第9話 怪談『声が聞こえる』(バス・お題「子供」)
これは私の子供の時の話になります。
私の家の隣に住んでいました家族ですが、父親が粗暴な人で家族に手を上げていたんですね。
DVですね。でもその時にはそんな言葉で呼んでおらず、警察もよっぽど大ケガでもしない限り家族だと不介入でした。
その家族の中に18歳のお姉さんがいたんですが、父親が荒れると塀を乗り越えて私の家に避難にきてました。
私の母も事情を知っていた為、その時にはお姉さんの相談なんかも聞いていました。
子供の私は少しは事情が分かりましたが、そのお姉さんが来ると一緒に遊んでもらえる為、嬉しかったです。
それは夏の暑い日、またお姉さんが塀を乗り越えてこちらにきてました。
母はいつもの様にお茶をもってきて私は同じ部屋でうとうとしてました。
私が寝かけてる事もあり母に家出をした時の話しを始めました。
私は家出という経験をした事が無いので子供心に興味があり、目を閉じて話しを聞いてました。
「おばさん、私ね去年なんだけど、実は子供を身ごもってね、家出した時に男の所に住んでいたんだけど出来てしまって」
「でね、その男は一緒に暮らせないって言われて結局1人で育てる自身なくてね降ろしてしまったの」
母「そんな事あったのね」
「でね、それからすぐ家に帰ったんだけど、中々寝れなくてね、夜中に赤ちゃんの泣き声聞こえる気がして」
母「一度供養した方がいいんじゃない」
「うん、で実はそれからすぐ供養したんだけど最近また聞こえるようになったのよ
昼間もたまに聞こえる気がして、隣の部屋とかから泣いてる声が」
母「なぜかしらねー、でも余り気にしすぎないようにね、もしダメならまた供養しなさい」
「うん」
そんな会話だったと思います。それからもたまにお姉さんは来ていましたが、ある日、母が気づいたのですが、母乳の匂いみたいのがお姉さんからすると、でも子供はいないはずなので、気のせいだと思ったのですが、お姉さんがお風呂に入ってる時に、隣のうちのお風呂の小窓がこちらに向いてる為声が聞こえてきたみたいで、お姉さんが楽しそうに笑う声と一緒に赤ん坊の笑う声が聞こえたそうです。
それから何か楽しそうな事で笑っている時、お隣さんからは赤ちゃんの笑う声、が私も聞こえたような気がしました。
楽しそうなのにこんな切ない笑い声もあるんですね。