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星空がなければ僕は死んでいた

本気で世の中に絶望していた。

僕は1週間前に会社を辞めた。
昔から逆算をすることが難しく、おまけに怠惰。
興味を持ったことしかできない。
新卒で入社数ヶ月しか持たなかった。

なんで僕はこんなにダメなんだろう。
生きている価値もない。
社会不適合者という逃げの言葉を使い、僕は実家に引きこもる。
なんで東京なんて出ちゃったんだろう。

世の中にも不満を持ち出す。
ダメなやつの悪い癖だ。
高齢者がいるから若者が苦しむ。
若者は若者で選挙に行かない。
田舎に生まれた。
裕福でもない…

キリがない。
不幸なことだけをあげるのは得意。
本当は貧困で苦しむ高齢者が3割弱いるなんてデータから目を逸らし、高齢者を目の敵に。
僕は醜い。
早く死にたいな。

せっかく田舎に戻ってきたことだし、その辺で星空でも見るか。
僕は全く車の通らない道路に仰向けになり、空を眺める。
星がポツポツと見える。

5分後。
目が慣れる。
目の前には都会では見ることができなかった星空が広がっていた。
なんでこの星空を忘れていたのだろう。
高校を卒業するまでこの星空の下で、ランニングをしていたことを思い出す。
なんだか星に近づいているような気がして無我夢中で走ってたっけ。

世界の素晴らしさを思い出した。
確かに世の中理不尽だらけ。
良いことなんて1割程度。
社会なんて知らない。知りたくもない。
だけどこの星空だけは嘘をつかない。
うわ、この星に生まれてよかった。
死ななくてよかった。

本当に星空の力は偉大だ。
どんな自己啓発本よりも気持ちが高揚する。

ただ星を眺めるだけでいいのだ。

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