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人生でいちばん苦しかった漫画制作
新作公開を目前に、前作の制作を思い返しています。
前作『スポットライトを浴びたくて……』は、本名名義に変えてから最初の作品制作でした。
それまでの自分を切り離すように名義を変え、SNSアカウントも全部新しくしてのスタートだったので、
石井嘉一郎として皆さんにお見せできる作品がない状態でした。
それまでも漫画はたくさん描いてきたのですが、当時はそれまでの自分が嫌で仕方がなかったので、
描いてきた漫画のほとんどを削除、または非公開にし、以前の自分と一緒に評価されることを頑なに拒んでいました。
それが故に、石井嘉一郎としてお見せできる作品がなく、それが故に「漫画家」と名乗ることもできず、何者でもない自分として、甚だ苦しみながら制作していました。
物語は頭の中にあるのに、今すぐお見せすることができない、評価をいただくことができない、
そんなことに焦っていました。
漫画制作はとにかく時間がかかりますし、加えてぼくは極度の遅筆で、
サッと描いて出す、なんてことは到底できず、
前作の制作には9ヶ月の時間を費やしました。
週に4〜7日、日に9〜12時間ばかし描いて、100ページの物語を描き上げました。
この9ヶ月間、特に、前作の見どころである中盤以降を公開するまでの6ヶ月間は、妙な心苦しさが拭えませんでした。
描いても描いても乾いていくような感覚があり、机に向かえない日もありました。
描くこと自体は楽しかったのです。
頭の中を好きなように描き出せる時間は、それは楽しく、孤独の自分は夢中になりながら原稿を描いておりました。
けれど、漫画描きとしての自分、他人との間にしか存在できない人間としての自分は、終始苦しかったように思います。
ありがたいことに、そんな精神状態でもご縁には恵まれて、たくさんの方に応援していただきながら最後まで描き上げることができました。
完結後はたくさんの感想をいただきました。
いただいた感想は多分に心に沁み入り、
読めば読むほど心が潤っていくのを感じていました。
世界と繋がれた感覚を覚えました。
人間としての喜びを感じることができました。
自分を漫画家として意識できるようになりました。
また描きたいと、強く想いました。
皆さんのおかげで、今回の新作は「漫画家」という意識で制作することができています。
それが故の重圧もあるのですが、前作の制作時と違い、苦しい氣持ちは一切ありません。
身体は幾分かしんどいですが、心はすこぶる元氣です。
ぼくの作品が届くことは前作で実感できたので、
あとは自分と皆さんを信じて、頭の中の物語を思い切り描き出すだけです。
新作公開まであと1日。
至らないところの多い未熟者の作家ですが、
なんとか今回も応援していただけたら幸いです。
遮二無二描いていきます。
よろしくお願いいたします。
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—なんのために生きるのかを問う物語—
『いいねなんかがあるせいで、』
===== 3月22日 18時 公開 =====
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