縫い付けは正義か。ボンドは邪道か。
ぬいぐるみを作り始めて5〜6年経ちました。そして今だからか分かる初心者時に陥った思考パターンというか、思い込みについて書きたいと思います。今思うと何を意固地になっていたのか、不思議でたまりません。
使った接着剤の使用感のみご入用の場合は目次で飛べます。
縫い付け至上主義
大人になって手芸を始めた当初、謎の“縫い付け至上主義”に取り憑かれておりました。手芸作品は可能な限り縫い合わせ、縫い付けをしよう、と。
縫う=丁寧
接着剤=手抜き
そんな考えです。
そして今思うのはどちらも貼り合わせの手段の一つであって、用途や効果が違うだけということです。縫うことにはそのメリット、デメリットがあり、接着剤にはそのメリット、デメリットがある。それだけの話です。
それぞれのメリット・デメリット
ではそれぞれどんなメリット、デメリットがあるのか。一応素人なりに考えてみました。
縫い
○メリット
…剥がれない
やり直しが効く
○デメリット
…布に穴が空く(布へのダメージ)
縫い目がつく
接着剤
○メリット
…縫い目がつかない
布に穴が空かない
○デメリット
…やり直しがきかない
剥がれる危険がある
縫い代が固くなる
縫いの最大のメリットは【絶対剥がれない強い貼り合わせ】だと私は思ってます。もう布が破れるか糸が切れるかしない限り離れません。布が破れる時は接着剤だろうが縫いだろうが貼り合わせが取れる時なので、絶対くっ付けておきたければ縫い、最強だと思います。
そして同じくらい重要なメリットは【やり直しがきく】です。特に私にとっては。主に本体(素体)制作時にやるんです、合わせる場所間違える、を。左右とか、上下とか…。やる前にかなり確認してる筈なのに、結構な頻度でやるんです。あれがボンドだったらと思うと冷や汗が出ます。やり直しができるって素晴らしいです。
では接着剤の最大のメリットはというと【縫い目が付かず仕上がりがキレイ】ということではないでしょうか。お手軽云々はぬいぐるみ作りなんて面倒なことをしている時点で考えないものとしました。あとは意外な副産物で縫い代がほつれにくくなるので小さくて済む、というのもあります。
じゃんじゃんボンド使ってぬい作ろう
ぬいぐるみは人間より小さいです。特に15cm以下になるとミリ単位の勝負になってきます。縫い代一つ取っても10ミリと5ミリと3ミリは出来上がりに大きく影響してきますから、どこを縫い付けにするか、どこに接着剤を使うか、手段として全部持っておくのがキレイに仕上げるキモだと思いました。
実例を挙げますと、↓が頑固に縫い付け主義を貫いてきた時のマントの装飾です。
サテンリボンで縁取る際に金の刺繍糸でブランケットステッチで縫い付けました。更に変に浮くのでなみ縫いで補強してます。
次に同じ縁取りを接着剤(速乾アクリア)で付けたジャケットの前身ごろです。
最終的には好みの問題ですが、ボンドの方が仕上がりはキレイです。
縁取りの装飾に使い勝手のいいリボンの素材はサテンで、このサテンは縫いによるダメージにめっぽう弱いです。見た目が悪いだけでなく、そこから裂け目のような線がつくこともあるので縫い付けにはかなり気を使います。まあ、ボンドはボンドで付けすぎると表面に染みてくるので、そこは気を使うのですが…。
以上のように、特にぬい服の装飾にはボンドが相性良さそうです。
こんないいこともある
そして接着剤の良いところは布の強化にもあると最近気づきました。
ぬい小物を作った時に激しく実感したのですが、フェルト単体は小さなパーツになると縫い付けに耐えきれず千切れてしまいます。でも、貼り合わせるパーツが重いとボンドだけでは不安でどうしても縫い付けたい。そんな時に薄ーく、少量のボンドを付けて軽く乾燥させれば千切れなくなります。少量でないと針が刺さらなくなるので加減が必要ですが、それを模索していくのも楽しさの一つです。
ボンドの大変だった事とか失敗とか
ボンド使いは楽なようで、それほど楽ではありません。何故なら剥がれないように大量に付ければ布にシミができ、少なすぎると簡単に剥がれるからです。
キレイな仕上がりに近道はないのです(自戒)
そして面倒なのでチューブ直付けしたくなりますが、必ず厚紙などに出して、少量ずつつけましょう!(自戒)楽をしようとたびたび魔が差しますが、耐えましょう。
ただ、広い面積を塗る(貼る?)場合はその限りでなく、適量を直付けしてヘラでのばす方法が一番キレイに仕上がりました。
使い方で気をつけるポイントですが、まず第一に塗布量、そして次に注意すべきは塗る範囲、です。
一度に付ける量ですが、接着力を優先してたくさん塗ると布の表に染みて汚くなってしまいます。経験済みです。本当はハギレなどで試した方が良いのでしょうが、ちょっと面倒なのであまり目立たないところから始めて様子をみるのが良いと思いました。ちなみに私がよく使っている“速乾アクリア”だけでなく“裁ほう上手”も付け過ぎると染みができて汚くなってしまうので注意です。
続いて塗る範囲です。リボンなど細長いものにいっぺんに接着剤を塗ってしまうと、色々なところにベタベタ付けて生地を汚してしまうので(経験済み)面倒でも1〜2cm幅ずつ塗っていくのがベストだと思います。
塗布に使った道具は細かいところに付けるのはヘラより竹串が便利でした。楊枝の方が入手しやすいのですが、竹串に比べて使っていると柔らかくなってしまいピンポイントで接着剤が塗れないので、コスパは悪いですが竹串にしてます。
まとめると
①厚紙に適量出す
②竹串で染みない程度接着剤を取る
③1〜2cmくらいの範囲に塗る
④クリップなどで止めて1分待つ
クリップで止める際当て紙をすれば跡が付かなくて尚よい感じです。
使った接着剤アレコレ
○パワーエース 速乾アクリア(アルテコ)
私が一番多用しているお気に入りの接着剤です。木工用ボンドよりも刺激臭が少なく、速乾で強力な接着力が制作にとても助かっています。乾燥後もカチカチに硬くならず、柔らかさを損なわないので特にぬい服の装飾によく使います。体のラインにフィットした服を作りたいので…。
○フェルト用接着剤(KIYOHARA)
最近近所の手芸屋さんに新入り入荷したので試しに買ってみました。臭いも接着力も速乾性も速乾アクリアとほぼ同じに使えました。入手し易さとかで選んで大丈夫だと思います。
○ボンド フェルト・布用(コニシ)
現在廃盤になってしまった布用ボンド。速乾アクリアより更に柔らかく仕上がるので良かったのですが、試しにハギレでテストしたところ他の接着剤より接着力が弱かったので、それで廃盤になったのかなぁという感じです。
○裁ほう上手(コニシ)
透明タイプの手芸用接着剤です。
一応アイロン無しでも接着可ですが、アイロンをかけるとより強力にくっ付きます。アイロンを使う場合は布の表面がテカることがあるので、温度や当て布を使うなどの必要があります。
先述の接着剤よりやや硬く仕上がります。
○布に強い両面テープ(キャプテン)
幅が色々あって使いやすい布用両面テープです。刺激臭も少なめ。私は3mm幅を多用してます。接着力はありますが、先述のボンド類よりはやや弱かったです。水洗いにはちょっと弱かった気がします。
○スタイリステ(コニシ)
強力な布用両面テープです。ちょっとだけキャプテンの布用両面テープより厚いかも?な感じです。刺激臭ではないのですが、キャプテンより独特な臭いが強いです。
○薄口アイロン接着シート(ぬいぐるみの生地やさん)
ボンド類では無いのですが、ちょっと広い範囲で布の両面貼りをするなら、断然接着シートがオススメです。弛みなくキレイに貼り合わせられる事と接着力の強さでは最強だと思っています。髪を両面貼りで作る時には必須です。
余談ですが、髪を両面貼りにする場合は同倍率の型紙をそのまま使うより一回り大きくして作るか、素体ができてからサイズを測って型紙を作ると良いと思います。両面貼りの生地はほぼ伸びないので綿がパンパンに入った素体とのサイズ差が生まれ、ヨレたり寸足らずになる恐れがあるからです。
また新たな接着剤を試したら追加していきたいと思います。
まとめ
以上がぬいぐるみ制作における固定観念との戦い(大袈裟)でした。これからも「○○はこう使うもの!」という常識やバイアスに囚われない、気づきと発見をいっぱいして楽しくモノ作りしていきたいと思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
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