世界で最もつぶやかれたドラマ「13の理由」シーズン1・感想
「海外ドラマフレンズ」は、海外ドラマ好きの26歳女性と29歳男性が海外ドラマについて自由に楽しく語るアカウントです。YouTubeやpodcastで音声配信もしてます。今回は、6月5日についに最終章が配信となる「13の理由」シーズン1の感想をまとめてみました。
概要
Netflixオリジナルドラマで、2017年から配信スタート。今週末に配信開始となる最終章を含め、全4シーズン(各13話構成)で完結。
あらすじ(公式より)
ある女子高生が謎の自殺を遂げた後、1人の同級生の元に、彼女が生前に録音した7本のカセットテープが届く。そこには、彼女が死を選んだ「13の理由」が語られていた。
その衝撃的な内容と、非常にリアルな心理描写、誠実な作品作りが話題に。シーズン1配信時は開始1か月で1100万回ツイートされ、その年世界で「最もつぶやかれたドラマ」となった。
特にアメリカでの影響力は大きく、皮肉にも配信後には10代の自殺者増加の理由になったとまで言われている。これを受けて、ハンナの自殺シーンがカットされるなどの動きもあった。
作品としても相談窓口を設け、毎話終了後に「何かあったら連絡を」と呼びかけている。
スタッフ(一部)
原作…ジェイ・アッシャー
脚本・製作総指揮…ブライアン・ヨーキー
製作総指揮…トム・マッカーシー 『スポットライト 世紀のスクープ』監督
製作総指揮…セレーナ・ゴメス
※セレーナ・ゴメスは、「13の理由」のハンナに共感し、自らが製作総指揮として6年以上かけて映像化。ブライアン・ヨーキーによれば、現場にも積極的に参加していたとのこと。子供のころからティーンに絶大な影響力を持ち、オンオフともに周りからの視線にさらされる彼女が発信する、という点でも非常に重要な役割を果たしたのでは。
キャスト
■キャサリン・ラングフォード(ハンナ)
ほぼ無名の女優でありながら本作の主役、ハンナ・ベイカー役に抜擢された。この演技が高く評価され、ゴールデン・グローブ賞主演女優賞にノミネートされている。最近では映画「ナイブズ・アウト」に出演していたことが記憶に新しい。
■ディラン・ミネット(クレイ)
子役時代から「プリズン・ブレイク」「グレイズ・アナトミー」「メンタリスト」など数多くのドラマや映画に出演している。映画「ドント・ブリーズ」のアレックス役で最も知られているのでは。
他にも、ハンナのクラスメイトを演じる高校生キャスト達は無名ながら、
繊細で記憶に残る素晴らしい演技を見せている。
ミステリーとしてのおもしろさ
非常に重い話で、見ていてつらい気持ちになる部分もかなりあったが、ミステリー・謎解き要素があり、次々に謎を解いていく点で楽しめた。特に後半からは畳みかけるようにテンポよく進んでいく。
同じ場面を何度も色々な角度で見せてくる、というタランティーノのような描写の仕方もとてもおもしろかった。
どこまでもフェアな人物描写
登場人物全員の心情を非常に丁寧に描いていて、単純化して描いていない、という点がよかった。人によって責任の重みはばらばらだが、それぞれの事情をしっかりと見せてくれた。
自殺してしまったハンナについても、話を聞いてくれようとするザックやクレイを拒絶する、など不完全な部分がある。そういった部分をきちんと描く点でもフェアだった。ドキュメンタリー内でもハンナも完璧ではない、と言及がある。
こうすべきだった、という回答が一概にはないので、難しい。
ブライスというキャラクターについて
悲しいことに、ジェンダーについての考え方が後進的な日本においては、
ブライスに近い考えた方の人もかなりいるのかもしれない。考えれば考えるほど深いな気持ちになる。
もしかしたらブライスは皆で酔って、パーティーの延長の認識なのかもしれない。どうせ被害者が言い出せないだろう、みたいな気持ちもあるのかも。感覚も麻痺していて、常習犯のような描写もある。
そして、ジェシカの反応はリアルだったのかもしれない。加害者を告発することの恐怖と勇気は計り知れない。その部分も非常に丁寧に描かれている。
冒頭に注意書きも出てくるが、暴行シーンをかなりしっかりと描写している。目を背けてはいけないが、見ているのが非常にきつかった。
ブライスのような存在がいなくなってほしいと切に願うばかりだ。
アメリカの学校事情
とにかくよくアメリカの作品で登場する、アメリカの若者たちが参加しているあの”パーティー”とやら。一体どんな感じなんだろう。シーズン1でも3回登場する(ただ、毎回嫌なことが起きるので、製作陣は嫌いに違いない)
アメリカのスクールカーストは日本と少し違うなと感じる。日本だと階級が別れると会話はないが、少なくとも交流はあるので、距離感が全然違う。根本的もっとコミュニケーションを取っているように見える。
そのうえで、スクールカーストから外れたひとたちがいるのがいい。こういう存在がいるのは心強いはず。ジェフも体育会系のようだったが、クレイとチューターを超えて仲良くしているようだったし、独自の価値観を貫いているのがかっこいい。
「桐島、部活やめるってよ」との共通点
学生の群像劇、という意味で朝井リョウ原作の「桐島、部活やめるってよ」を彷彿とさせる。キャラクターがリアルで、登場人物のうちの誰かには共感できる、という点で流行った部分も似ている。
公開当時、「本当に孤独なやつは登場しようがない。だから俺はこの物語には存在しない」と友人が言っていたのを覚えている。「13の理由」にもそういうそういう人物はいるのかもしれない。
ドキュメンタリーは必見
毎シーズンごとに、出演者がスタッフが登場するドキュメンタリーが制作されている。これはぜひ見て欲しい。ここまで見るのがつらい、とばかり書いてきたが、本人たちが自分の声でしゃべってるのをみると少しケアされる。
とくにブライス役の俳優さんは、実生活では真面目で聡明そうな、柔和な青年だ。その意味ではあの演技、素晴らしい。
他にも作品の裏話など発見があるので、おすすめしたい。
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