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あれこれ考えず自分の見てる世界を映し出せばいいのだ

絵に海苔が貼ってあった。

お寿司のネタを擬人化した女の子の絵。

軍艦の海苔を絵で表現するのではなく、海苔で海苔を表現していた。

これは一本取られた。


猫と女の子を描く芸術家、AAA_chan(あーちゃん)の復活個展へ行ってきた。

チョコンとした可愛さの中に色氣が含まれている、なんとも不思議な作品を作る画家だ。


彼女の作品を見ていると、“正しさ”なんてどうでもよく思えてくる。

正しいかどうかは関係なく、ただ、彼女が見ている世界がそこに映し出されているだけだった。



お寿司のエビアボカドをモチーフにした女の子がいた。

海苔を巻いたシャリの上に、玉ねぎとアボカド。その上に、小さい女の子が座っていて、頭にはエビの身を被っている。

エビの女の子の身の部分に、ラインストーンの装飾が施されていた。

キャンバスに、ピンク色に輝くエビの身。

エビの身はそんなに輝いて見えるだろうか。

一般的なお寿司のエビアボカドに、海苔が巻いてあるかどうかは氣になったところだが、それはさておき。

衝撃だったのは、女の子の姿だ。

エビの身を被った女の子が、普通にアボカドを食べていた。

お寿司のネタとして、一緒に乗っているもの同士のはずが、あろうことか、ネタがネタを食べていたのだ。


そうか。お寿司の女の子もお腹が空いているのか。そうだよな。

つい、そんなことを思ってしまった。


イカをモチーフにした女の子の絵も、一風変わっていた。

イカのネタといえば、薄く四角に切られた身だが、イカの女の子は、ヤリイカのような姿の身に包まれていた。

シャリの上にも乗っていないし、なんなら、お皿は赤いヒールだった。

自分でも書いていて、何を言っているかわからない。

ただ、美しかったのは、ゲソと言われているイカの足の部分の表現が、とても色鮮やかだったこと。

お寿司のネタの表現としては、1ミリも正しくない。

ただ、面白く、可愛く、セクシーで、美しい表現がそこにあった。



なんと自由な表現なのか。




どういう経緯でこのお寿司の女の子たちが誕生したのか、AAA_chan(あーちゃん)に聴いてみた。

AAA_chan(あーちゃん)には、回転寿司で回っているお寿司が、エレクトリカルパレードのように見えるらしい。

光輝きながら回っているお寿司たちが、わちゃわちゃしているように見えているのだろうか。

だから、ネタは輝いていたり、宙に浮いていたりするのだろう。



この日、ぼくが画廊に滞在していた数時間で、何十人もの人が訪れてきた様子を踏まえても、正しさの必要性を考えさせられる。





現代社会を生きていると、つい、正解を求めがちだ。

あれが正しい、これは間違ってる。ああした方がいい。こうするのはよくない。

判断することはよくないという意識は持っていながらも、いつの間にか、ドツボにハマっているときがある。

俯瞰してみたら、割とどうでもいいようなことで、間違ってないかどうか悩んでいたりする。



正解なんて、どこにあるというのか。誰が証明できるというのか。倫理や道徳の良し悪しだって、時代で変わる世の中だ。




見たままを映しだせばいいのだと、AAA_chanに背中を押された氣分だった。

これでいいのだ。そのままでいいのだ。

思うままに、自分の世界を映し出せばいいのだと、作品と空間が伝えてくれたような氣がした。





AAA_chanお絵描き復活記念
『猫と女の子と色々展覧会』

渋谷のSOCIAL TOKYOさんで、5月22日まで開催中。

●概要 『猫と女の子と色々展覧会』
●場所 SOCIAL TOKYO
    〒150-0002
    東京都渋谷区渋谷1丁目22-5-1F
     (渋谷駅から徒歩5分)

●期間 5月20日〜5月22日
●時間 11:00〜18:00(最終日のみ17:00)



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AAA_chan(あーちゃん)
猫と女の子を描く芸術家

死んだ魚の目のOLを脱出。
OL中は20年間大好きだったお絵描きを封印していた。
ある日、ひょんなことがキッカケでお絵描きを復活!

運命のiPadに出会う。

自分の好きな分野での活動を決意。
世界に羽ばたく。

AAA_chan(あーちゃん)の情報はこちら▼



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最後まで読んでくださってありがとうございます。

漫画を描いています。

音楽好きな主人公が、音楽をやらず無難な日々を過ごし、自分の人生に葛藤する話です。

無料なので、よかったら読んでみてください。

漫画『スポットライトを浴びたくて……』▼


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今作『スポットライトを浴びたくて……』にかける想いを綴りました。よかったら読んでください。

随筆『ぼくが4年間、新作を描けなかった理由』▼


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『スポットライトを浴びたくて……』制作支援 あと10日

ご支援金額:1,194,000円+3,000円
目標金額:1,400,000円
支援者数:104名

続々とご支援いただいております。ありがとうございます。
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