本日は大安なり

宮崎旅行の最終日は初日に続いて、ソフトバンクのキャンプのために生目の杜運動公園へ。甲斐野投手と接触をはかるために、春期休暇を使って向かったこの旅行の集大成だ。

学生記者として活動するために必要なものは何か。話を聞く能力も必要だが、まずはノート。当たり前だ。私はそのノートに昨年の春からサインをもらっている。1冊目は恥ずかしかったからどさくさ紛れに色紙の試し書きといって渡したし、2冊目はなんか放っておいたら書いてくれた。そして、この文化を作って3冊目。初めて取材ノートにサインをして欲しいと頼んで書いてもらった。こんな日が来るなんて微塵も思ったことはなかったのに。プロ野球選手になってから話すのはこれで2回目。前回会ったのは12月だったから2ヶ月ほど経って、驚くほどそれらしくなっていた。今までは一部の人間しか知らなかった存在を、日本一の球団を応援するファンのみんなが知っていて、歩けばその名が聞こえる。嬉しいけど寂しい、そんな気持ちになった。でも、これは私の願いが一つ叶ったことにもなる。入団会見の取材の日に博多駅付近にある櫛田神社で絵馬を書いた。「甲斐野投手がファンの皆さんに愛される選手になりますように」。お参りもしたが手を合わせて思ったことは全く同じ。
サインをもらう少し前、久しぶりにサブグラウンドで走っている姿を少し離れて見ていた。「見たいけど邪魔に思われたくないし見つかりたくはないな」という一心で表情を捉えられるギリギリの距離を保つ。が、しかし人の機体を良い意味で裏切るのを忘れていた。不意にこっちを見ると、「よ!」と言わんばかりの顔で手を振ってきた。せめてこっちが先に振らないと不思議ちゃんになるのに。と思いながらも嬉しいから飛び跳ねながら手を振った。盛ってない。本当に飛んだ。1人だったけど飛んでいた。でも、そうしている時に「あぁ、自分はファンのうちの1人なんだよな」という気持ちにもなった。

本日は大安なり。大安にサインをもらったこのノートを使うのは春季オープン戦から。もう、背番号19を背負う守護神はそこにはいない。しっかり切り替え最後の一年を最高の一年に。そして、3年後には絶対に何が何でもただのファンではなくなってやる。福岡からの帰りよりも一層強く思った宮崎の帰りだった。

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