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バランスの悪さ

本当にたまたま、神奈川県社会人サッカー1部にいる品川CCの試合を観た。相手は神奈川教員SC。「目線がピッチと同じ上にタッチラインから遠い」という東戸塚のグラウンドのせいで、試合はあまり観られなかったけれど、1-0で品川が勝った。

県は違うものの、町田もかつて通った道。当然みんなサッカーで食えているわけではない。もっと上を目指したい選手もいれば、実力はあっても「仕事しながら楽しくサッカーできればいいや」という選手もいるだろうし、今このチームにいる理由は様々だと思う。でもグラウンドに詰めかけた100人くらいのファンのために、ただ一生懸命プレーしていた。

このカテゴリーで強いチームには、ある特有の「バランスの悪さ」がある。誤解を恐れずに言えば、高い競技レベルと仕事を両立させる人はやっぱりちょっと変わっている。プロのように競技を極めた先があるとは限らないし、仕事の方だって真剣にやらなければ将来に関わる。そんなことが分かっていてもやめられないのは、両立するのがとてもうまい人間か、とても不器用でサッカーを諦めきれない人間だ(多分)。

そして個人的な好みだけど、自分の好きなことしか見えていなくて、ちょっとどこか欠けている選手の方が、ずっと応援できる。少し前の町田はどこか欠けている選手ばかりだったし、そもそもチームに欠けているポイントしかなかった(主に金)。学生時代の同期だった某選手はとても真面目でプレーにそつがないけれど、いつも授業の時にユース時代のジャージを着ていたし、私服は正直あれだったし、あまりに真面目すぎていつも責任を一人で背負い込んでいた。でもそういうところも全部含めて応援できた。
なお、こんなことを言うと「今の町田もモラルが欠けているじゃないか」と言われるかもしれないが、個人的には「他が大して欠けていないのだからモラルくらい欠けていてほしい」と言うのが本音だ。そうでないと応援できない癖なのだ私は。

話を社会人サッカーに戻そう。
近年は仕事とサッカーをしっかり両立できる、器用な選手がとても増えたと思う。職場の理解も昔に比べれば進んでいるし、ハードルは少しずつ下がっているのかもしれない。でも現場に足を運べば、コンディションの悪い人工芝と、慌てふためく審判と、内心「明日も仕事か」と思いながら結局全力でプレーしている選手たちの群像劇を目にすることができる。
冷静な現実と天秤にかけてもなお球蹴りをやめられない、「バランスの悪い」人生を歩む様子を、まだ少しでも見ていたい。そういうちょっとずれた部分が、きっと人の心を動かすのだと思う。

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