要があります。


眼科

眼科クリニックの開業資金は、診療内容や設備によって大きく変動します。

土地・建物費用は約3,000万円から、設備費用は約2,000万円から4,500万円程度が必要です。手術を行わない場合の総開業資金は約5,000万円から7,500万円が一般的ですが、手術を行う場合は1億円から1億5,000万円程度に跳ね上がることがあります。

白内障手術やレーシックなどの手術を行う場合は、手術用機器のコストが追加でかかるため、資金がさらに必要になります。


泌尿器科

泌尿器科の開業には、約2,500万円から1億円の資金が必要です。

この幅は医療機器、立地、規模により変動します。電子カルテや超音波診断装置などの機器導入に2,000万円から3,000万円、内装工事に2,300万円から3,200万円が一般的です。

敷金保証金、運転資金、広告費を含めると総額は7,000万円から1億円に達することもあります。


小児科

小児科クリニックの開業には通常4,000万円から7,000万円の資金が必要です。

土地・建物費用は3,000万円以上、医療機器や電子カルテなどの設備費用は約1,000万円程度です。他科に比べ医療機器投資が少なく初期費用を抑えられますが、広い待合・診療スペースの確保が重要なため、内装費用への投資が欠かせません


産婦人科

産婦人科クリニックの開業には、通常5,000万~6,000万円程度の資金が必要です。

その内訳は、土地・建物に約3,000万円、超音波診断装置などの設備に約2,000万円です。不妊治療や分娩サービスを提供する場合は、さらに高額な設備投資が必要となり、総費用が増加する可能性があります。


クリニック開業時の資金調達方法

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」

日本政策金融公庫の「新創業融資制度」は無担保・無保証で低金利の融資を実現し、資産の少ない開業者でも利用しやすい特徴があります。

審査基準が比較的緩やかで、開業前でも融資を受けられる点も大きな利点です。設備資金として最大7,200万円、運転資金として最大4,800万円まで融資可能で、創業者や中小企業の支援に特化しています。


民間金融機関

都市銀行、地方銀行、信用金庫などの民間金融機関から融資を受けることが可能です。

これらの機関では、金利や返済期間について柔軟に交渉できる余地が多くあります。ただし、金融機関によって提示される条件は異なるため、複数の機関と交渉し、最適な条件を見つけることが重要です。

また、民間金融機関は審査から融資までのプロセスが比較的迅速で、急を要する資金調達にも適しています


医師会や地方自治体

医師会の開業支援ローンは、各都道府県の医師会が提供し、医師会加入が条件となることが多く、条件は医師会ごとに異なります。診療所取得や設備資金、運転資金、入会費用などの借り入れが可能です。

一方、地方自治体の制度融資は、自治体が信用保証協会と連携して提供する低金利・固定金利の融資制度です。信用保証料を支払うことで金利優遇や保証を受けられ、自治体が一部負担するケースもあります。いずれも事前に詳細確認が必要です。


福祉医療機構・リース企業

福祉医療機構は国の政策の一環として、医療施設整備に必要な資金を提供しています。

融資限度額は施設の種類や規模により異なり、診療所では2,500万円から4,500万円程度が一般的です。

一方、リース企業は医療機器導入時にリースを提供し、初期費用を抑えることができます。これにより、高額機器購入の代わりにリース料を支払うことで手持ち資金を温存でき、また経費計上による簡単な税務処理や、銀行融資枠とは別枠での資金調達が可能となります。


一般社団法人でのクリニック開業がおすすめ

クリニック開業には診療科目により5,000万円から1億円程度の資金が必要です。

主な費用は以下のとおりです。

  • 物件取得

  • 内装工事

  • 診療設備

  • 運転資金など

クリニック開業には、通常、全体資金の1〜2割の自己資金が必要になります。残りは日本政策金融公庫や民間金融機関からの融資で調達するのが一般的です。

このような資金調達の観点から、最近では、一般社団法人形態での開業が注目されています。一般社団法人は、医療法人と比較して設立時の出資金に関する規制が緩やかで、より柔軟な資金計画が可能です。

また、運営面でも理事会の承認のみで迅速な意思決定ができるため、変化の激しい医療環境に対応しやすいという利点があります。

ソクラク開業支援」は、クリニック経営経験を持つ医療コンサルティング会社として、一般社団法人での設立に特化したサービスを提供しています。経験豊富な専門家が、設立の詳細な助言から現場の課題解決まで、トータルにサポート可能です。
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