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第89話 怪談『冬になると思い出すこと』(バス・お題 『冬』)
友人のTさんの体験になります。
いつもかかさず運動でジョギングをしているTさん。
その日は雪が降っており、ジョギングに出ようか、迷っていたが、毎日の日課のジョギング、止めるのはどうも嫌だった。
休日で、朝早く目が覚めたこともあり、時計を見るとまだ5時、外は暗いが今から走ると午後はゆっくりできるなと考えた。
走り始めると、体も温まり、気付くと隣の町まで走っていた、近くに森林公園があり、ここは広そうだな、ひとっ走りして帰ると丁度いい運動だと思い入ることに。
2キロくらい走ってふと森に目をやると、誰かが倒れている。
いけない!と思いかけより見てみると女の人が倒れていた、冬のせいもあるのか、触ると冷たく、 もしかしたら死んでるかも。
早く誰か呼ばないと。その場を離れ周りを見渡すが当然、朝の5時すぎ誰もいない。
「おーい、誰かー」叫ぶと
丁度、散歩をしていたお年寄りの方が
「どうしたんね」
「あちらに女性が倒れてて」
「えっ!そりゃ大変だ!」
と二人で、女性が倒れている場所に行くとそこには、シーンとした森があり人気はない、倒れている女性もいない。
そんな状況でした。
「いや、確かに見たんだが、、、」
「もしかしたら意識を取り戻して帰ったんかもねー」
そんな会話をしたが、あの冷たさは死人の様だった。
奇妙な体験をして、その森林公園を一周する気力がなくなり、帰路につくことに。余りの疲れに時間的にもバスに乗って帰れると思い、丁度近くに始発のバスが来たので 、最寄りのバス停まで乗車していると、ふと走った疲れと奇妙な体験の疲れからかウトウトしてきた。
「・・・ゃ」
「・・・ぎゃー」
「おぎゃー、おぎゃー」
ん?赤ちゃんの鳴き声? あれ、近くから聞こえるけどこのバス自分しか乗ってないんじゃ?
声は座席の下の方から聞こえてきていた。 目を開け恐る恐る目をやると、赤ちゃんが赤い目をしてこちらをみて泣いている。
「うおっ!」
思わず座席から離れ、もう一度見てみると、そこには誰もいない。
「いや、一日にそんな奇妙な体験を二度するとは思わなかったよ、あの女性と赤ん坊 関係あるのか分からないけどもう二度とあの辺りには暗い時は行きたくないね」
雪が降るとその出来事をTさんは思い出すそうです。
動画はこちら。