どうして日系のカフェは中国で成功しないのか
なんだか怪しい中国マーケターのようなタイトル付けてしまったものの、私は上海にたったの3年住んでただけのずぶの素人なので、専門的なことは全く言えないので了承を。
ただ、一つ言えることは、少なくとも今現在中国で日系のカフェは成功していないということ。
雑すぎる原因を考えるとこれ。
・高い
・そのわりにおしゃれじゃない(映えない)
・味はふつう
と、なかなかいいとこなし。
「日系だから信頼できる」のは化粧品くらいなもので、こと飲食に関してはすでに日系である必要はないと思われているふしがある。
ちなみに小売店に視線を広げてみると、日系企業ではユニクロがそこそこ成功しているように思う。無印もまぁまぁ。でも最近は実店舗の客の入りは少なかった。重ね重ね、専門家ではないので「成功しているように見えるがそうでもない」かもしれない。
話がそれたが、飲食。
特にカフェ系は、少なくとも上海では厳しい。
上海にあった日系カフェは、ドトール、プロント、コメダ、モスバーガーなど。どこを見ても特筆すべき点がない。
おしゃれなカフェが多い上海にあって、これらはどこもちょいダサめ。よほどの日本好き以外はわざわざ入ろうという雰囲気が皆無だ。
上海在住日本人などもOPEN当初は行ってみた報告が多かったものの、その後足繁く通っているということは聞かない。
一つ、傾向の違う日系カフェもある。
外灘のレトロな洋館に入っている「堀口珈琲」だ。
HPを見ると日本での値段がコーヒーが500円程度でケーキと合わせても1000円はいかないようだったが、上海での価格はコーヒーだけでも1000円近かった。そもそもの客層は違いそうだ。
ここはカフェというよりは高級喫茶店という雰囲気。入ろうとしてあまりの高さにひるんでしまったので味はわからないが、ここまで振り切った方がむしろ受けるようにも思う。完全に富裕層ターゲットにはなるが。
昨年のビジネスインサイダーに堀口珈琲のことが書かれた記事があった。タイトルの「上海で流行する日本流「コーヒー店」ブーム」は違うと思うのだが…
「堀口珈琲」のHPを確認すると今でも上海店の表記があった。閉店していないとすれば、2017年にOPENしてから3年は頑張っていることになる。あの立地、あの建物は相当お高いはずなのですごいことだ。
結局、当時(2年前)はお隣のアラビカに入ってしまったのだが、その時の写真があったので建物の雰囲気だけ。
こんな感じで、英国租界地区にある重厚感ある建物。アラビカは香港系のカフェで日本にも数店ある。ここも堀口ほどではないが、なかなかお高かった。
上海にはそこかしこで見かける「wagas」というカフェがある。その雰囲気からよく欧米系と勘違いされるらしいが実は上海発。お高めではあるがインテリアもおしゃれだし、オーガニック感のあるフードやドリンクもおしゃれ。そして気軽に入れる雰囲気。
日本人の多くは「中国系のカフェ」というと顔をしかめそうだが、かなりレベルが高い。
インスタでwagasと検索しても和菓子の店しか出てこなかったので、自分のを貼ってみる。ここはフランス租界の古い屋敷を改装しており、雰囲気もおしゃれだ。
いつか中国系ということを隠さずに、どや顔で日本に進出してほしい。
他に米系のスタバ、カナダ系のティムホートン、イギリス系のコスタなど、欧米系も参戦し、カフェのレベルはかなり高い。もちろんチェーンではないが地元のしゃれたカフェも多い。
自分のブログより。ここもまだあるようだ。
そこへ、ドトールやコメダ、プロント(雰囲気は日本とさほど変わらない)が参入しても勝てると思う方がどうかしてるでしょうと。辛口ですみませんが。
マーケティングをしてないわけではないだろうに、なぜ出店するのか。と素人は思うのだが…。
ドトールに関してはオープン数日は行列ができていたが、それ以降はわりとすいていた。Twitterで検索するとどうやら閉店はしていないらしいが、一等地にあるため、ランニングコストはかなりのものだろう。(しかも世界最大級のスタバのすぐそば)
場所は本当に駅前の一等地なので、ふらっと入る人はそれなりにいそうではあるが、素人目に見ても大赤字だろう。まぁ上海には赤字覚悟で「ここに出店することがステータス」という企業も多くはあるが、ドトールがその狙いなのかは不明。
オープン時の日本の記事。
外資系が乗り込むなら地元店以上のアピールポイントがないと厳しい。めっちゃくちゃおいしいとか、めちゃくちゃ知名度が高いとか。
例えば、本場台湾から来た台湾料理カフェ(ただしおしゃれじゃないし味はふつう、価格は高い)だと、無理でしょ。
日本における台湾ブランドはなかなか人気が高いだろうけど、それだけじゃ無理。日本ブランドにしがみついて中国でやっていけるほど甘くないんじゃないかと思う。
カフェ以外のチェーン系飲食(すき家、吉野家、ココイチ…)はまだ入っている印象。ココイチの親会社であるハウス食品は上海に工場を持っており、中国事情に精通しているし、主力商品のバーモントカレーは中国人好みに変更し、人気がある。企業にある程度余裕があるのかわからないが、ココイチはぎりぎりまで価格を抑え(それでも高め)、そのせいか、いつもそれなりにお客さんが入っていた。
吉野家は微妙。とにかく高い。クオリティは日本と同じだが、セットにせず単品の牛丼でも5~600円はする。(しかも単品はメニューのすみっこに小さくしか書かれてない)
すき家は完全にローカライズされ、価格は安く味も悪くない。現地に合わせたメニューも豊富。「日系」のイメージにしがみついていないところがいいのかもしれない。これは憶測だが、現地でも浮かずにそこそこ普通にやっている印象。
上海は競争が激しいが、同じ大都市でも重慶や成都あたりだとまだいいかもしれない。上海に比べると、おしゃれなカフェは少なめだ。
それでも今のままのドトールやモスでは100%失敗すると思う。行く理由がない。
そこ行くとやっぱりスタバはすごいなと思うのだ。多くの店はおしゃれでゆったりとしている。日本のスタバとは少し違って、高級感もある。もちろんコーヒーが400円とか、フラペチーノ系だと7~800円してしまうので物価を考えると高級感は必要かもしれない。そこをしっかりと読んでいる。
何度も例に出して悪いが、ドトールが300円でスタバが400円なら、上海ではスタバに行きたい。
あと、ケンタッキーフライドチキンもかなり現地に合わせているように思う。私などは日本のケンタッキーのほうがおいしいと感じるが、日本に住んでいたことのある中国人に聞くと、中国のほうがおいしいと。
誰にも賛同されたことはないが、中国のケンタッキーには私の苦手な調味料「八角」が少々入っているんじゃないかと思っている。
ケンタッキーの朝食は6元(約100円)~と激安。
ここ最近日系の飲食の中国進出はさすがに聞かないが、LOFTや蔦屋書店がオープンした。どうなることか。個人的にはLOFTは厳しい、蔦屋はそこそこやる気がしている。(その話は長くなるのでまたいつか)
上海の蔦屋書店。いい雰囲気。(东方网日文版より)
各店は現地在住者の協力の元マーケティングしているのだろうが、ちゃんと話聞いているのかなと考えてしまう。現地在住者とはいえ、日本人としかつるまない高給の駐在員は感覚がずれていることが多いので、トレンド通な中国人がいいと思う。もちろん一人や二人ではなく。
結論としては、日本の感覚でやろうとするからダメ。(中国ならこれくらいでも流行るだろう)という上から目線の見積もりがあまあま。
な気がします。
中心部ではなく日本人が多く住む地区に出店し、日本人を対象にしたコメダ珈琲も結局ふるわず(日本人どんどん減ってるし)、やっぱり現地の人をターゲットにしないと難しいのだなと。しかし現地ターゲットはマーケティングが難しいというジレンマ。
本気なら、日本通だとか親日だとかを一切考えず(日本人はそこ気にしがち)、「ドトール何それ」くらいの中国ネットのインフルエンサーなどを巻き込んで、現地の人の大規模な試食会などして徹底的に現地化するよりない、今は。
「海外出店の足掛かりに」とか、「なんとなく箔がつく」「欧米進出よりはハードル低そう」くらいでは難しい。
あのスタバやケンタッキー(もちろんマックも)だって現地に合わせて色々工夫してるのに、日本と全く同じメニュー、雰囲気のドトール、コメダ、モスは何考えてるんだろうかと腹が立ってくる。今回あまり触れてないが、モスは日本の劣化版でとりわけひどい。フライヤーもなくポテトもグリルのみ。
日本の企業に頑張ってほしいんです。とにかく現地に人脈の多い、やり手中国人を巻き込んで元気を取り戻してほしいが…先立つもの問題にたどり着いてしまうんだろうな。
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