第51話 怪談『梦幻』(バス・お題『幻』)
恵子はその日、新聞部の部長より、調べてほしい事があると言われて、鏑木(かぶらぎ)町の商店街に来ていた。
商店街が暗く感じるのは閉店した店が多くを連ねてシャッター街になっているからなのか、それとも、この街全体が元々、暗いのかは恵子には分からなかった。
部長からその商店街にある噂を調べてほしいと
「その商店街を4回通り抜けた後に、また戻ってくると今までやってなかった店が開いて、その中に入ると出られなくなるという噂があるんだ」
「まさか、それでそのお店に入れって言うんじゃ、、、」
「いや、そこまではただその噂が本当かどうかは知りたい。もし可能なら4回通った後にあるかないかだけは見て来てほしい」
と言われ来てみる事に。
小さな商店街の為その儀式?をやる事は簡単に思えた。
「チャチャっとすませて帰るか」
そう自分に言い聞かせて始める事に。
「1回」
「2回」
「3回」
「ふう、ちょっと疲れたなー、よし後1回」
「4回」
4回が終わり、開いてるお店がないかみて回る事に、一通り見て回り特に変わりないシャッター街が続いているだけ。
「ふぅー、まあ、噂だよね、変わらないよね」
不意に生暖かい風が目の前を通り過ぎて目を瞑った次の一瞬、目の前に少年が立っていました。
「久しぶりだね 僕のこと忘れたって顔してるねー」
「誰?」
「次は思いっきり遊ぼうね、あ!そうだお土産が今日はあるんだ、そこのカドを曲がってご覧」
少年が指差した方向にいくと新聞部の部長が
「部長?」
「恵子さん、あー丁度終わったんだね、お疲れ様」
「あの商店街の噂、結局、何もなかったです」
「そうか、僕も終わったよ。ほら」
部長が後ろに隠していた手を前にやるとそこには、グッタリしている恵子の小さな弟。
「邪魔だって僕に話してたよね?いらない子なんだよね?だからさ、動かなくしたよ」
悲鳴と共に恵子はその場で意識を失った。
どこから共なく少年の声が
「いいプレゼンだったでしょ?」
目を覚ますとそこは自分の家
「お母さん?」
「あなた、かぶらぎの商店街で倒れてたのよ、親切な人が学校に電話してくれてね、学校に迎えに行ったのよ」
「あ!まさくんは?死んだの?」
「何バカな事いってるのよ、そこで寝てるじゃない」
「あれは幻?」
恵子はその後部長とも話したが、結局何も分からないとの事
恵子の脳裏には
あの少年の
「次は思いっきり遊ぼうね」