#6 “日本人的美的感覚”の縛りを解けるかどうかが、世界で勝つための鍵となる
Unleashing "the Japanese way of aesthetic sense" is the key to win in the world.
日本人が世界の強者達との戦いに勝利するためには、“日本人的美的感覚”の縛りから解放されるべきである。様々な分野において、“日本人的美的感覚”で勝負しても世界では勝つことが難しい。知らぬ間にハマってしまっているその縛りを解けるかどうかにかかっている。
“日本人的美的感覚”とは何か?
ここでいう“日本人的美的感覚”とは、「カワイイ」「イケメン」という美的感覚のことを指している。禅や侘び寂びといった美的感覚のことではない。
日本は世界に類を見ないほど独自の文化が発達しており、オリジナリティ溢れる国である。そのため、「美」においても他国にはない独自の感覚を持ち合わせている。
その“日本人的美的感覚”である「カワイイ」「イケメン」の例を挙げるとすれば、「きゃりーぱみゅぱみゅ」や「ジャニーズ(例えば嵐)」である。これで、なんとなく“日本人的美的感覚”のイメージが湧いてきたのではないかと思う。
大切なポイントは、「顔立ち」のことを言っているのではなく、雰囲気や魅せ方、姿勢のことを指している、ということである。
この「カワイイ」「イケメン」といった美的感覚は、日本独特のものであり、この感覚は貴重で大切な資産であることに疑いはないが、世界で勝負するということにおいては、マイナスに働く。
なぜ“日本人的美的感覚”では世界で勝てないのか?
答えはシンプルだ。世界の人たちは「理解できない」のである。
世界の人達、特に欧米人(この括り方は好きではないが)には理解できない美的感覚である。極端な話、日本人にとっての「カワイイ」は、世界の人達にとっての「ロリコン」なのである。お隣の韓国でさえ、日本の「カワイイ」文化は理解しがたいものとして考えられている。
先程例に出したジャニーズやきゃりーぱみゅぱみゅ、またAKBといった「カワイイ」を打ち出しているアイドルは世界では人気がない。
このように言うと、「そもそも海外に向けて売り出していない」「英語の歌を唄っていない」といった意見が出てくることが想定されるが、そこは本質ではないと考えている。
たとえ彼らが流暢な英語で歌を唄い、事務所が力を入れて海外に売り出したところで世界では売れないだろう。
世界で勝つためにはどうすればいいのか?
“グローバル的美的感覚に合わせる”ことで解決する。“グローバル的美的感覚”とは、「美男」「美女」という美的感覚のことだ。
繰り返しになるが、ポイントは「顔立ち」のことを言っているのではなく、雰囲気や魅せ方、姿勢のことを指している。
この感覚は日本人が持ち合わせていないわけではなく、しっかりと持っている感覚である。だからこそ、あえて“合わせる”という表現にしている。
しかし、日本においては“日本人的美的感覚”である「イケメン」「カワイイ」というもう一つのスタンダードが、“グローバル的美的感覚”である「美男」「美女」と同じレベル、もしくはそれ以上のレベルで発達している。日本は、2つの美的感覚を持ち合わせている複雑かつ高度な文化なのである。
「美男」「美女」は世界でも通用する共通の美的感覚である。「かっこよさ」「美しさ」という表現にも言い換えられるだろう。日本人がこの“グローバル的美的感覚”に合わせて世界と勝負すれば、色んな分野で日本人がより一層活躍できると信じている。
音楽で例えると、ONE OK ROCKやBABYMETAL、そして韓国のBTSやBLACKPINKがなぜ世界で勝負できて、一方でジャニーズやAKB、乃木坂46がなぜ世界で勝負できていないのか。
その本質は、この美的感覚のズレにあると自分は考えている。つまり、前者は「かっこよく」「美しい」。そして、後者は「カワイイ」のである。
世界でも理解され、勝負できる「かっこよさ」「美しさ」
世界では理解されず、勝負できない「カワイイ」
この“美的感覚”問題は応用がかなり利く
幅広い分野において、この“美的感覚”問題は応用がかなり利く(と信じている)。自分が好きなスポーツ、特にサッカーにおいても、もちろんこの考え方は使える。
近年、JリーグはDAZNマネーで潤い、ロシアW杯でベスト16に進み、超一流選手が来て、そしてアジア戦略の花が咲き始め、ますます勢いが出てき始めているのをすごく感じる。それはとても喜ばしいことだ。
しかし、“美的感覚”問題に関しては、Jリーグは“日本人的美的感覚”に陥ってはいないだろうか。「かっこよさ」「美しさ」ではなく、「カワイイ」を前面に打ち出してはいないだろうか。自分にはそう見えてしまっている。
Jリーグがアジアを超え、世界で戦っていこうと本気で考えているのであれば、思い切って“日本人的美的感覚”の縛りを解き、“グローバル的美的感覚”で勝負してほしい。そうすれば、今まで見えてこなかった世界が見えてくるはずだ。
一番初めにその世界を見ることができるのは、どのクラブだろうか。