第73話 怪談『欠席』(バス・お題 『風』)
これは会社の友人、田中くん(仮名)から聞いた話になります。
新しく中学に上がり、仲の良くなった、友人、広瀬くんと良く遊んでいたそうです。その広瀬くんで すが、ある時から急に学校を休むようになったそうです。 欠席理由は「風邪」だったのですが、それが何日も続いていたそうです。
先生から
「ちょっと溜まってる、宿題とか広瀬の所に持っていってもらえるかな」
と頼まれ、心配な事もあり
「はい、大丈夫です。」
と広瀬くんの家に行く事に。
広瀬くんの家に着き、インターホンを鳴らしてみると
広瀬くんのお母さんなのか、暗い声で
「はい、、、」
「あの広瀬くんの友達の田中と言います。 広瀬くんの、宿題とか持ってきました」
そういうと、玄関のドアが空き、中から広瀬くんのお母さんらしき人が出てきました。 そして
「ありがとう」
というと、そそくさと家の中に戻って、行ってしまいました。 一目、広瀬くんに会いたかった田中くんですが、それ以上は何も出来ず帰る事にしました。
そして後日も、その後日も、風邪で欠席。
それが一か月も続いたそうです。
田中くん、仲の良かった広瀬くんの事が、流石に心配になり再び家に行く事に、インターホンを鳴らして見ると誰も出なかったそうです。 というよりも、インターホンが壊れているのか音さえ鳴らなかったそうです。
どうしても広瀬くんの事が気になっていたので、ドアノブに手をかけ廻してみると、鍵が掛かって おらず、ドアが開き、田中くん、恐る恐る中を見てみると、
廊下の左手の障子が少し空いており中が見え、広瀬くんが仏壇の前に寝ており、後ろから
「清めたまえ、清めたまえ、清めたまえ」
と声が、そして、こちらに気づいたのか、先日出てきた広瀬くんのお母さんらしき人が、こちらを見てキッと睨みつけてきたそうで、田中くん怖くなり逃げ帰ったそうです。
その後も広瀬くんは学校には来ず、暫くして、先生から
「広瀬は親の都合で転校になった」
と気まずそうにそれだけ告げられて終わりました。 今でも田中くんはあの光景が忘れられないそうです。
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