人生を造るのは出逢う人
漫画を描いて十余年、最近は時折カメラマンになる。
明日から4日間、撮影のお仕事で福岡へ。
売れても売れなくてもずっと漫画を描いているだけの人生と思っていたが、人生、何があるかわからないものだ。
きっかけは写真を褒めてもらえたこと。スマホで何氣なく撮った写真を彼女はとても氣に入ってくれた。以来、彼女はぼくを「専属カメラマン」と呼び、彼女が個展を開催する度に撮影を任されている。
(というか、専属だったら他でのお仕事ができないではないかと今になって氣がついた)
おかげさまで随分と貴重な経験をさせてもらっている。
渋谷個展では写真集を、大阪個展、静岡個展では写真集と映像を制作させてもらった。
毎回、なんというか、胸いっぱいになるのである。涙を流さない個展はない。
忘れていたものを思い出させてくれるというか、染みついた穢れを落としてくれるというか。
とにかく、自分と相手をどこまでも大切にする「しんこきゅう展」という名の彼女の個展は、いつもあたたかい空氣に包まれているのである。
描けなかった漫画が再び描けるようになったのは「しんこきゅう展」のおかげである。
当時、結果に囚われながら描いていた私は、いつしかパッタリと描けなくなってしまった。
やがて「好き」という感情すらも疑い始めた。本当は漫画を描くことが好きでないのではとの疑念を抱くようになってからは心底苦しんだものである。私にこれまで三度あった、筆を折るタイミングの一度だった。
最初の「しんこきゅう展」、渋谷個展はそんな最中に開催された。
彼女の、自分を全開にした個展に衝撃を受けたものだ。
「こんなことをやっていいのか」と。
結果に囚われて描いていた私にとって、彼女の個展はあまりにも斬新だったのである。
自分のやることは全て正解ではないと思うようになったのはいつからだろうか。〝センスがない〟と矢鱈に言われるようになったのは中学に入ってからである。自分を信じれなくなってったのもまた同時期だ。
兎に角、私にはセンスがないのだ。
そう思って歳の半分も生きたであろう。
こんなことを書いているとまた心が騒ついてくる。
自分はセンスがないのが常であるから、自分のやることは全て正しくないのである。
渋谷個展を経験するまではそんな自分だったと思う。
だから、よく周りの言葉に流されたり、結果を氣にして描いたりしていたのだと思う。
けれど、そんな自分を、「しんこきゅう展」が変えてくれたのである。
おかげでまた漫画が描けるようになった。
自分全開の漫画を描いてやったのだ。
そして今、その漫画がたくさんの方々に読んでいただけて、感想もたくさん届いているのである。
彼女と出逢っていなかったら今頃どうなっていたのかと考えると少し怖い。怖いから、この先は考えたことがない。
兎に角、「しんこきゅう展」にぼくは大変お世話になっているのだ。
渋谷個展の次、大阪個展の時には再び漫画を描いていたし、大阪個展で知り合った何人もの方から、その漫画を描くための制作支援をいただいた。おかげで漫画を最後まで描き上げることが叶ったのだ。
そのまた次の静岡個展のときにはすでに漫画が完成していたが、新しい出逢いがあった。静岡個展がきっかけで知り合った、表皮水疱症という難病の方がいるのだが、その方が患者会の代表理事で、患者会の全国交流会にカメラマンとしてご招待いただいた。詳しく書くと長くなるので割愛するが、この体験も私の価値観に大きな影響を与えている。
「しんこきゅう展」に出逢う前の自分を思うと、心情の変化に、行動の変化に、途轍もない影響を与えてもらっているのである。
点描画家hiromiには感謝しても仕切れない。
漫画を描いているだけでは辿り着けなかったであろうところに、今私はいるのである。
こんなこと想像もしていなかったが、救われている心がいくつもある。
出逢いとは不思議だ。
4度目となる福岡個展で、彼女は新しい試みをする。
「障害者」「健常者」垣根ない個展を開催したい
というもの。
実際に、前途した表皮水疱症という難病の方をお招きしているし、他にも、難病をお持ちの方が幾人かご来場予定である。
この個展を受けて、きっとまた変化するであろう。
私は今回の個展で何を見るのか、何を撮るのか、楽しみで仕様がない。
なんだか取り止めのない文章になってしまった。
駄文をば失礼。
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❗️点描画家hiromi 福岡個展開催❗️
「しんこきゅう展 in KUSUNOKI」
12/15(金) 11時~19時
12/16(土) 11時~19時
12/17(日) 11時~17時
入場無料
福岡県福岡市中央区赤坂3丁目6−37
※個展(クラファン)の売上の一部は表皮水疱症友の会、WITH ALSの支援団体へ寄付させていただきます。
gallery KUSUNOKI▼
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