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WATCHMENと休む 前編
アメコミは買わない。海外漫画の邦訳を買い始めたと時に自分でそう決めた。理由は簡単。邦訳アメコミは安定的かつ継続的に販売されており、発売されている量が膨大であることが1つ。そして、熱心なファンの方が多く、ここで紹介をするまでもなくネットのいたるところにまとまったレビューがあるから、というのがもう1つの理由だ。
しかし、私はWATCHMENについて言及することを避けて通れない。それは、アメコミがヤングアダルト向けになっていったきっかけの作品であることもある。それ以上に、以下のような私の個人的な体験が大いに関連している。それは、私が海外漫画を最初に買ったのは、このWATCHMENだったのだ。
当時、私はHIP-HOP、しかも日本のHIP-HOPにはまっていた。当時は、DOWN NORTH CAMPというクルーがかなり人気だった。例えば、DOWN NORTH CAMPが池袋のディスクユニオンで店舗ライブをするとお客さんが大挙していた。今はそれほど密接ではないが、当時は、このDOWN NORTH CAMPと一緒にPSGの面々も動いており、今では大人気となったPUNPEEやSLACKもこのクルーと一緒に動いているイメージがあった。PUNPEEは当時もすごい人気で、フリースタイルもできる、MPCもたたける、なんでもできるイメージだった。そして、PUNPEEは、(B級?)VHSやアメコミのコレクターとしても当時から有名だった。そんなPUNPEEがどこかのメディアでおすすめしていたのがこのWATCHMENだった。DOWN NORTH CAMP周りにどハマりしていた私は、早速、WATCHMENを買う事にした。当時の記憶だが原書は邦訳に比べてかなり安かった。そのため、私は無謀にもWATCHMENを原書で読むことにした。
ところが、私はWATCHMENを原書で読むことに挫折をした。想像以上に読みにくい文字の字体、アランムーアのシナリオが初めて英語で漫画を読む私には複雑だった点などが理由だ。ここで私は海外漫画に対する漠然とした苦手意識を持つに至った。アランムーアはやはり恐ろしい。
このWATCHMEN原書挫折事件から数年後、メビウスの「猫の目」という海外漫画の邦訳作品を読んで、海外漫画熱が再び高まっていった。邦訳だったら読めるかもしれない。私はそう思いWATCHMENの邦訳を手にした。
導入部分が長くなりすぎたので、中身については後編で。