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ハマった?ハマらない?「梨泰院クラス」感想
「海外ドラマフレンズ」は、海外ドラマ好きの26歳女性と29歳男性が海外ドラマについて自由に楽しく語るアカウントです。YouTubeやpodcastで音声配信もしてます。今回は大流行中の「梨泰院クラス」について率直な感想をまとめてみました。
■サクセスストーリーが爽快!
話の流れがわかりやすく、複雑なことも起きない。飲食業界という特殊な分野の物語だが、ちょうどよく単純化されているし、キャラクターの数も多くないので、ながら見に最適(なので吹替がないのはちょっと残念)。
敵対する長家(ライバル企業)からの激しい妨害や仲間たちがそれぞれに抱える問題など、さまざまな壁を乗り越え成長していくさまは、まさにサクセスストーリーとしての見ごたえがある。ハラハラと同時に、次はいったいどうなってくれるんだ?というワクワク感もすばらしい!
■半沢直樹?むしろサラリーマン金太郎だ
ビジネスで復讐する話ではあるものの、男女問わずよく手が出る。セロイ側がチャンガを買収するというのがラストにはなっているものの、それよりもグンウォンとの決闘の方にぜいたくに雰囲気や時間が使われている。二人の殴り合いが実質のクライマックスだった気がする。
なので、よくいわれてる「半沢直樹」よりもむしろ「サラリーマン金太郎」の方が近いのでは? ビジネスはただの設定で、根底にあるのは愛と拳の物語なのである!
■もう少しテンポよく物語が進まないものか…
純愛ロマンチックな恋愛模様や信じられない偶然の連発など、現実的な世界を舞台にしつつもどちらかというとフィクションに振り切っている印象で、それがまた楽しめる要素のひとつ。
ただ、ストーリーの冗長さやテンポの悪さは正直気になった。とにかく1シーン1シーンに時間をかけ、素人目に観てもそこカットできるのでは?と思うシーンがたくさんあった。そもそも全16話で一話70分ほどとかなり長尺なので、間を埋めるためにあえて引き延ばしてるのでは?と邪推してしまうくらいだ。
こういうフィクションに振り切った作品はそのありえなさにどっぷりつかって楽しめるか、もしくは冷めてしまうかのどちらかだけど、どっぷりつかるためには勢いやテンポの良さがとても大事だと思うのだ。その点で本作はとにかくテンポが緩い。そのため、いまいち物語に入り込み切れず冷静になってしまい、非現実的な展開にバカバカしさを感じてしまうことも少なくなかった。
全8話で同じ内容をコンパクトにして詰め込んだら、もっと名作になっていたのではないかと思う。
■五角関係のせめぎあいは見もの
恋愛面では五角関係によるせめぎ合いが見どころのひとつ。ほとんど全員片思いで、唯一の両想いだったスアとセロイもチャンガという壁のせいで一緒になることができない。
そんな中チョ・イソのみ恋愛にアクティブなため、基本的にこの恋愛模様のすべてはイソのみを起点としが動く。あれだけ頑張ったのだからイソが報われるのは当然だと思った。というかイソとスアでは一緒にいる時間がそもそも違いすぎるので、単純接触効果とも言えなくない。
■魅力的なキャラたち
パク・セロイ
いがぐり頭で頑固一徹、みたいな感じなのに服のバリエーションが多くおしゃれで、その辺はちょっと笑える。とにかく俳優さんのスタイルが抜群で、かっこいい。高身長なところも含め、東出昌大に似てる?
まっすぐでヒロイックだけど、すぐに手が出るギャップも魅力的。復讐もえげつない。泣きながら土下座するおじいちゃんに対して、容赦なし!決めたことを曲げない彼のまっすぐさが、このドラマのいいところ。
余談だが、パク・ソジュンは映画「パラサイト」の冒頭に出てくる裕福な家の長男である。全く気付かなかった。びっくり。
スア
10年かけて、チャンガへの復讐を遂げた流れは素晴らしかった。それまでいまいち彼女がチャン・デヒに従う理由がわからなかったが、セロイのお父さんに恩返しするつもりだったんだね!と一気に見直した。
ただ、「500日のサマー」を彷彿とさせる、ラストのあの微妙な運命の出会いはいかがなものか。十数年にわたるセロイへの想いをあれで片づけていいのか?というか視聴者を納得させるためだけのご都合主義的展開ではないか。
ヒョニ
「私が私であることに誰の理解もいらない!」という素晴らしいセリフを残してくれた。多様性が一つの大きなテーマであるこのドラマを象徴してくれた。これに勇気づけられた人も沢山いるのでは。
カン専務
敵の中の仲間キャラ、かっこいい。仲間としてはこれほど心強いことはない。子どもにも優しいし、あの刑事さんとうまくいくことを願うばかり。
疑問点(文句はないけど気になる)
セロイの7年間の修行はいったい何だったのか?
お金貯めてたのはわかるが、その期間なにをしていたのか詳しくは描かれなかった。順当に考えると飲食店で修業をしていたのではないかと思うのだが、セロイ自身は料理人ではないため疑問が残る。資金を集めるために、危険でも割のいい仕事をしていたのだろうか(イソに古傷の話をするシーンもあったし)。でもやっぱり飲食店で修業したほうがその後のこと考えると絶対よかったと思う。
結果的にタンバム一号店は散々なできあがりでイソに徹底的に改革されるわけだが、内装やインテリアなどはともかく味もいまいちというのはいかがなものか。未経験のヒョニに料理長をやらせるという謎采配もよくわからないし、「この人本当にお金貯めてただけで、飲食店や料理の勉強はまったくしなかったのか?」とぽかんとしていまう展開だった。会長の本読んだだけ? 7年間ほんとになにしてたの?
仲間に復讐を隠してるのずるくない?
タンバムのメンバーにきちんとセロイの目的である復讐について話してなかったのはずるくないか?イソにはきちんと伝えるくだりがあったが、他の人にはなんだかずるずる知られていくみたいな形。人生をかけて一緒に頑張る仲間に対してちょっと不誠実な印象だった。「ジ・エディ」の主人公を彷彿とさせる。
■トニーの扱い
差別描写についてヒョニほどしっかり回収されてない印象。「韓国人に見えない」とイソに言われてたけど、きちんと謝られるシーンもなかった。インスタで例のクラブのネガキャンはしてはいたけど。
登場間もない場面で英語が話せないということに関して驚かれる場面があって、その後最終話で英語ができるようなっているという展開についても少し違和感。見た目的に話せて当然でしょ、という他の面々からの押し付けに何故かトニーが答える形に見えてしまう。
彼自身が本当にプラスだと思って勉強したならいいが、少しモヤっとする終わり方だった。
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