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早押しクイズにひそむ儀礼

※この記事はぷろおごサロンの #プロ奢儀礼研レポート に提出することを目的として執筆したものです。
※一部、早押しクイズを揶揄するように読める文章があるかもしれないですが、他意はないです。クイズになじみがない人にもおもしろく読んでもらえるよう書いたらこうなりました。


こんばんは。かいだこです。
儀礼研は自分的には「ただ存在していた」くらいで、すごく不真面目な学生だった(教科書を読まない∧知識を入れようとしない∧考えようとしないのトリプルコンボで茶々いれてるだけだった)ので、レポートもすごく不真面目に書いていきたい。ただただ思いついたことを書いていきます。
ぶっちゃけあれです。早くお昼を食べに行きたいのに即レポを書かなきゃいけないから、とりあえず渡された紙くらいは埋めよう、くらいのモチベです。手癖で書きます。ごめんなさい。

 * * *

さて。
僕からは、「早押しクイズ村」の民の儀礼をご紹介しようと思う。
早押しクイズ村とは、早押しクイズの好きな人が集う村。最近はソーシャルディスタンスだなんだでオンラインへの移行が進んでいるが、毎週のように早押しクイズを行っている人がいることは変わっていない。

早押しクイズ村の儀礼

早押しクイズ村には、毎日、幾度となく繰り返す儀礼がある。
手順を簡単に書き示すと、以下の通りである。

① 問い読み(※問題を読む人)が「問題」と発声する。
② 解答者席に座る人を含む、その場にいる全員が黙り込む
③ 問読みはクイズの問題を読み上げる。
④ 解答者席に座る者のうち、答えたいと思った者が、ボタンを押す。
⑤ 自分の手元のボタンが光った者が解答権を得て、解答する。
⑥ 正誤判定のブザーが鳴る。
⑦ 発声や拍手が許されるようになる。
⑧ やがて①に戻る。問題の数だけ繰り返す。

ほとんどのクイズ大会やアマチュアのクイズ好きの会合では、この儀礼が幾度となく繰り返されるのだ。

以下では、各番号についてもう少し詳しい解説を加えるとともに、どのあたりが儀礼といえるのかについて考察していく。

① 「問題」という発声

②全員が黙り込む

問い読みが「問題」と言った瞬間から、クイズの会場は、静寂であることが是とされる。しゃべるのはもちろん、くしゃみやドアの開閉をしたって白い目で見られる。クイズという"聖なるもの"を扱うのだ。
第一局面――「クイズの問題文」というトーテムを殖やすための時間、と言えるかもしれない。

③問題が読み上げられる

解答がギリギリ可能な程度の情報量が得られるまで、「クイズの問題文」というトーテムが育っていく。解答者席に座る者たちは、「自分が答えられるギリギリ」を狙って早押しボタンを押す。それまでは必死に待つ。
早く押しすぎてしまうと答えられないし、一度押されてしまった問題はもう使えないので「問題を潰した」と白眼視されることもある(儀礼っぽい!)。かといって、答えをゆっくり思い出してから押したのでは、他の人に解答権を先に獲られてしまう可能性が高い。ギリギリを攻めなければならないのだ。

④答えたいと思ったものが、ボタンを押す

この儀礼に特徴的なのは、「第一局面の開始を告げる者と第二局面の開始を告げる者が異なる」ところかもしれない。
早押しクイズの儀礼において、第二局面の開始を告げる者は、不定である。解答者席に座り、早押しボタンを手に持った誰か、である。
「わからない」と「わかる」の境界線、ぎりぎりのギリギリを攻めたものに、解答権――すなわち、一番にトーテムにありつく権利が与えられるのだ。

⑤自分の手元のボタンが光った者がクイズに解答する

基本的に、早押しクイズに対して解答できるのは、ひとりだけ。
クイズと闘うために早押しボタンという武器を持ち(大きい大会では、早押しボタンを手にすることができるのがごく一部の上位層ということもある)、少しずつかたちが明らかになる問題文に果敢に挑み、「俺なら仕留められるぞ」と高らかに名乗りを上げ、手元のランプを光らせたものにのみ、もっとも甘美な、クイズという獣の肉は与えられるのだ。

⑥正誤判定のブザーが鳴る

⑦発声や拍手が許されるようになる

解答者が、狩りに成功したか(ピンポン)失敗したか(ブー)は、すぐにその場の人々に明らかになる。クイズ大会という場では、成功したならば拍手が与えられる。もう少しカジュアルな、ただ集まってクイズをやっているような場の場合は、「正解したものへの賛辞」「自分がうまく"狩れなかった"ことへの反省」「問題で問うている内容や問題文に対するコメント」などが飛び交う。

もっとも美味な「クイズそのものに正解する」という部位は解答者が平らげてしまうが、残りのモツだったり中落ちだったりの部分はまだまだ食べられる。そっちを食べるのが好きでクイズをやっている人も、たくさんいる。
トロばかりじゃ、胃もたれしちゃうからね。

……こういう比喩を使うと、クイズのこの一連のしきたり、すごくインティチュマっぽく見えてきませんか?
正解者が出た後の一連の盛り上がりが、「集団的沸騰」ってほど沸騰してるかどうかはわかんないけど。

⑧やがて①に戻る。繰り返す。

こうして循環するところも、"儀礼"であるための大事なポイントでした。大規模な大会だと、1日に500回以上、この儀礼が繰り返されるのです。

感想

こうして書き起こしてみると、実はこのシステムは非常によくできているのでは?という気持ちになった。
早押しクイズをやるのなら、周囲の環境は静かな方がいいに決まっている。一方で、せっかく人前でクイズをやっているのだから、合間には拍手をしたいししゃべりたい。みんな中落ちを食べたいのだ。マグロおいしいよね。
その折衷案としての、「『問題』と言われたら黙る」――これは(おそらく自然発生ではあるが)実に巧妙な儀礼だと思わされた。

不自然でないのもよい。新参者がいても、「クイズが読まれそうになったら静かにした方がよい」くらいは常識的/論理的に考えが至るだろうし、「その合図としての『問題』なのだ」ということにも早晩気付くだろう。
よそから早押しクイズ村に迷い込んできた新住民に対しても、チュートリアルなしにこの「儀礼」が浸透しやすいということだ。すばらしい。


もっと詳しく掘ろうとすると「この儀礼の発生源は」や「僕がこれを儀礼と認識したワケ」を考えることになるが、それはまたの機会の課題としたい。

よーし、2500字!これならAくるっしょ!(ダメ大学生特有の考え)



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