アラサーちゃんの文系くん、来世ちゃんの檜山くん
「俺は結局、アラサーちゃんで言う文系くんだからさ」と、男に言われたことがある。
『アラサーちゃん』とは峰なゆかさんの描いていた漫画で、アラサーあるあるを面白おかしく秀逸に描いた作品だ。
その男の言葉を聞いた時、私は思った。
「こいつ、自己評価たかっ!!!」
文系くんとは年収400万くらいの書店員で、作家を目指すアラサー男子。
少し奥手で主人公のアラサーちゃんには好かれているサブカル男子として登場している。
サブカル男子のイタい部分を峰なゆかさんはかなり上手く描いているのだけど、
それでいて、どこか憎めないキャラクターなのだ。
『来世ではちゃんとします』という漫画に出てくる檜山くん、というキャラクターがいる。
いつまさんが描いている漫画で現在も連載中。ドラマ化もされている。
檜山くんはソープ嬢にガチ恋している風俗通いの非モテ男子で、ソープ嬢に貢ぐために副業をし、漫画家としても活動している。
私がその漫画を好きなことを知ったらしい知り合いが、
「俺って檜山みたいだよな」と言ってきた時も私は
「こいつ、自己評価たかっ!!!」と思った。
漫画の登場人物が“自分みたい”と思える人って
めちゃくちゃ自己愛強いし、自己評価が高いな…と思ってしまう。
そのキャラが例え、ヒールや冴えない奴だったとしても。
え?自分は描かれるタイプの人間だと思ってるの?
と、思ってしまう。
もちろん、優秀な漫画家さんが作ったキャラクターだから
誰しも共感できる部分があるのは事実だと思う。
私だって漫画を読んで「うわ〜この気持ち分かる」とか「こういう時ってこう思うよね」とか、そういう共感はものすごくあるし、する。
でも、文系くんや檜山くんって、
全然謙遜になってないじゃん?
めちゃくちゃ良いやつとして描かれてるじゃん?
たしかに、一番手のキャラクターではない。
どこか少しダサい部分やキモい部分がある。
でも、かわいい。憎めないし、愛おしい。
そういうキャラクターなのに、なぜか彼らは
「自分はそれだよなあ」とわざわざ私に言ってくる。
すごいナルシズム。
どの辺りが似てると思ってて発言してるのか、
言及しなかったからわからないけど、
「共感できる」っていうのと「まるで俺」っていうのは似て非なると思う。
まるで俺、はなんとなく、
作品を読みながらベクトルを自分の内面に
向けすぎてる感じがするんですよね。
音楽聴いた時の感想とかも
「本当、これ俺なんだよ」って言ってきそう。
分からないけど。
なんか、そういう気持ち悪さってあるよな〜って
来世ちゃんのドラマをNetflixで観ていて思い出しました。