秋を愛でる
穏やかに過ごしている間に、11月が終わろうとしている。
9.10月と気持ちも周りも忙しない日が続く間にようやく涼しくなり、今年の秋も短いかと思いきや、意外と長く心地の良い秋とひんやりする冬の訪れを楽しめていることが嬉しい。
気持ちが安定したからか、それともこの土地を離れる期限が2ヶ月と明確になったからなのか、日常の風景が感傷的に映るようになった。
今年の紅葉は格段色鮮やかに見える。
名所の紅葉はもちろん、街路樹の桜紅葉が美しい。出張で車を運転するとより景色の変化に目を奪われる。運転中の景色は写真に撮れないことが惜しい。でも恐らく最後の1ヶ月は引き継ぎなのでこんなふうに1人でポッドキャストを聞きながら運転することはもう無いかもしれない。
それから、夕焼け。「秋は夕暮れ」の一節が言い得て妙だなと改めて思うけれど、この季節の夕方17時は本当に黄金色に包まれて美しい。
特に宍道湖の夕焼けをようやく見れた時は胸熱だった。2年間出張機会の度に狙っていたけれど、なかなか見ることが叶わなかったので。
11月は1人でランチにゆっくり行ってみたり、朝をゆっくり過ごしてみたりと、落ち着かないしザワザワする気持ちは相変わらずあるけれど、それでもようやく営業職の自由さを楽しめるようになった気がする。これくらい抜いたり気張ったりの調整が上手く出来ればもっと上手くやっていけたのかもしれないなぁ、とぼんやり考えることもある。けれど、やはりそれは離れるから思えることなのだろう。
穏やかな秋は意識していないとほんのすぐに過ぎてしまう。それは人生だって同じで、もがいている内は長く感じる毎日も、喉元過ぎればあっという間に時間は流れていく。
その道中で紅葉が赤いなぁとか、イルミネーションの時期だなぁとか、最後になるかもしれないから久しぶりにあの店のカレーを食べようか、とかそんなふうに日々を愛でている。
そんな事に目を向けているから、時の流れが人よりゆっくりなのかもしれない。
そうしたカメラにも収まらない瞬間瞬間の心の機微をなるべく記憶に残すべく、最近はメモや色々なSNSの下書きを増やすことに勤しんでいる。すぐに忘れてしまうかも、という一抹のさみしさはあるけれど、それでもその時感じられた事だけで今は十分。その積み重ねがいつか誰かと共有する話の種になればいい。
年末まであと1ヶ月、長い長い2023年を慈しんでもう少しもがいてみる。終わったらゆっくり振り返って、頑張ったと言えるように。
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