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メタ・バロンの一族(下)と休む
メタ・バロンの一族(上)については下記より。
メタ・バロンの一族(上)では、初代メタ・バロンのオトンと2代目メタ・バロンのアグナルと3代目メタ・バロンのテット・ダシエの登場まで描かれていた。ちなみみに、これらの家系図をまとめたのが以下のイラストだ。
ちなみに、初代のオトンの妻であるエドナはカスタカ一族の出身である。そして、カスタカ一族については、このメタ・バロンの一族のスピンオフ作品である「カスタカ」という作品がある。今後、この「カスタカ」についても取り上げていきたい。また、上記の中で「トント」と「ロタール」という名前が出てくるが、これらは機械の名前であり、「トント」と「ロタール」がこのメタ・バロンの一族の語り部である点を付け加えておきたい。
さて、(下)は、4代目メタ・バロンであるテット・ダシエの物語として始まる。上記のイラストのようにテット・ダシエはその誕生にまつわる悲劇から、異形のメタ・バロンとして登場する。そして、その悲劇に呼応するようにテット・ダシエの性格はこれまでのメタ・バロン(=カスタカの戦士)と一味異なる。どのように異なるか。誤解を恐れずに言えば、北斗の拳のジャギっぽい。そんなやさぐれたテット・ダシエだが、紆余曲折あり以下のようなイケオジスタイルに変化する。
第6章では、これまた紆余曲折ありイケオジになった4代目メタ・バロンはまた、鋼鉄の頭に戻ってしまう。この第6章は、葛藤につぐ葛藤や、色々な関係者を巻き込みながら壮大に進んでいく。
第7章は、5代目メタ・バロンであるアゴラの物語だ。アゴラは、男と女の双子の女として生まれてきた。しかし、誕生時に脳が1つしかなかったため、脳は女であるアゴラに移植された。後天的に両性具有となったのだ。そして、アゴラもまた母親殺しに宿命を背負うことになる。さらにアゴラはある生き物の死を契機に、生に関心を持つようになる。その結果、これも他のメタ・バロンと同様にアゴラも近親相姦をすることになる。
第8章は、ようやく6代目メタ・バロン(=アンカルに出てくるメタ・バロン)が登場する。そして、これまで語り部であったロタールの秘密も明かされる。
第8章の後に短編が2つ収録されている。
本作品は、繰り返される一族のカルマの話だ。そのカルマは、オイディプス王みたいな近親相姦と両性具有というクラッシックなものだ。それだけに本作品の魅力はとどまらない。宇宙での戦い、生物と機械の中間のような宇宙船、戦闘シーン、謎のグロテスクな巨大生物などSFとしてみどろが多い作品だ。そして、何よりヒメネスの迫力のある絵と彩色。これだけでも一見の価値がある作品だ。