ミュシャの世界に浸ってきて/2023.05.02
※今回行った展覧会では、作品の写真撮影が可能とSNSなどへの投稿は撮影者の責任のもとで行ってください、の注意書きがありました。
SNSへの投稿は自己責任でも、撮影したものをnoteに載せて良いのかと悩み、悩むくらいなら載せない方が良いのかなと思い、撮影した写真は載せないことにしました。
もしミュシャの作品を見たいという方は、ぜひ八王子市夢美術館に足を運んで、ミュシャの素晴らしい作品を見てください。(2023年6月4日まで開催中です)
少し前に、八王子市夢美術館で4月上旬から「アルフォンス・ミュシャ展」が行われるのをSNSで知った。
ミュシャの作品は去年のGWに、神奈川県にある横須賀美術館で開催されていた「フランス・モダン・ポスター展」で2作品ほど見たくらい。
一度で良いから、ミュシャの作品をたっぷり見たいと思っていたので、すごく嬉しかった。
ということでGW4日目に、あたしは八王子に行ってきた。
美術館に着き、受付に行くとたくさんの人がいた。
入場料を払って中に入ってすぐ、横須賀美術館で観た作品があった。
ミュシャはチェコ出身の画家である。
パトロンの援助によりパリに行き、絵画の勉強をする。
しかし援助がなくなったあとは、挿絵画家として細々と生活をしていた。
1895年。
彼の人生を大きく変える出来事が起こる。
世間はクリスマス休暇中。
ミュシャは印刷会社で仕事をしていた。
そこに舞台女優のサラ・ベルナールの舞台のポスター作成依頼を受ける。
ミュシャは急いでポスターを作成した。
完成したポスター「ジスモンダ」の出来栄えに、サラはミュシャと舞台のポスターを専属で描いてもらう契約を結んだ。
これがきっかけで、ミュシャはアール・ヌーヴォーを代表する画家となった。
それからミュシャは舞台のポスターの他に商品の広告ポスターや商品のパッケージデザイン、ポストカードのデザインなどを手がけた。
今回の展覧会に「ソディアック(黄道十二宮)」があった。
これはあたしが初めてミュシャを知ったきっかけの作品だ。
高校生のとき、ネットでイラストを描いている人が投稿した「ソディアック(黄道十二宮)」をオマージュして、日本を代表するアニメのヒロインの横顔を描いた作品を見た。
タイトルは「◯◯をミュシャ風に描いてみた」
ここでミュシャを知り、「ソディアック(黄道十二宮)」の画像をネット上で見つけた。
優美な女性の横顔と、その周りを囲む草花と12星座の装飾の美しさ。
小学生のとき好きだった少女漫画の主人公の女の子が探し集めた魔法カードのデザインみたいで、心がワクワクした。
今回の展示会でも、あの時のワクワクが甦ってきた。
そして今回の展示会で「スラヴ叙事詩」を初めて見た。
「スラヴ叙事詩」とはスラヴ民族の歴史を描いた、全20作品で構成された大作だ。
今まで見てきた作品は華やかで大衆に好まれる作品だったが、スラヴ叙事詩は真逆で暗く重苦しい作品だった。
「スラヴ叙事詩」の近くには、「ロシア復興」という作品が展示されていた。
これは1922年に大飢饉に襲われたロシアに、国際的な支援が呼びかけられた際に作成されたもの。
スラヴ民族のルーツを持つロシア。
同じスラヴ民族のルーツを持つミュシャにとって、同胞を助けたい気持ちでこの作品を描いただろう。
現在も続いているロシアのウクライナへの軍事侵攻。
ウクライナも同じスラヴ民族のルーツを持っている。
同じルーツを持つ同士の争い。
作品の近くにあったキャプションを読んで、ひどく心が痛くなった。
もしこれをミュシャが知ったら、彼は何を思うだろうか。
クリスマスの奇跡により、アール・ヌーヴォーを代表する画家となったミュシャ。
ミュシャの世界にどっぷり浸かることができた、素晴らしい展覧会だった。
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