映画『ジョーカー』ネタバレほぼなし 感想
バットマンについての知識はあまりなかった。
子供のころテレビで一度くらいは見たことがある。当時ジョーカーを演じていたのははジャック・ニコルソンだった。
昔から、ハリウッドなどは、私がいま生きている世界とは別次元にあるような気がしていて、今回の映画『ジョーカー』もジャック・ニコルソンがやるのか?と思っていたくらい。調べたところもう82歳とのこと…。
実際はホアキン・フェニックス(44歳)が今回のジョーカー役。なんと彼はリバー・フェニックスの弟だそう。
とりあえず「ジョーカーはなかなかの悪役である」という程度の知識しかなかった。
思い入れは特にない。だからこそ誘われて躊躇なく見に行ったのだった。
予告編も見ずに出かけたが、ストーリーはなんとなく読めていた。ジョーカーがどうやって誕生したかという話だというので、"ごく普通の人間が周りに意地悪されたりひどい扱いを受けて次第に悪人になっていく話" なんでしょうと。
個人的には、この手の話はあまり好まない。悪人はつべこべ言わずに悪人でいてほしい。火曜サスペンスなどのラストシーンにありがちな、崖の上で犯人が過去の不幸話をグダグダと語るのも嫌い。リアルな事件でも、犯人は子供のころにいじめられていたとか、ひどい虐待を受けていたなどと聞くとたちまち同情してしまい複雑な気持ちになるのであまり聞きたくなかった。
だから私がバットマンのファンだったら見に行くのを躊躇していたと思う。ジョーカーに同情はしたくないと。
幸い私はバットマンファンではなかったので、案の定思いっきり素直に、迷いなくジョーカーに感情移入をしてしまった。
「自分はだれからも必要とされていない」とか「自分は透明人間なのか」と一度も思ったことのない人の方が少ないとのではないか。だからきっと自分を含め多くの人間がジョーカーに自分の姿を重ね、感情移入し、自分ももしかしたらいつか壊れて極悪人になってしまうかもしれないという恐怖に包まれる。
正直映画を見ている最中は、ハリウッドのいかにもなアクション映画のようなドキドキ、ハラハラはさほどなく思っていたよりも静かに進行する。しかし見終わって色々自分の中で反芻してみると、じわじわと得体のしれない不気味さが生まれてくるのだ。
ただ、ワーナーも「あのジョーカーとこのジョーカーは別物」ラインも排除せずにぼんやりと残している気がする…。どうにでも解釈できるように。信じたくない人は信じなくてもいいように。
あと、映画公開時期の絶妙さ。日本はアメリカと同日に公開。これはきっとかなり頑張ったんだと思う。日本は10月から消費税も上がり、政治に対する不満も大きくなっているタイミング。映画の中のアメリカでも金持ちが優遇される政治が行われており、庶民がデモをするシーンが登場する。デモと言えば香港。これも怖いくらい似たような描写がある。しかもマスク…。
とにかく今見ないと駄目な映画。いつものように配給が半年遅れや1年遅れでは意味がない(かもしれない)。
とりあえずもう一度見て色々確認したい。あと、もう一度バットマンを見てみよう。バットマンを正義の味方として、ジョーカーを悪役として、純粋な目で見れるだろうか。まぁ、演じている役者さんが違うので大丈夫かなぁという気もする。
とにかく、もらったポスターを冷蔵庫に貼るとか普段はしない。完全に心持っていかれてる。
見るべし。
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