第42話 『あんず飴』(BJ・お題 『祭り』)
串に刺したものにはけで塗る作業を繰り返す男
隣できょろきょろ見回し、前を覗き込む女。
引かれた手をほどき、その向かいに駆け寄ってしゃがむ女の子。
「Cool」と、カメラのシャッターを切る男。
「あっちはあんず飴を売っていて、あっちが焼きそば屋に並んでいて、金魚すくいを覗き込む子と、写真を撮っている外国人。祭りだね」
「しっ、よせよ」
男の手にはなにもなく、何かを塗るような動きをしているだけ。
隣の女は宙を見ているだけ。
しゃがみ込んでいるのは子供ではなく老人でただ地面を見ていて。
長身の男はカメラも持ってないのにシャッターを切る。
一時間近く続く広場の光景。