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第44話 怪談『エレベーター』(バス & BJ・お題 即興リレー怪談)



(この話は、バスとBJが交互に文章を述べて作った即興怪談の書き起こしです)


この体験は、私があるショッピングモールに行ったときの話になります。そのショッピングモールなんですけれど、かなり大きくて、最近オープンして人も多いと。で、エレベーターの数もたくさんあるんです。無数にある、と。で、私は買いたいものがあったんで、南の1と書いたエレベーターに乗ることにしました。

すると、南1のエレベーターは3階に行く途中で止まってしまいました。中には、もう一人だけ女性が乗っています。

その女性なんですけど、奇妙ないでたちをしていました。とても昼間だとは思えなかったですね。格好から言うと、服がボロボロ。下はスカートを履いているんですけれど、スカートも破れている、と。で、靴なんですけれど、履いているんですけれど黒くなってて、年季が入っている、と。

そして静かに言うんですよ。


「北1にすればよかった・・」


その言葉を聞いたときに分からなかったんですね。ん?なんて言ったんだ、この人は?って考えていたんですよ。ちょっとその女性と自分との距離があったもんで、その声が聞こえなかったと。これが自分に向けられたものだとは思わなかったんで、知らないふりをしていました。

そうするとまた言うんですね。


「東2じゃダメだしね」


今度ははっきり聞こえたんですよ。その言葉を聞いて


「何を言っているのかな?」


いや、考えればなんか自分に言っているようにも聞こえるし、いやそうじゃないようにも聞こえるし。

で、


「次は西3が落ちた」


その言葉、引っかかったんですね。落ちたってなんだろうって。落ちた?なにが落ちたのかな?ま、そうこう言ってるうちに、エレベーターは止まったんですよ。でエレベーターが、開いたときに……


なんか外が騒がしいんですね。そうするとなんか、エレベーターの事故が多発してたんですよ。

まあ自分のエレベーターは開いたんですけれど、なんかエレベーターが止まってるとか故障しているとか、そんな話があったんで。でまあ、ぱっと振り向いたらその女性はいなかったんですよ。


「あれ、どこに行ったんだ?」


って探したんですけれど、見当たらない。まあ、その女性は、自分に言ってたんではないんだろうなと思って、そのままエレベーターを降りて、とりあえずは周りの様子を伺うことにしました。

そうすると、配電の関係で起きた事故らしいんですが、北1はですね、完全にケーブルが切れるという珍しい事故が起こってですね、たまたま人が乗っていなかったんですが、下まで落下してしまったっていうことなんですね。で、それに気づいたときにまた声が聞こえてきたんですよ。

で、その声の主はこういうんですよ。


「もう助からないからね・・もう助からないからね」



気がつくと、病院のベッドの上にいました。

目が覚めて、見た光景は、周りにはたくさんの負傷者。要は包帯を巻いた人がたくさんいたんですね。で、自分も、いっぱい怪我をしてたんですけれども、隣には一緒に行った自分の奥さんがーーショッピングモールでは別に行動してたんですけれどもーー奥さんが包帯にぐるぐる巻きになって、なんとか顔だけは分かる状態になってそのベッドの上にいました。

爆弾がしかけられていたということでした。

その爆弾の犯人は分かりませんでした。ですがその後の情報では、女性が仕掛けたんじゃないか。その女性は、そのままその場所からいなくなってしまったということで、犯人は捕まっておらずです。

結局、私はそのエレベーターに乗ってたので助かったんですね。そしてあの時の言葉が思い出されるんですよね。「北1にすればよかった」

北1にすればどうなったかっていう。自分の奥さんが乗っていたのが北1だって話してました。話してたんですが、まあその後奥さんは助からなく、そのまま帰らぬ人になってしまいました。


北1にはだれも乗っていなかった、というのと、奥さんが乗っていた、というのが矛盾しますが、そこは即興ですので悪しからず^^;


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