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誰も愛さない人


初恋は6歳のとき。

それ以来、いろんな人を好きになった。


私は、すぐ人を好きになると思う。

あの人かっこいい

あの人優しい

と思ったら、すぐに心ときめく。


そうやって

自分は人を好きになったものだと思っていた。

目の前の人のことを好きなんだろうと思っていた。


でも、ほんとうは

私が好きになったのは、目の前にいる相手ではなく

「その人と一緒にいるときの自分」だった。


そう、別に

相手のことが好きなわけではなかったんだ。


とても正確に言うと

私は、生まれてから一度も

人を好きになったことが、ない。



今まで、好きだと思ってきた人たちも

愛していると思っていた彼氏でさえも

深い意味では

私は1度も愛していなかったし

好いてもいなかった。



ただ、その人と一緒にいるときの

「自分の状態」が好きだったんだ。




あ〜あ

私はなんて冷たい人なんだろう

なんてつまんないんだろう

興醒めだ。


自分にしか恋ができないだなんで。

自分のことしか愛せないだなんて。




全然、ドラマチックになる要素がないじゃない。

全然、夢が抱けないじゃない。

「人のため」とか「人を愛する」とか

そういうロマンティックな言葉

使ってみたかったけれど

もう、慈悲深い人になれそうな余地すらない。


カラクリがわかってしまった手品みたいに

もう、冷静にしか見られない。


私が欲しいのは

あの人でも、この人でもない

ツインソウルでも

運命の恋でも

永遠の愛でも、ない。


私が欲しいのは、自分の状態。

お気に入りのフィーリングを纏った自分が欲しいだけ。


なんとも色気がない人だこと。




















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