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世界一幸せな日

私たちは、写真事件以降は特に大きな問題もなく過ごしていた。

相変わらず彼は私をお姫様のように扱い、毎日のように花束を買ってきて、毎日のように外食をし、酔っ払って笑い転げたり、彼の友人や同僚とも一緒に過ごすようになった。

私はもう写真のことや、親友の言ったことなど忘れかけていた。


そしてある日、彼は私に跪いてプロポーズをした。


不思議なことに、私は彼が跪いて
"Will you merry me?"
と言ったことは覚えているのに
どこでそれを言われたのか、いつだったのか、夜だったのかお昼だったのか、何も思い出せない。

前は覚えていたのかすらわからない。

ただ写真があるから覚えているだけだ。

私が一人で写っている写真。

プロポーズの言葉が書かれた風船、もらった花束を、婚約指輪をつけた私が一人で写っている写真。


私は嬉しすぎたのだろうか?

それとも嬉しくなさすぎたのだろうか?


今となっては全く覚えていない。

まるで、忘れたくて忘れたくて、無かったことにしたくて無理やり忘れ去ったみたいに。

私はその時自分の友達に報告したのだろうか?

親にはその時は報告していない。
なぜなら彼は外国人だから、電話で言えば喜びより余計な心配をかけるだけだから直接実家に連れて行って報告しようと思っていたのだ。


何度写真を見ても、何度思い出そうとしても、人生で一番幸せなはずのプロポーズが思い出せないなんて一体なんなのだろう?














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カイ
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