好きなことで道に迷うのは、好きを分解できていなかったからだった話

「好きなことを仕事にした方がいい」

そう考えて始めた漫画制作のお仕事に、ずいぶんと苦しめられていました。漫画を描いている時間は確かに楽しさはあったのですが、それ以外のほとんどが辛かったように思います。仕事がない時は必死に走り回って仕事をとり、仕事が来たらそっちで体力と精神と時間を使い果たし、仕事が終わればまた別の仕事を取りにいき…。そんな生活は、僕にとっては「好きなことで生きていく」ではありませんでした。

そのときの心情はこちらに思いのまま綴っています▼

そのことに気づき、お仕事をしばらくお休みして、生活を改めること4ヶ月。ようやく、長い長いトンネルを抜けたような気がしています。

創作漫画をここしばらく描いていました。

『短編創作100本チャレンジ』なんて題して始めたこの企画は、これまで13本制作されています。(企画名が長かったので『100本創作』に変更しました)

100本創作まとめ▼
https://twitter.com/i/events/1287352474118975488

これがむちゃくちゃに楽しいのです。

制作中は苦しさも味わうのですが、ずいぶんと心地のいい苦しさです。生みの苦しみを乗り越えた先には、ワクワクと達成感が待っています。自分の物語が動いていくワクワクと、出来上がった時の達成感。読者の反応を想像してつい心が躍ってしまいます。

これと比べてしまうと、誰かに依頼されて描く漫画はさほど楽しくはありません。

僕は自分の〝好き〟を一括りにしすぎていたことに気がつきました。

〝好きなこと〟の内容を細く分解すると、好きなこととそうでないことに分かれていきます。例えば、僕は絵を描くことは好きなのだけれど、難しい背景を描くことは好きではありません。一方で、細かい線を加筆していくことは時間があれば延々とできます。

漫画制作も同じで、誰かに頼まれた漫画を描く(決められたものを作画する)ことはさほど好きではなく、自分で考えた物語を作ることがとてつもなく大好きということに気がつきました。

僕は好きなことで生きていたつもりが、さほど好きではないことで生きていたのですね。やっぱり、お仕事漫画で生活する人生は、僕にとって「好きなことで生きていく」ではなかったんだなと、この4ヶ月で実感しました。

僕が本当にやりたいことは、創作漫画を描き続けることだったのですね。

「漫画の仕事で独立しようと思ってます」と、独立前に漫画関係のお仕事をしている方2名に、別々のタイミングで相談したことがあります。どちらも返答は「やめた方がいい」でした。「アルバイトしながら創作漫画を描いてた方がいい」と、どちらもおっしゃいました。当時の僕は、「絶対そんなことないだろ」と思っていたのですが、結局お二人の言う通りでしたね。お二人は多分、創作漫画を生業にして生きようとする人に、広告漫画のようなお仕事漫画が向いていないことがわかっていたのだと思います。

僕も今回行動したおかげで、そのことを体で理解しました。

〝好きなこと〟と一括りにしているうちは、本当にやりたいことはなかなか見えてこないものです。自分が思っている〝好きなこと〟は、その中のどの分が〝好き〟なのか、一方でどの部分はそこまで好きではないのか、しっかり分解して理解しておく必要があるなと思いました。ここを理解せずに選択すると、進んだ先でまた辛い思いをしてしまうかもしれません。これからも人生のうちで選択することは多々あると思いますが、自分の好きを細かく理解した上で人生を選択していこうと思います。

先日から、Uber eats の配達員になりました。

好きなことで生活していたころと比べると、ずいぶんと生活が変わったように思います。Uber eats のお仕事は、一般的なアルバイトのように一定時間働けば決まったお給料がもらえるという形ではなく、配達した分だけ報酬がもらえるという形です。ですが、まぁ、感覚的にはアルバイトと一緒です。結局、好きじゃないことを本業にしながら、空いた時間に好きなことをやる生活なので、なんだかアルバイト時代に戻ったみたいです。

「落ちぶれたな」なんて思う方もいるでしょう。けれど、今の僕にとってはこっちの生活の方が、「好きなことで生きていく」を体現できています。独立してからお休みするまで、まともに創作漫画を描いていませんでしたからね。

そして今、新しい漫画を作っています。100本創作のような短編ではなく、長編漫画の制作に取り掛かりました。100本創作を13本描く中で、自分らしさみたいなものをだんだん把握してきました。自信がついてきました。

このタイミングで、一度全力で作品をつくってみようと思います。

100本創作も止めません。こちらもできる範囲で継続していきます。
興味ある方は楽しみにしていてください。

僕は弱い人間なので、これからも人生に迷うことはあると思います。でも、その度に自分としっかり向き合って、そのときできるベストな選択をして、そのときに出せる全力のちからで、前に進んでいきます。

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漫画制作の様子は、現在ファンクラブの方で毎日報告しています。僕を応援してくださる方はぜひともファンクラブへご参加ください。

かいちの創作活動を応援するファンクラブ▼
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