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地方開発者の私的Mac40年
2024年、Apple社のMacintoshが発売されて40年となります。
私は1985年にMacを購入しアプリ開発者としてMacを使い続けてきました。
ごく個人的な内容にはなりますが思い出すまま記事にしていこうと思います。
思い出すまま、資料や実物を発掘した順に書くことになるのでたぶん年代順には書けません。
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順次公開します:
ここまで昔のことを調べて書いてきて、自分の作ったソフトウェアについて書き残すことの大切さに気がつきました。
料理人とは違いプログラマーは作ったものが残ると思っていたのですが、ソフトウェアにもそれを動かすコンピューターにも寿命があり旬もある。
旬を過ぎた自分で作ったソフトウェアについて書き残すのは自分しかいないので。
番外編:
現地時間の2024年1月24日40歳になったMacのイベントが開催されるそうです:
動画が公開されています【2024年1月31日加筆】:
簡単な自己紹介
札幌在住のアプリ開発者です。
1985年にMacintosh 512Kカナを購入して以来Macを使っています。
1986年頃からMac用のユーティリティーやアプリケーションを作成しはじめました。
株式会社エスデーエンジニアリング、株式会社コーシングラフィックシステムズでもMacアプリを開発し、2001年に独立しました。
現在はiOSアプリ開発を中心にnoteに開発記事なども書いている。
モトローラのMC68000にはじまり、PowerPC、Intelそして現在のApple SiliconまでMacで使われたすべてのCPUでアプリ開発をしてきました。
長く仕事でMacと付き合ってきたので膨大なガラクタがあったのですが、残念ながら既に処分してしまったものも少なくありません。
(ダンボール箱の中に埋もれているものもまだありそうです)
何を作ってきたか
Macintoshを購入後、雑誌の広告などでMac関連の日本の会社(特に独自の製品を発表しているところ)を注目していました。
株式会社エスデーエンジニアリングの社員だった当時、東京のエーアンドエー株式会社に押し掛けて行きMacについていろいろ教えていただきました。
当時発売されたパソコン用白黒スキャナーをMacで利用可能にする仕事をエーアンドエー株式会社から受注したのをきっかけに、少しずつMacプログラミングのスキルを積み上げました。
注:会社名は当時のものです。
株式会社エスデーエンジニアリングは札幌にあった会社です(社長は塩野氏)。
当時はまだインターネットはなかったので当時の情報はあまりありません。
【⚠️現在「株式会社エスデーエンジニアリング」で検索し表示される札幌の企業とは無関係です。】
八戸ファームウエアシステム株式会社は札幌にあった会社です(社長は八戸氏)。
株式会社コーシングラフィックシステムズ(社長は松田氏)は2003年に解散しました。
🟢 1986〜1987年
Mac Scan(エーアンドエー株式会社から発売)を開発
NECの白黒スキャナをMacで利用するユーティリティ
HS-Mac(八戸ファームウエアシステム株式会社から発売)を開発
ハンディスキャナをMacに接続するソフト
SV-Mac(八戸ファームウエアシステム株式会社から発売)を開発
画像取り込みソフト
フォントカプセル(八戸ファームウエアシステム株式会社から発売)を開発
PCカードで出ていたフォントを使う文字加工ソフト
🟢 1988年
MacShadow(エーアンドエー株式会社から発売)を開発
建築日影計算ソフトウェア(私の担当は最初のバージョンのみ)
ScanMini(エーアンドエー株式会社から発売)を開発
手軽なスキャナDA
北斗(株式会社エスデーエンジニアリングから発売)を開発
毛筆ベクトルフォントジェネレータ(Macで毛筆フォントを扱えるアプリ)
アプリの中で毛筆フォントをレイアウトして、コピー用の素材にできた。
毛筆のフォントは当時の社長が独自に作成したものでした。
SnapWriter(八戸ファームウエアシステム株式会社から発売)を開発
ハンディプリンタ制御ソフト
🟢 1989年
北斗バージョン1.1(株式会社エスデーエンジニアリングから発売)
北斗のアップデート版
72ポイントフォントシリーズ開発
大雪(行書体毛筆)、石狩(勘亭流)、阿寒(角ポップ)、摩周(丸ポップ)、十勝(楷書体毛筆)
漢字Talkで利用可能な日本語フォントで一部はJIS第2水準まで提供した
★JDC(Japan Developers Conference)に参加
🟢 1990年
リーフ(株式会社エスデーエンジニアリングから発売)
ベクトルフォントが特徴のDraw系ソフト
MacDrawに北斗の機能を合体させたようなアプリです。
72ポイントで提供していたフォントのベクトルフォントを利用可能だった。
(私の移籍後にカラー対応版にアップデートされたようです)
★株式会社コーシングラフィックシステムズに移籍
🟢 1991年
たまづさ(株式会社コーシングラフィックシステムズ)
縦書き原稿用紙ワープロ
独自にアンチエイリアスした文字表示をもうけるなど随所に工夫を凝らした。
結果的に当時まだ一般に残っていた『Macは日本語が苦手』とのイメージを払拭するのに一役買えたと自負している。
🟢 1992年
パワーキーパー(株式会社コーシングラフィックシステムズ)
PowerBookに最適な秘書役ソフト
System7の新機能を駆使したPIMソフト。
PowerBook 100に触発されて作ったプログラム。
PowerBookがスリープしていても予定時刻になるとスリープを解除し予定を知らせる機能を搭載させた。
予定の通知には文字だけでなく音声も使った。
🟢 1993年
特注たまづさ開発開始
放送局(民放TV)専用ニュース原稿システム
特注仕様にカスタマイズして納品
ディフェンス7(株式会社コーシングラフィックシステムズ)
追加インストールや削除からMacを守るユーティリティ
🟢 1994年
★日経MAC誌 いんさいどまっきんとっしゅ ファイルのなぞ執筆
たまづさ2.0(株式会社コーシングラフィックシステムズ)
PowerPC最適アプリケーション
Power Macintoshの登場にあわせていち早くPowerPCネイティブにバージョンアップした。
同時にMac OSで標準化されたインライン変換にも縦書きで対応した。
あわせてツール・キャレット・ヘルプの拡大などユニバーサルに使える工夫を盛り込んだ。
🟢 1995年
★はじめてWWDCに参加
★OpenDoc 録音パーツVoiceMemo発表
たまづさのQuickDrawGX対応版試作(未発表)
札幌で開催した「Macintoshの匠たち」でパワーキーパーの次期バージョン先行発表
🟢 1996年
パワーキーパー2.0(株式会社コーシングラフィックシステムズ)
QuickTimeムービーのエージェントとスピーチを利用したアニメエージェントが予定を知らせる秘書役ソフト
私の製品でははじめてパッケージにCD-ROMを同梱した。
(それまではCDドライブを持たないユーザーのため、ソフトはフロッピーディスクで提供していた)
Coplandが登場しても大丈夫なように機能拡張をバックグラウンドで動作する起動項目に変更した。(が、Coplandは結局現れなかった)
★MacFan誌 OPEN THE TECHNOLOGY連載開始
🟢 1997年
エージェントメーカー(株式会社コーシングラフィックシステムズ)
音声認識を利用したエージェント作成ソフト
Mac OS のスピーチ機能を応用し
1:かな文字を発音する機能(英語ボイスを使った擬似日本語)
2:音声認識機能(英語のみなので認識率は低かった)
3:発音に同期した顔のアニメーション
を開発した。
🟢 1998年
ディフェンス8(株式会社コーシングラフィックシステムズ)
MacOS8対応Macを守るユーティリティ
Macを公共の場で利用したり子供に使わせるためのソフトウェアだがユニバーサルに使えるように工夫をこらした。
TypeTalker(株式会社コーシングラフィックシステムズ)
打ったそばから読み上げる聴覚刺激エディタ(英文用)
打ち込んだキーと単語の発音、文章の発音をリアルタイムでおこなうエディタ。MacintoshのSpeechテクノロジを利用。
🟢 1999年
ジャンボエディタ(株式会社コーシングラフィックシステムズ)
見やすく快適なMac用エディタ
メニュー・開く/保存ダイアログ・検索ダイアログなど可能な部分はすべて拡大表示したユニバーサルなソフトウェア。
画面の拡大と本体の性能向上でこのようなソフトが実用になった。
ジャンボスクロール(株式会社コーシングラフィックシステムズ)
拍手でスクロール表示をおこなうジャンボエディタ専用ユーティリティ
ジャンボエディタをビューアーとして用いる時に、音で画面スクロールさせるために開発した。
🟢 2000年
iコマンダー(株式会社コーシングラフィックシステムズ)
AIBOをMacでコントロールするためのユーティリティ
初代AIBOは音でコントロールできた。
動作をプログラムできる機能と日記も盛り込んだAIBOオーナーのためのソフトウェア。
iコマンダーLE(株式会社コーシングラフィックシステムズ)
AIBOをPalmでコントロールするためのユーティリティ
🟢 2001年
ジャンボルーペ(株式会社コーシングラフィックシステムズ)
Mac OS X用画面拡大ユーティリティ
★有限会社 快技庵を設立し独立
こうして列挙するといろいろ作ってきました。
(これら古いソフトについても書くかもしれません)
Macは才能増幅器
私にとって『Macは才能増幅器』です。
Macの節目に何度か書いていますが、Macを実際に使って感じた『Macは才能増幅器』との印象はさらに強化されました。
iPhone・iPad・Watch・tvとMacのDNAを持つデバイスは、Macintoshを使い始めた頃はまったく夢物語だった事を日常にしてくれています。
今回洋書のInside MacintoshなどをiPhoneで撮影し日本語に翻訳できるを改めて確認しました。(英語と格闘していた当時欲しかった機能!)
一方で昔のMacの話を始めると”Mac老人会”などと呼ばれることがあります。
二十代でMacを購入したとしても40年近く時が経てば老人になっているのは間違いないので当たっていますが、大御所は日本中にたくさんいますね😉。
昔のMacのことならすぐに書けると思って始めましたが、資料で確認しながら写真も撮影して…となるとなかなか進みません。
ちょっと後悔しつつも20年ほど前に書いた自分の文章なども使いながら書き進めることにします。
Macintoshやソフトウェアなどの商品名は各社の登録商標・商標です。
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現在はiOS中心に開発しています。
noteで技術解説記事なども書いています。
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