
自分らしさの作り方
その人らしさ、というのは何から構成されているのだろう。
好きなものについて話していた時、友達に「なんで好きになったの?」と聞かれて、私は共通点を見つけてしまった。自分なりの処世術だ。
私は今まで自己紹介を「どういうふうに見られたいか」で考えてきた。学生時代に発信してきた好きなことや好きなキャラクターは、全部その発言が与えるイメージを持って選んできた。大層ひねくれた人間だと自負している。
例えば、中学時代からわたしは自他ともに認める「スヌーピー好き」だった。筆箱も下敷きも、カバンにつけるストラップもスヌーピーだった。
裏の心理でいうと、「スヌーピーは老若男女万人受けキャラクター」という概念を拝借してた、という感覚が近い。
マイメロを始めとしたサンリオや、ディズニーのような「女子💖」感もなく、クリーンでフラットに純粋にそのキャラクターのことが好き、という感じ。
癖少なそうだし、なんか良い子そうだな〜という印象を与えるスヌーピー。
(実際スヌーピー好きに悪い人はいない)
あとは好きな歌手。これは明確に覚えている。aikoを好きと言おうと決めた日。
ジャニーズやKーPOPなどのアイドルは、オタクイメージがつくし、バンドは人を選ぶコアなイメージ。全員があ〜!知ってる!となるけど、ちょっとだけ深掘りして曲を知ってたらコアな感じが出る。あとちょっと可愛くて、かつ大人っぽい。高校生の私にとってaikoというアイコンはとてもピッタリハマったのだ。
どれも嘘では無い。好きなものではある。好きな物は沢山あるから、どれを1つ選んで見せるか、というところが大事なのだ。(なので人と被らないということもポイントだった)
好きな物は沢山ある。具体的に言うと、誰とでも話せるように、私は多方面に趣味や好きといえるものの風呂敷を広げた。
音楽なら男性アイドルから女性アイドル、バンドはインディーズで有名どころもいくつか、フェス並のバンドは一通り曲はイントロドンできるし、親世代の懐メロから最新ランキング上位にいる歌手の中での好きな1曲がある。洋楽もKーPOPも流行り曲はメンバーまで把握して+少しだけコアな歌手をお気に入りとして紹介出来る程度にストックしている。(HIPHOPはまだ勉強中だし、勿論全てを把握しているとは言えない)
スポーツなら、小説なら、漫画なら、ドラマや映画なら、アウトドアなら、旅行なら、香水なら、ファッションなら、ポッドキャストなら、インテリアなら、料理なら。このまま語ってしまうと引かれるくらい、広く浅く時々深く、それぞれで好きの種と言えるような小さなきらめきをたくさん持っている。(そして多かれ少なかれ誰しもそうだと思う)
だからこそ、その中で、「どの面を見せるか」がすごくすごく私にとって相手に「私たるもの」を見せるのに重要だと考える。
学生時代はその見せ方と手札集めにとにかく必死だった。
そんな薄っぺらい好きから始まって一種キャラ作りとして行動に入れていく中で、本当に好きになったものもたくさんある。
サッカー観戦などは最たるもので、初めは兄が好きだからという理由で、男の子と話せるきっかけになるかな?くらいだったのに、いつの間にか私のイメージのひとつにサッカー好きが含まれるようになった。
自分では未だににわか好きのつもりなので、人から言われて大層驚いた。
それもそうだ。学生時代に好き(かも)と言っていたコンテンツはもう10年近く触れ続けている。それは立派な趣味になりうる。
そして気づいた。
「イメージは因数分解できる」
なりたい像、見られたい人の姿があるなら、そのイメージの要素を取り入れれば、人から見た「自分らしさ」は勝手にその通り形成されていく。他人はその人が発信した言葉やコンテンツ+見た目で、その人のイメージを作っていくからだ。
それがファッションなどの見た目だったり、SNSで発信した音楽や小説のコンテンツだったり、自己紹介や近況報告での趣味だったりするわけで、全て自分の発信次第でいくらでもコントロールができる、できてしまう。
学生時代、スヌーピーグッズを持って好きだと話していたら、誕プレがスヌーピーグッズばかりになったこと。
インスタの投稿をカフェや食べ物ばかり載せていたら友達から「カフェ活しよ〜」というお誘いばかり来て、カフェ以外の呑みやお出かけの誘いはほぼ無かったこと。
反対に美術館やカメラの投稿を増やしたら「アートやイベントに敏感な人」のイメージを持たれるようになりオススメのスポットを聞かれるようになったこと。
面白い。全部全部本当の私で、嘘は一切ないけれど、見せる面を変えるだけで人の持つイメージは大きく左右されている。
(私の場合、イメージが変わった、というよりかは「そういうのも好きだったんだね」という反応が多いので、180度印象が変わるという訳では無い。)
だから、人によって見せる面を工夫して調整すれば、印象操作なんて簡単にできるだろうと思う。
私はこの気づきに25年かかったけれど、恐らく本能的に見せ方が上手な人たちもいて、その最上位がアイドルだと私は思う。「自己プロデュース」というものなのだろう。
そういえば昔、没個性に悩んでいた時にその時なりの答えをnoteに書いたことがある
学生時代、何者かになりたくて見せ方と手札集めに必死だった私は、いつの間にか立派な唯一無二の「私」というコンテンツが、周りから見れば出来上がっている。
だからこれから、今の印象を変えたければ、また新たな面を見せればよいのだ。
それは一見難しいことだけれど、ドラマ1クール分くらいで叶ってしまう100日の魔法。
本当の自分を探すのも楽しいけれど、なりたい自分から入るのも、また楽しいものだ。