INSIDE MOEBIUS(インサイドメビウス) Part2と休む
本作品はインサイドメビウスの全3巻のうちの第2巻だ。第1巻については、下記を参照頂きたい。
この2巻も即興的に話も作画も進んでいく。また、第2巻でも基本的に出てくるメンバーは同じだ。それは、インサイドメビウスを描いている時のメビウスと、若い頃のメビウス。それにアルザックを始めとしたメビウス作品のキャラクターたちだ。これは昔、鳥山明のドラゴンボールに、同じく鳥山明作品のドクタースランプのキャラクターが出てきたような漫画家のファンにとってはとても嬉しい設定だ。
他方で、前巻と異なり、SF作品を描くときのメビウスらしい展開もみられる。例えば、以下のコマの絵は配色といい、表現といいSF作品やイラスト集とかでよくみるイメージだ。全体的に緩い線で書かれている中で、少し描き込まれているこういうコマはわりと珍しい。
第2巻のもう1つの特徴は、新キャラクターのジャン・ミシェル・アンコンシャス(Jean-Michel Unconscious)だ。このどこかで見たようなデジャビュ感があるキャラクターは、独特の立ち振る舞いをする。あるときは、メビウスを食べてしまったり、このB砂漠は無意識を表現するには理想的な場所だとか説明してみたり、まるでメビウスの中の意識(B砂漠)の中の無意識を体現しているようなキャラクターだ。このキャラクターは最終的には(結果として)天使になる(戻る)。
本作品も前1巻と同様、特に大きなストリー展開があるわけではない。さらに、前1巻と比べて、B砂漠を歩く姿が上空からの視点で描かれるコマが多かったり、少し省エネで描かれている感じがある。さすがに即興的に描き続けるのもしんどいのか。そういうしんどさを表すかのように突如、なんの前触れもなくアルザックの目が4つになったりする。メビウスの目が疲れていたのだろうか。
私が特に気に入ったコマは以下のコマだ。このコマはメビウスが、この女性に対してある行為をした後の表情なのだが。なんとも言えないこの表情。普通の生活をしてこんな表情をすることが果たしてあるのか。メビウスはこの女性に対してどんなことをしたのか是非、本作品で答え合わせをしてみて欲しい。
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