なぜ成功者は「フレンドオブフレンドプロジェクト」を読むのか

 「フレンドオブフレンドプロジェクト」という小説が最近発売された。
この作品を読んだ人々は、あらゆる分野で成功を収めているという情報を入手した。事実なら、わずか330円という価格で成功が期待できる、極めてコストパフォーマンスの高い投資ということになる。

 筆者は、この事実を検証するためアマゾンの奥地へ飛んだ。アマゾンというのは比喩ではない。本当にこの小説はアマゾンに存在する。以下が証拠である。

 実際にこの小説を読んだという人物に接触した。
 小説家、K.M.と名乗っている。本当に成功者なのだろうか。いやそれ以前に、本当に小説家なのだろうか。見た目にはむしろ残念な風体に見えるが……。

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 どこかで見た画像のような気がしないでもない。
 おそらく気のせいであろう。消しが甘いという指摘があったためより一層配慮されたという話もどこかで幻聴のように聞こえてくるが関係ないに違いない。

――この本を読んで成功を収められたとか?
 ええ、この本にとある商品開発の顛末が含まれていますが、とても希望の持てる話で。こんなことじゃ駄目だと自分を鼓舞して、前向きに頑張れるようになりましたね。それで、友達も増えて、明るい性格になりました。

――(友達ってイベント関係者をフォローしたことかな、まあいいや)どんな商品なんでしょう。
 友達が増えます。具体的な内容についてはリンクをクリックした先の、紹介文冒頭に書いてありますからまずはクリックしていただければと。AIとか最先端の技術が使用されています。

――AIの技術的知識が身につく?
 そうですね……どうなんでしょう。ただ、まあ仕事には役立つと思いますよ。心構えとかそういうの。あと、未来への警鐘とか、技術一般に関して理解しておかなければいけないこととかも多少わかるかもしれないですね。あとはその、技術と文化とが密接に絡み合っている状態が現実を作っているということもわかるかな。野球とか薄い本とかね。

――ぶっちゃけ、友達の友達って友達だと思います?
 いやー友達だと思いますよ何言ってんですかみんなで広げましょうよアハハハハ

――この本はお勧めできる?
 そりゃあもう! 読んだ後に、何ともいえない気分になることは保証します。


 筆者の取材は以上である。成功を収めているかどうかはどうにも検証できなかったが、本人の満足そうな顔は印象的だった。

 読者の皆様も、本記事を読んで「是非この本を読んでみたい」という気分になったのではなかろうか。筆者は、なるはずがないと思っている。
 むしろ、本記事から大変な胡散臭さを感じたのではなかろうか。

 そう。筆者が伝えたかったのは、この本を読んで成功するかどうかではなく、ある商品を企画し、創り、それを何とか売ってお金にしようという、一連の行為が持つ胡散臭さである。

 この本は、その胡散臭さを実によく表現できた本だと考えている。その点で、衝撃的なラストに至るまで、是非とも皆様に読んでいただきたいと考えている。

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