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第62話 都市伝説『未知との遭遇』(BJ・お題 『出会い』)


出会いは出会いでも、未確認飛行物体のと出会い、「未知との遭遇」の話をしたいと思います。

『未知との遭遇』というのは、スティーブン・スピルバーグ監督の代表作の邦題で、原題は『Close Encounters of the Third Kind』、直訳すると『第3種接近遭遇』と言われる、ジョセフ・アレン・ハイネックという学者が提唱したUFOについての専門用語です。

また、それとはべつに『ファースト・コンタクト』という言葉もあります。これはもともと文化人類学の用語で、異なる文明が最初に出会うことです。転じて、SFの世界ではほかの星の文明と接点を持つ最初の出会いのことを意味します。(ちなみに『ファーストコンタクト』というコンタクトレンズの会社があって、そのコマーシャルにUFOに乗った異星人の絵が描かれていましたが、これはそのことをさりげなく踏まえているわけです)


UFOの実在についてはいろいろな意見もあり、この『怪談会談』でも以前対談をしたので、そちらもご覧になっていただければと思います。ちなみに「第1種接近遭遇」「第2種接近遭遇」「第3種接近遭遇」と分類したハイネックは、UFOが実在するとしか説明しえない実例をいくつも挙げています。
今日はこれについて説明しましょう。

この分類はとても有名なもので、Wikipediaにも出ています。第1種、第2種と数字が上がるごとに、UFOとの関わりは深くなっていきます。これはUFOに影響を受けていない状態から、より影響を受ける状態になる、とも言えます。


まず『第1種接近遭遇』とは、UFOをはっきりと見ることです。異星人はまだ見ません。害もなければ直接の恩恵もありません。

それでも、珍しいものを見られたと驚き、人によっては嬉しいところではあるでしょう。昔はUFOの目撃報告も多く、オカルトや超常現象ににまったく関心のない私の母親も見たことがありましたし、先輩が写真を撮ったこともありました。また今でも、飛行機のパイロットはかなりの割合でUFOを見ていると聞いています。

『第2種接近遭遇』
これは、UFOが周りに何らかの跡を残すことです。見たというだけではなく、なんらかの物理的影響を及ぼします。

『第3種接近遭遇』は、異星人と出会うことです。


ここでお聞きしたいのですが、UFOに遭遇したら、どうしますか?
手を振ったりして交流を試みる人もいるでしょう。隠れるとか逃げるという人もいるでしょう。
私が小さい頃に読んだ児童用の本には、UFOを見たらとにかく逃げろ、と書いてありました。なにをされるかまったく未知で、どんな危険があるかも分からないからです。
映画インディペンデンスデイでは、異星人と友好な関係が築けると信じて疑わず異星人の乗り物(専門的には『エイリアン・クラフト』と言いますが)に近づいていった人たちが、真っ先に殺されてしまいました。

このように攻撃を受けたり、UFOに誘拐され異星人にインプラントを埋め込まれるといった体験を指して、第4種接近遭遇と言うこともあります。
ハイネック博士の定義によるものではなく、あまり一般的ではないのですが、このように接近遭遇には第4種以降もあります。


あ、と私は気づいてしまいました

それぞれの接近遭遇は、幽霊や怪物などの怪異なものとの遭遇についても応用できるのです。

映画で言いますと『13日の金曜日』ならばジェイソンとの遭遇ですし、『エクソシスト』ならば悪魔との遭遇だと言えます。

ホラーはほぼ全部「出会い」の物語です(笑)
「出会いの物語」などというととてもロマンチックに聞こえてしまいますが、そういう点では恋愛物語とホラーの根っこは同じです。どちらも、だれかに出会って心拍数が高まる話なのですから。違いは片思いをするか、されるかということです。


目撃する、出会う、知ってしまうといった第1種接近遭遇
知人が事故に遭う、飼っている犬が死ぬ、警告文が投げ込まれるといった第2種接近遭遇
襲われる、取り憑かれる、呪われるといった第3種接近遭遇

といったように物語を徐々に組み立てていくとホラーが出来上がるのではないでしょうか?

さらに、出会う前の準備段階も設けるとよいでしょう。『接近未遭遇』の段階、怪異なものがいるということを間接的に知る。『第0種接近遭遇』です。

これに、攻撃をされる『第4種接近遭遇』、さらに深く怪異なものとコミュニケーションを取る『第5種接近遭遇』と続けて、エンディングに持っていけます。


「最も強い恐怖は未知の恐怖である」とホラー作家、ラヴクラフトは言いました。

「怪異との遭遇」こそ「未知との遭遇」であることに気づけば、あなたも良いホラー小説が書けるかもしれませんよ?



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