悦のうた
過食はいつも、夜中に起きた。
夜寝る前に、幸福な感じのするひと時がほしくて
甘いものを食べた。
それは、もう昔のこと。
今は、言葉を食べている。
夜寝る前の、幸福なひと時。
自分というものが剥がれ落ち、
眠りに向かうその前の
静かな静かな、喜びの時間。
なかなか人に言えないことだけど、
私、死ぬのが楽しみで仕方ないの。
睡眠は小さな死。
それに向かう前の時間は
私にとって、喜びの時間。
今は、言葉を食べている。
「美酒のようにこの本を読もう」
なんて妖艶な言葉だろう。
故、池田晶子氏の「残酷人生論」
女性なのに、かっこよすぎて惚れ惚れする。
舐めるように、本を読む。
ちびちびと、下の先で少しずつ。
口の中で言葉をころがす。
味わってから飲み込むの。
お菓子よりも ずっとずっと
刺激的。
骨の髄まで染み渡って
私は静かに眠りに落ちる。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?