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第98話 都市伝説 『ジョンベネ事件の謎』(BJ)
ジョンベネちゃんが殺害された事件は、25年を経た今もなお未解決の事件としてよく知られており、世界中のメディアで幾度となくセンセーショナルに取り扱われています。
事件の経過
改めてこの事件の経過をまとめてみましょう。
1996年12月26日早朝、ボルダー警察署にジョンベネの母パッツィーから「娘が誘拐された」という911番通報があり、警察はラムジー家にかけつけた。ラムジー夫妻が警察官に渡した脅迫状はメモ用紙に2ページ半に渡り手書きされたもので、身代金の要求額は118,000ドルであった。脅迫状には午前10時ごろ連絡するとあり、父ジョンは身代金を用意した。だが10時を過ぎても犯人から連絡はなかった。
午後1時過ぎ、父親が地下室でジョンベネの遺体を発見。その口には粘着テープが貼られ、首には紐が巻きつけられていた。また、手のひらにはハートマークが描かれていた。その後の法医解剖で、首を締められたことと、鈍器による頭部の外傷が死因であることが明らかになった。また膣にも外傷が認められた。
ジョンベネは全米有数の大富豪、ラムジー家に生まれ、数々の美人コンテストで優勝していたことから、タブロイド紙やテレビが事件を大きく報道する。性的虐待が行われていた痕跡や、父が第一発見者であったことから、両親に疑惑の目が向けられた。犯人は未だに見つかっていない。
考察
汚染される現場
実は両親は警察に通報した後、友人である医師と弁護士と牧師を家に呼んでいます。また夫妻がジョンベネの体にすがりついて泣き叫んだといった行為のために、どうにも両親が怪しく思えてしまいます。実際警察やマスコミにも疑惑の目を向けられます。
二人は警察への証拠の提出も拒みます。
脅迫状
脅迫状では118,000ドルの身代金を要求していました。
ここが疑問点です。金額が中途半端な上に、大富豪のラムジー家に要求するには少なすぎます。
どういうことでしょう?
実はこの金額、父ジョンのボーナスと同じ金額でした。
ということは、犯人は身内だと思いませんか?
美少女コンテストの女王
ジョンベネは数々の美少女コンテストに出場していました。母親は彼女がミス・アメリカになることを期待していたのです。というのは、母親パトリシアもその母ネドラから、ミス・アメリカ になることを期待されて育ちました。
ですが、パトリシアはミス・アメリカにはなれませんでした。
ジョンベネは母と祖母の夢を背負っていたのです。
ジョンベネが獲得した肩書
「リトル・ミス・シャルルボワ」、「アメリカ・ロイヤル・ミス」、「コロラド・オールスター・キッズ・カバーガール」、「リトル・ミス・コロラド」、「リトル・ミス・クリスマス」… 等
ジョンベネにステージ衣装を着せ、歌とダンスのレッスンをし、化粧のために何時間も座らさ、髪もブロンドに脱色する…そんな母親でした。ステージママというものです。ジョンベネはそれをいやがっていました。これは虐待なのではないでしょうか?
「あれは本当は私のじゃないの。みんな、ママのトロフィーなのよ」
ジョンベネ
そんな彼女が、無残にも殺されたという一連の話は、白雪姫に類似しています。白雪姫が何歳であったか知っていますか?グリム童話の白雪姫は、7歳です。そんな
幼い頃から母親に嫉妬され、命を狙われたのです。(なお意地悪なお妃は、実は白雪姫の実母です。第2版以後からグリム兄弟の判断で、「母」が「継母」と書き換えられてしまいました)
・・Als es sieben Jahre alt war, war es so schön, wie der klare Tag und schöner als die Königin selbst…
ミス・ウェストヴァージニアにしかなれず、卵巣癌を患い老けていったジョンベネの母も、大人の魅力を持つ6歳の娘に嫉妬していたのではないでしょうか?
ガラスの棺
ジョンベネが亡くなってから、はや、25年たちました。
それでも人々はジョンベネのことを思い出し、その映像を再生します。
私には気になるものがあります。
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愛、潔白、成功
家族と
世界への贈り物
ジョンベネという名前は、父親のジョン・ベネット・ラムジーからつけられました。少女は、まるで他者に所有され、見られ、利用され、消費されるために生まれたようであり、死んでもなおそれが続いているかのようです。ガラスの棺とは、永遠に老いることなく美しい彼女の肖像のことです。
いかがでしょうか?ジョンベネの事件は白雪姫の童話とそっくりではないでしょうか?
彼女が愛されていたことは事実でしょう。不適切な扱いは、それ故に起こることがあるのもまた事実です。
私は両親が犯人であると断定するつもりはありません。警察もDNA鑑定の結果などから、両親を疑うことをやめています(ただ、両親の他人に疑われるような身勝手な振る舞いのせいで、警察の捜査が遅れてしまったのはやはり問題であったと思います)。今回とくに強調したかったのは、ジョンベネという少女の人生が、果たしてどれだけ自分自身のものであっただろうか、という疑問です。
(この記事もまた、彼女を消費しているのかもしれませんが…)
現代の白雪姫物語、ジョンベネの話でした。