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”Low-Code” / ”No-Code” について
2020年6月現在、Silicon Valley界隈では、COVID-19の影響により、資金調達出来るスタートアップがより厳選されつつある。その様な状況下でも、著名Venture Capital主導により幾つかのスタートアップ、特にヘルスケアテック・リモートワーク周り(ワーキングコミュニケーションツール等)・消費者向けwebアプリケーション(例:Instacart等)では旺盛な資金調達が見られる。
そんな中、僕が個人的に感じたのは、”Low-Code” / ”No-Code”分野での資金調達が増えてきている事だ。例えば、以下の様な記事がある。
Bryterはベルリンに拠点を置くスタートアップ。今回、16milliionドル(日本円で約17億円)調達したとの事だが、彼らは技術的スキル・開発スキルを持たない法務・内部統制・マーケティングに従事する人たちが、簡単にコーディング出来る様にするプラットフォームを提供している。
彼らは”No-Code”のプラットフォーマーだ。
”Low-Code” / ”No-Code” とは何か?
では、”Low-Code / No-Code”とは、一体何なのか?
先ず、日本経済新聞が関連記事を掲載しているので紹介する。
要は、今までの様なC++やらPythonやらRubyやら何やらを使用し、また少なくともプログラミングの知識・土台のある専門が従事して作られていたソフトウェアが、今後はそういった物は不要になり、誰でも自由にプログラミング(コンピューターに実行!と命令する作業)が出来る様になるとの事である。
”Low-Code” / ”No-Code” 製品は、既にテック企業大手には組み込まれ始めている
この分野には米国西海岸大手テック企業等が、幾つかのスタートアップの買収・提携に移っており、既に彼らの製品の一部として組み込み済み或いは連携を進めている
上に記載した日本経済新聞記載の具体例を挙げると、以下の通り
Softomotive社 ⇨ Microsoft社の”Powerautomate”として製品化
Appsheet社 ⇨ GCP(Google Cloud Platform)内で製品化
tableau社 ⇨ Salesforce社と業務提携
Mendix社 ⇨ Siemens社により買収(事業は単独で存続の模様)
”Low-Code” / ”No-Code” に似た他サービス
TwitterやFacebook、他のWebページ上で、特定の事象・言語をScrapingし、ExcelやGoogle Spreadsheetに構造化したり、或いはアプリとアプリを連携して、新たなデータを抽出・作成出来るサービスがある。
IFTTT(イフト)
Zapier
上記の2つは、Webアプリケーションの自動化・RPAと見られているが、これも立派な”Low-Code””No-Code”サービスでは無いかと僕は考える。(Pythonを使って、Twitterから特定のwordを抽出したりしていたのが、こういったアプリケーションで容易に出来るので。)
結局、”Low-Code” / ”No-Code”とは何なのか?
一言で表すと、ソフトウェア開発に対する視覚的なアプローチである
先ず、Wikipedia(英語版)に”Low-Code” ”No-Code”双方の説明ページがあり、ここで「Low-Code vs. No-Code」の記載がある
Wikipediaによると、Low-Codeに比べて”No-Code”は一切のコーディングを必要としない、とある。
また、アプリ制作の場合、No-Codeはどんなエンドユーザーでも利用する事が出来るのに対し、Low-Codeは一定の専門スキルを有する人物でないと利用する事が出来ない。
更に、No-Codeは特に視覚化傾向が強く、ドロップ&ドラッグで処理する事が可能、とある
以上が”Low-Code” ”No-Code”の概要であるが、アメリカ国内の識者でも、その将来性について論じた記事がある。
上記Web媒体Mediumの記事で執筆者は、2024年迄に大企業の4分の3が”Low-Code”を活用する様になるとある
また、彼は今後数年間で2つの事が起こると説いている
①市民開発者の増加
一般の人が比較的簡単なソフトウェア製品を作る事が可能となる。一般の人が問題を解決する為のツールを構築し、自分のアイデアを収益化する事が出来る様になるとの事
②アイデアラボとアクセラレーターの増加
アイデアを構築してテストする為のコストが下がる。幾つかのグループがこの傾向を予測し、ローコードプラットフォームの開発に焦点を当てたラボやアクセラレータを設立する可能性があるとの事
こちらForbesの記事では「Reduce costs, reuse concepts, recycle code 」とある。ここでもあるのが、市民開発者の活用についてだ。
マッキンゼーの調べによると、市民開発者に権限を与えている組織の方が、そうでない組織よりもイノベーションの尺度で33%高いスコアを出している事が分かった
最後に
僕は、プログラマーでもエンジニアでも無いので、情報を掴み取るには、こういったweb記事の様なオープンソース或いはカンファレンスに出て人の話を聞くしかない。
ただ、ここ最近のテック業界の雰囲気で、特に” Low-Code” ”No-Code”という言葉が頻繁に登場し、MediumやForbes、Business Insider等に頻出されていたので、今回この様に文字でまとめる事にした。
折角の記事を書いてなんだが、以下の方(_shinji_さん)の記事がとても参考になる。そもそもコードとは何なのか、ノーコードとは抽象化されたコードだというところまで、丁寧に説明されている。参考にして頂ければと思う。
ノーコード化して誰でも自由にプログラミングが出来る、と謳っても現実はそんなに甘くないと僕は思っている。特に日本では、未だ構造化された情報(表計算とか紙に印刷出来る様な情報)を重宝し、抽象化された情報だけでは不安になって次に動けない企業が多いのも現実だ。また、コードという物を神格化していて、IT下請けに発注した場合、ソースコードのコピーだとか所有権だとかを打ち合わせで話すケースが多々ある。そういった概念がある今日で、もしノーコードで抽象化されたプログラミングが出てきた場合、特に大企業はどの様にソフトウェア資産を管理していくのか、また決断をしていくのか気にはなる。
ただ、元々日本人は、漫画の様なイラスト概念が好きだったり、オリジナリティ溢れる芸術家肌の人も多かったりと、こういった類の新型アプリケーションはすんなりと受け入れられるのかなとも考えている今日この頃である。