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限りある楽しい瞬間を大切に

楽しいと感じることが年々減っていく。

子供の頃に感じていた“爆発的なワクワク感”を、大人になってからは感じることがなくなった。小〜中くらい規模のワクワク感を感じることはあるが、爆発的に感じることはもうない。

新鮮な経験は、同じことの繰り返しでは得られないようだ。

先日鬼ほど久しぶりに、爆発的なワクワク感を感じることができた。もう32歳の自分だが、この年でこれだけのワクワク感を感じれるのは奇跡ではないだろうかと思ってしまう。

子供の頃は、似たようなワクワク感をよく感じていた。

今でも強く覚えているのは、遊戯王カードのパックを開ける瞬間だ。

小学3年生のとき、学校で遊戯王カードが流行りだした。5枚入り150円のカードパックを開ける瞬間に爆発的なワクワク感を感じていた。パックにはランダムにカードが入っていて、中身は開けるまでわからない。お目当てのものを引きたいが一心で、限りあるお小遣いで何度もパックを買ったものだ。

開ける瞬間は、お目当てのカードで自分のデッキを強くしたり、レアなカードを手に入れて友達に自慢したりする姿を想像する。現実はそうそう当たりを引くことはできなく、ガックリすることの方が圧倒的に多かったのだが、パックを開ける瞬間のワクワク感がたまらなく好きだった。

中学生になっても遊戯王カードはやっていた。しかし、その年頃になると、カードのパックを買ってもワクワクしていない自分がいることに氣がつく。同じ遊びをしているのに、なぜか、小学生の頃のような爆発的なワクワク感を感じない。

気持ちのギャップに抱く寂しさを国語の授業の作文で書いた。「あの頃にはもう戻れないのか」とか、そんな内容だったと思う。授業の作文に書くくらい、ぼくにとって寂しい体験だった。

32歳の今、久しく感じていなかった爆発的なワクワク感を、音楽に感じている。この年で音楽を始めることにしたのだが、先日、MIDIキーボードを使ってオリジナルのメロディを奏でてみた。人生で初めて、オリジナルのメロディを機会で奏でた。音楽に精通している人から見たら、とても稚拙な行為だっただろうが、

たまらなく楽しかった。

心がとてもワクワクしていることがわかる、脳みそがとても喜んでいることがわかる。これだけワクワクしたのは、子供の頃以来ではないだろうか。

音楽活動には以前から興味があったのだが、自分に言い訳をつけて結局踏み出せないでいた。効率や打算、安定などを考えている間に、腰がすっかり漬物石のようになっていた。この年になってようやく重い腰を上げているが、こんなに楽しいと感じることなら、もっと早く手をつけていれば良かったと思う。

この爆発的なワクワク感を味わうことは、この後の人生で何度あるだろうか。次があるかもわからない。どう過ごしても人生は人生。この出逢いを、この感情を、大切にしたいと思い、筆を取った次第である。

人生は短い。限りある楽しい瞬間を大切に生きていきたい。

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