見出し画像

2024 夏休み

台風だ大雨だと騒いでいたら、今朝玄関のドアを開けたときの少し温度と湿度の下がった空気に驚いた
急に9月を実感して、薄れゆく夏の気持ちに焦りを感じた。失う前にせめて言葉に。

一人暮らしを初めて10年近くなるけれど、お盆に実家に帰らず過ごしたのは初めてだったと思う
何泊もする旅行でもなく、連日予定を入れるのが、なんだかつかの間の夏休みのようだった

08.10

葛西臨海公園にひまわりを見に行った
海のそばで漣の音を聞いていたら、友達が足だけだから!!と浸かりに行っていた
体力無しチームの私たちはあっという間に日差しにやられてヘロヘロになった
体力回復のためにバーガーキングのポテトを食べてから銭湯に行って、最後にくら寿司を食べた
その間ずっとくだらないことで笑っていて、百日紅の色を数えた
ダンシングサンとか、ひまわりの名前は陽気な名前が多かった。夏の花だけある

08.12

流星群をみに屋上に寝転んだ
流れ星をこの目ではっきりと見たのは、初めてだった
ミクロネシアの無人島でさえ視力に自信がなくて、ちゃんと見えたか定かではなかった私が、東京の杉並区で一縷の流れ星を見ることが出来たのは、少しばかり感動ものだった
家の中は暑いからと、部屋の明かりと同時にエアコンの自動運転をオンにする毎日だったのに、夜のバルコニーには風が通り抜けて、前髪がサラサラと揺れるくらい心地が良かった

08.13

図書館で勉強して、手持ち花火をするなんて、高校生の時にできなかった高校生みたいなことを叶えてしまった
青春はいつだってやりたい時にできる
それに大人になったから、手持ち花火する前におしゃれご飯だって食べられる
ご飯を楽しみすぎて公園の花火許可時間ギリギリアウトくらいになったけど、それでも大人しく花火はやりきる。おとななのでルールがルールたる理由を理解した上で行動するのだ
欲張りだと言われるかもしれないけれど、大人の夏休みなので良いということにする

08.17

サッカーを見に名古屋まで遠征した
好きな選手が移籍したチーム先で活躍して愛されて中心になっていて、そんなチームに真っ向勝負で勝ったことが二重で嬉しかった
サッカーを見る前に鍋焼きうどんを食べたり、モーニングに行ってみたり、熱田神宮でひつまぶしを食べてみたり、ちゃっかり楽しんで帰ってきた
現地集合現地解散、各々のペースを乱さず気遣い、なんやかんや口は止まらず、おそらく現役高校生の時よりも仲良く話している気がする
気が合うメンバーはその時々で変わるけれど、学校というのは共通の記憶がある、不思議な空間だったのだと実感する


カフェで思うことを思うままに口にして笑っていた
昔のことも今のことも未来のことも、同じように同じ温度で同じ価値観で、安心して話をしていた

図書館で読んだ本に「何を話したか覚えていないくらいが1番いい会話」と書いてあった
もっとボケにはボケを重ねるくらいのポップな会話ができるようになりたいと誓った26の夏

ともだちと話をする時は、自分と全然違う意見であっても怖がらず「自分はこう思う」と多少雑に話せることが何よりの価値で、大切にしたいもので

夏休みの間にも泣いたしモヤモヤしたし台風もきたし真っ暗な気持ちにもなったけれど、それでも振り返ったらキラキラして見えるのだ

気がついたらすぐ秋は終わってしまうから、雲の形も花の香りも秋の味覚も人の気持ちにも、しっかり移ろいを逃さぬように、触れたものを言葉に残せるようにしたい

一番鮮明に残る「好き」は言葉です。

「好き」は儚いからこそ、鮮度の高いうちに言葉で保存しておいたほうがいいんです。そして、言葉という真空パックに閉じ込めておく。

いつかやってくる「好き」じゃなくなる瞬間を見据えて、自分の「好き」を言葉で保存しておく。すると、「好き」の言語化が溜まってゆく。それは気づけば、丸ごと自分の価値観や人生になっているはずです。

「好き」を言語化する技術 | 三宅香帆

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?