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世論調査の数字の落とし穴

 世論調査には数字がつきものです.
 例えば,
・政府支持率不支持率の世論調査
・成人男性or女性に聞いた◯◯はアリかナシか!?
・テレビの視聴率
・アンケート結果
など挙げ出したらきりがありません.

 テレビをつければニュースでもバラエティ番組でも世論調査結果を出しますし,雑誌や本を読んでいても世論調査結果は出てきます.

 なぜ世論調査結果を載せがちかわかりますか??答えは,「みんな世論が気になるから」です(もちろん世論は根拠として必要になる場合もあります).「60%の人が内閣を支持しています」「ある番組の瞬間最高視聴率は40%だった」なんて聞けば,なるほどと思うわけですね.それも含め,世論調査結果は「みんなが気になる世論」の裏付けデータになるわけです.

 で,今回この記事を書いた目的は,そんな世論調査結果の数字には大きな大きな落とし穴があって,みなさんにその穴に落ちないような目を養ってもらうことです.世論調査がどのようにデータを集め,どこに落とし穴があるのかを順に説明していきます.

1.全員の情報を手に入れることは不可能

 まず当たり前のことですが,世論調査で対象としたい全員から情報を得ることは不可能です.内閣支持率は日本にいる有権者全員にあなたは支持していますか?と聞いたわけではないです.テレビの視聴率はすべての家庭のテレビにどのチャンネルを見ているか分かる装置が付いているわけではないです.
 世論調査結果を見るとき,その世論調査は誰を対象にしたものか明確にすることは非常に大事です.日本人全体の世論としたいのか,10代の若者の世論としたいのか,50代の女性の世論としたいのか,といった具合です.

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2.一部の情報を手に入れることは可能

 全員の情報を手に入れることは不可能ですが,その内の一部の人から情報を手に入れることは可能です.成人男性が調査対象のとき,成人男性全員に情報をもらうことは無理でも,成人男性の中から100人にだけ情報をもらえばよいとなればそれは可能だと思いませんか?
 なので,すべての世論調査は調査対象全体の中から一部の情報を手に入れて,これが世論です!!といっているわけです.

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3.統計的に処理をして推定する

 一部の人の情報を世論と言ってもよいのでしょうか?答えは,「正しいデータに対して正しく推定されていれば良い」です.推定とは,端的に言うと「限られた情報からすべての情報と同等の結果を導くこと」です.簡単な例だと,平均値を求めるのも推定ですね.一部の人の情報を世論と言ってしまうことは,嘘を付いているわけではなくて,統計的な手法できちんと推定された数字であり,その推定方法が確かであれば信じて問題ないです.また,データの数も多ければ多いだけ良いですが,多すぎてもコストがかかるだけなので,統計的にこれだけデータがあれば十分という数値もあります
(統計的な推定の考え方はまた別途記事を出したいと思います.平均値について統計的な観点で噛み砕いて解説した記事がありますので気になる方は是非→https://note.com/kai_tech/n/nd0888fe3b208

4.落とし穴はどこか?

 では,世論調査の落とし穴はどこにあるでしょうか?もちろん推定の方法に誤りがあればそこも落とし穴なのですが,一般的にはシンプルなのであまり間違えません.世論調査などの推定において間違いが生じるのは「その一部のデータは,全体を表すにふさわしいデータか!?」という点なのです.
 一部のデータが全体を表すにふさわしいとはどういうことか.簡単な例だと,30代女性の世論調査で,50代男性から情報を得ても意味ないですよね.推定してもそれは50代男性の推定結果でしかないです.他にも,日本人全員のテレビの視聴率を推定したい場合に,70代の高齢者のみから情報を得ることや,20代の若者から情報を得ることは,日本人全体を表せておらず,だいぶ偏った情報でと容易にわかりますよね.
 つまり,全体の中から抜き出してた一部のデータは,全体の縮図であることが重要なのです.

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 世論調査結果を見たときには,
・それが何(誰)を対象とした世論調査か
・抜き出したデータは数が十分で,全体の縮図になっているか

この2つをしっかり確認してもらえれば,落とし穴に落ちることはないでしょう.逆にこの2つがきちんと示されていないデータがあれば,どれだけ大きな組織や有名な人が示した世論調査結果でも,疑うことをおすすめします.

まとめ

・全体のデータを集めることは不可能→一部のデータから世論は推定する
・一部のデータの数が十分かつ全体の縮図になっていれば,信頼できるデータといえる

これらに気をつけて,正しく世論を把握しましょう!!
ここまで読んでくださりありがとうございました!


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