スナックの端から2番目の席の女性
僕は紛いなりにも社長しています、もちろん零細企業なので生活するのが精一杯のしがない社長ですけど。。
地元に仲の良い経営者仲間が2人いて、年に3〜4度は食事行ったり、飲みに行ったりして遊んでいます。
このお話はその仲間と新年会をした時に起こった出来事です。
本当は忘年会をしようと言っていたのですが、3人の都合が合わず、仕方無いので新年会をしようということになり、年明け1月中旬に新年会をすることになりました。この時は僕の担当だったので、少し遠い(車で50分ほど)ですが、知り合いがやっている焼肉屋さんに行く事にしました。住んでいるところからは遠いものの、繁華街も近いので、食事後の飲み屋さんにも困らないですし、何よりも、安くて質の良い佐賀牛を食べさせてくれるのでそこに決めました。
当日、1人の仲間の車で現地まで、この仲間はアルコール類は一切飲まない所謂[下戸]なんです、そのくせ地元のスナックにはボトルが下ろしてあり、1人でスナックに出かける変なヤツです、ただ歌を歌うのが大好きなのでそっちの目的もあるのでしょう。
希少部位やら、超新鮮なレバーなどを食べて3人とも大満足で焼肉を食べ終わり、次はどこに行こうか?という話しになりました。本来なら僕の担当回なので僕が店をチョイスするのですが、その時は運転手をしてくれている下戸のMが「長いこと行ってない店が有るから、そこに行ってもいい?」と言うので、行きつけのスナックもあまり無い僕は二つ返事でOKしました。
電話で開いているか確認し、幸い席も3つなら座れるとのことで、そのお店に向かうことにしました。
車で10分ほど移動し、近くのパーキングに車を止めてMの後ろを付いていきます。3分ほどで「このビルの2階ねん」ととあるビルの狭い階段の方に歩いて行きました、足早に階段を登るM、遅れないようにと僕も階段の一段目に足を掛けた瞬間でした〔ヌルッ!〕靴のソールになんとも言えない気持ち悪い感覚が、「ここ行くんか?」Mに聞きます、「ここやで!なんや?」変なことを言って、折角連れてきてくれたお店にケチつけるのも悪いと思い、「そうなんや」とだけ言って脚の裏のことは隠していました。
そのスナックは、ママとママの娘の2人で回しているお店で、入った時にはサラリーマン風の2人組、大会社の幹部クラスと思われる3人組、若者2人組の先客がいました。電話を掛けておいたので、一番奥の3席を空けておいてくれましたのでそこに着席。
Mはここにもボトルが有りました。本当に飲まないくせに好きな男です。
Mのボトルを僕ともう一人で空けてしまったので、新しくボトルを追加して、歌いまくっていました。すると一組、二組と帰っていき最後は僕たち3人とママとママの娘の5人だけになりました。
歌うのも疲れてきたし、ママも他にお客さんが居なくなったので、色々話しをしていました。時間も0時を過ぎていました。
カラン!とスナックの扉が開きました(このスナックはカウベルが扉に付いています)誰かお客さん来たのかな?と思い入り口の方を見ました、あれ?誰も居ないな?もう一人も同じように入り口を見たので聞き間違いではありません。酔いもまわっていることも有り、その時は聞き間違いかな?程度でそこまで気にはしていませんでした。
ママ達も気にしていないので、また話しに花が咲いていました。僕は真ん中左隣にM、右隣にYが座っていたので、Yの方を見た時でした。あっ!!
「ママ、変なこと聞くけど気を悪くしないでくださいね」「なんですか?」「このスナックのお客さんで最近亡くなった方とかおられますか?」「・・・・・えっいらっしゃいませんよ!」明らかに動揺してます、「そうなんですね、なら全然いいんです、変なこと聞いてすみません」と言って話しを戻そうとしましたが、ママが「何かありましたか?」と怖々聞いてくるので、「変なヤツやと思わないでくださいね」「はい」「入り口の方の端から2番目の席に女性が座ってて」「!!!」明らかに目が泳ぎました、そしてママの娘と顔を見合わせてカウンターの奥の調理場の方へ入っていきました。
Mが「なんやねんそれっ!誰も座ってないやん」Yが「でもさっき誰か入って来たよな?」と僕に聞いてきました「扉開いたよな、カウベル鳴ったもん」Mは「幽霊とか言うなよ!俺全くそういうの信じて無いねん!」まぁいつものことですし、「ゴメンゴメン、ちょっと気になっただけやねん」と喋っていると、ママとママの娘が奥から出てきました。
僕の前まで来て「〇〇さんは見える人なんですか?」僕「四六時中見えるわけでは無いです、たまに見えることがあるんです」ママ「そうなんですね、実は・・」おもむろに話し始めました「昨年の大晦日に妹が、アッ私双子なんです、その双子の妹が自殺をしました、妹も別の場所でお店をしていたんですが、そのお店が上手くいって無かったのかどうか分かりませんが。。何も相談してくれずに、突然」ママの娘と目を合わせます。「その妹が、この店に来るといつも向こうから2番目の席に座って飲んでいたんです」
この話しには僕も驚きました。わぁ最悪なこと言ってしまった!それまで楽しかった雰囲気もぶち壊しです!Mが「マジか、妹さんがいるのは知ってたけど、まさか・・」ママは「まだ四十九日も終わってないので、こっちにおるんやね」僕「変なこと言ってすみません」ママ「いいんです、気にしないでください。〇〇さんに言われてハッとしました。必死に気にしないでおこうと自分に言い聞かせていたような気がします。ちゃんと供養してあげないと、ですよね?まだ四十九日も終わってないのに、妹のこと考えたくなくて」僕も「そうですね、僕は喋れたり、思ってる事が分かるわけでは無いので、妹さんが何故ここに来たのかは分かりませんけど、きちんと弔ってあげてください」ママ「はい、本当は今日はお店を開けないつもりでした、でも何故か娘が今日は開けたいと言うので、仕方無く開けたんです。この子も何か感じていたのでしょうね。」娘さんも「何か今日は開けた方が良いような気がして、○○さんが来て叔母さんの事を教えてくれるって誰かが教えてくれたのかもですね」僕「僕が見えても何もお二人に伝えられないですけどね、もっとちゃんとした人なら妹さんの気持ちも伝えられたかもですけど」ママ「いえ、良いんです。私が悪いのは分かってますから、キチンと弔います」「そう言って頂けると救われます」
3人でその店を後にし、帰りの車でMが「〇〇はマジ見えるタイプやったんやな、全く幽霊なんか信じてなかったけど、今日の出来事でちょっと信じるようになったわ」「Mはそういうタイプやな、でも見えるって言ってもずっと見えてるわけちゃうし、会話出来るわけでも無いし、思ってる事が分かるわけでも無いからな」Yも「でも誰か入ってきたのだけは確実やったわ」「Yも仕事柄か?」※Yは祭典をしています。とMが言います。「たまに会場で変なことがあったりするねん。でも俺も確実じゃ無いからな」僕も「信じるか信じないかは、人それぞれやから何も言うこと無いねんけど、見えてるものが全て本当って事もないし、見えないものが全て嘘って事でも無いからな。UFOも見たって言うたら嘘つき扱いやからな」すかさずMが「UFOも見たことあるん?」「小学校の時と、前の会社で営業にまわってる時な、でも人には言わないでおったんよ。UFO見たなんて誰も信じてくれへんしな。言うとくで宇宙人見たンちゃうで!UFOね未確認飛行物体ね❗」「どんなん?」「小学校の時は、オレンジ色で南の空を飛んでたら、突然こっちに向かって飛んできて、慌てて母親呼びにいったもん、母親が来た時には又遠くなってて、飛行機ちゃう?ってオレンジ色の飛行機なんか見たこと無いし丸いしな、母親もオレンジの飛行物体は一緒に見てるで」「UFOも信じてなかったけど、よく考えたら〇〇がその嘘ついても何も得せえへんよな!」「嘘つき扱いされるだけ(笑)」「でも○○のおかけで、知らない世界があるってのは分かったわ」