信用に関わる現代文って怖い

現代文は、現代の日本で暮らしている日本人ならできて当たり前と思われている、そうではないでしょうか。
できていて0点、できていないとマイナスということです。
合格点を取ればいい受験生や、物語を伝える小説家はいいんですけど、
事実を正確に伝える記者、人の文章を直す校正や添削に関わる人、学問を教える大学、お金に直接関わる文を書く人は、日本語を間違えて使っていると、信用されません。

例えば、
駅の看板に出ている
「〇大学 本学は〇さん、〇さんを輩出している」
この大学にはもう行きたくありません。
出願はやめておこうと思います。
「輩出」は自動詞です。「出る」という意味です。
「排出」は他動詞です。「出す」という意味です。
「〇さん出ている」とは言えません。
「〇さん出ている」が正しい表現です。
だから、
「〇大学 本学は〇さん、〇さんが輩出している」
が正しい表現なんです。
看板で
「本学は間違えた日本語を使っていることにも気づかない大学です」
と告知しているということなので、むしろ告知しない方がいいと思います。
現代文は怖いですね。
しっかり学びましょうね。

校正や添削をする人は、表現のレベルにまで気を使わないと信用されません。
例えば、作家に文章を教えているという人が宣伝しているとして、
「作家には、物語を面白くする方法だとか、文を間違えないでほしいし、多様な語彙を教えます」
この人に校正や添削を頼むことはないでしょう。

「作家には、物語を面白くする方法だとか、文を間違えない方法だとか、多様な語彙だとかを教えます」
これなら、まだましではあります。
「だとか」ではなく、「-、ーや、ーなど」の方が適切なんですけど。
「作家には、物語を面白くしてほしいし、文を間違えないでほしいし、多様な語彙を使ってほしいということを教えます」
これなら、頼むかどうかを検討するかもしれません。

お金に直接関わる仕事をする人も表現には気を付けてほしいものです。
例えば、
プレゼンテーションの見出し
「①早く取り掛かろう
②正しく取り掛かっているか
③目的を忘れないようにしよう」
言葉が揃っていません。
なぜ②を疑問形にしているのか、勘ぐってしまいます。
この意図は何ですか?という質問に納得できる回答を得られるまでは、
プレゼンテーションの内容に集中できません。
「①早く取り掛かろう
②正しく取り掛かろう
③目的を忘れないようにしよう」
これなら揃っているので、理解しやすくなります。

記者は事実を伝える仕事なので、表現には気を付けてほしいものです。
例えば、
「このポスターは支持者が外に見えるように壁に貼るものだ」
という記事を最近見かけました。
これでは事実が伝わりません。
一文に「は」「が」などの主語になりうる格助詞が二つ以上あるときには、意味が伝わらないかもしれない可能性が高くなるんです。
だから、文を見直す必要があります。
「このポスターは支持者の姿が外に見えるように、〇さんが壁に貼るものだ」
こう受け取られる可能性があるんです。
「このポスターは、外に見えるように、支持者が壁に貼るものだ」
こう書けば、本来の意図である「このポスターは、立候補者の姿が外から見えるように、支持者が壁に貼るものだ」と読むことができます。
支持者が貼る。このように、主語と述語は近くにおきましょう。

例えば、
「私は妹が母が出掛けると言ったと聞いた」

「私が出掛ける言った聞いた
一文に格助詞が三つ、動詞が三つありますね。
これでは意味がわかりにくいんです。
「母が出掛けると、妹が言ったと、私は聞いた
主語と、主語が係る述語を近づけると、意味がわかりやすくなるんです。
英語は語順の言語だと言われるんですけど、日本語も語順によって理解しやすくも、理解しづらくもなる言語なんです。

先生が言うには
「本郷さんは気遣いの人だから、ここまで丁寧に書いているけれど、こんなの小学生のうちに身に付けることだ。ビジネス文書だとか大学受験などと言う前に、小学生からやり直すべきだ。これで、どうやって中学、高校まで上がってきたんだ? 日本の教育システムはひどいな」だそうです。
先生はそう言うんですけど、私も英語は苦手で、中学生の時に身に付けているはずのことも、大学受験でようやく理解したということはあります。集団の一斉授業だとなかなか質問しづらいし、なにがわかっていないかをわかっていて教えてくれる人ばかりではありません。平均レベルの人を想定して説明しているので、仕方がないかなと思います。この皆伝も「その分野については何も知らない人が読者」という想定で書いているんですけど、高校生の平均的な語彙、読解力はあるという前提で書いているので、記事の内容を理解できないという人もいると思います。

それにしても現代文は怖いですね。
受験生のうちは、小論文で減点されるだけなので、自分の将来には関わるんですけど、他の人に迷惑をかけることはありません。けど、仕事をしてきちんとした文章を書けないでいると、その人が仕事をしている企業が信用されなくなります。国際貿易や外交文書だと、国際問題になるかもしれません。
いまのうちに、きちんとした言葉、日本語を身に付けましょうね。


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本郷りんの皆伝 大学受験
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