【解放】に出た異能について
さぁ、【解放】に出た異能についてずっと話したく思っていました。では、詳しく見ていきましょう~~
小説とTRPG版の外伝のネタバレを強く含むので、ご注意ください!!!
異能の本質
これは異能を検証し使いこなせるようになった龍児の結論ですね。今作における異能とは、『神子』と『妖精の隣人(以下:隣人)』の異能を指しますが、それぞれ全くの別物となっています。
神子の異能→→シンから異能を貸りている
隣人の異能→→『妖精』から異能を貸りている
あれ?これだけだと分かりにくい?誤解生む??
では、四コマをどうぞ!!
このように四コマ漫画などを隙間隙間で挟んでいます。補足説明は飛ばして構いません(笑)
話を戻しますと、「シンから異能を貸りている」という表現は、厳密には誤りです。
シンからもらうのは、社長の座のような権力(存在感)に近いです。それがあるお陰で、『妖精』と交渉(異能)ができるようになります。異能を発現してくれるのは『妖精』です。理解できなくても、どんどん読み進めて下さい(笑)
では、違いをおさらいしましょう。まず、異能の起源であるシンと『妖精』の違いから…。
『妖精』とシン
『妖精』とは付喪神のようなものです。
幽霊やピクシーと言った方が伝わるでしょうか。本来、IQが低く、力がほとんどないため、異能(力)を貸すことなんてできません。なんといっても、『妖精』だけでは、異能で物を動かす(干渉する)ことはできません。
シンは神様です。
付喪神とは格が違います。『車』という分類であれば、『自転車』と『自動車』くらい違います(分かりにくいかも笑)。
シンが傍にいることで異能を使うことができますが、第3章では、ケイトがシンの体の一部から異能を発現できています。最終決戦でシンがアピスの拠点にいった時でさえ、ケイトはもちろん、龍児や流行も異能を使っているんですね~~。
シンと『妖精』の関係を振り返ってみると、シンが地上に来て、制御不能となって漏れだした力から『妖精』は力を得ました。そのため、シンがいるリン達の国だけが、異能を持つようになったんですね。シンが現世から離れると『妖精』は徐々に力を失い、『隣人』はいなくなります。
最後に、シンと『妖精』の大事なルールに触れます。
簡単にいえば、約束事ですね。シンと『妖精』はシステムとして生きています。彼らの自力で異能が使えてしまうと人類滅亡しちゃいますよ(笑)。
*シンと『妖精』のルールにて、掘り下げていますが、応用の話が多いので、まず基本となる異能の話を読み進めるのがオススメです…!
『神子の異能』と『隣人の異能』の使い勝手について触れていきます。
起源が別物なので、系統の違う異能です。もちろん、自由度が全く違ってきます。異能の効果(作用)は龍児が考えてくれた『対象』の【感知】【制御】【操作】の3つ、それだけとも言えますし、自由度が高すぎるとも言えることでしょう。効果は後で話すとして、『対象』について触れています。
『隣人の異能』の『対象』
『妖精』は付喪神と言えるような存在ですので、『妖精』が憑いている『宿主』が、『隣人』の異能の基本的な『対象』になります。
*『妖精』は『宿主』から離れることはできないです(『妖精』を分化させ、『宿主』の一部と共に離れさせることはできますし、逆に『宿主』を物理的に(量を)増やせば、『妖精』も増えて合体もできます)。
では、なぜ『基本的な』と言ったか。謎が浮かび上がることでしょう。
Q.『宿主』以外は操れないの?
A.そんなことはない。
そうなんです。【土】の『隣人』や【水】の『隣人』などと言われた彼らは、確かに、長年を共にした『妖精』と『宿主』がいますが、それだけがキャパシティー(限界)ではありません。コップ一杯の『水』が『宿主』でも、他の『水』を操ることができます。
それは『妖精』が周りの『妖精』に呼び掛け、力を借りているからです。
例えるなら、田中君(妖精)と仲良くなりました。田中君にお願いすると、田中君の家族(仲間の妖精)が手伝ってくれます。もちろん、田中君がいなかったら繋がりがない(=意思疎通ができない)ので、田中君の家族(仲良くなってない妖精)に協力してもらうことは叶いません。
『妖精』は付喪神のような存在なので、そこら中に『妖精』がいると思って下さい。もちろん、人間に言語の壁や心の壁があるように系統が異なる『妖精』には協力が難しいですが、逆に、フッ軽な(仲良くなりやすい)『妖精』やカリスマ性のある『妖精』だっています。
『神子の異能』の『対象』
『神子の異能』はシン、つまり、神様の力であるため、かなりなんでもできちゃいます。ですが、なんでもできるわけではありません!!制限なしのとんでも能力ではないんですね~。
では、『神子の異能』の『対象』はなんでしょう。これに対して、龍児は『流れている』と把握したもの、と答えを出しています。
もちろん、間違いではございません。
ただ、皆さんが思い描く『把握』とは、少々異なるということが伝わりにくかったかなと思います。『把握』と表現していますが、『水』が流れていることを知っていても、頭で理解したとしても、異能を操れるとは限りません。
『把握』じゃないから?『妖精』が見えていないと異能が使えないから?
正解は『無意識レベルの理解』を簡潔に『把握』と表現しているからです。文字として理解しても、動き(現実)を見て分かった気になっても、異能は使えません。TRPG版アナザーストーリー【解放〇】の方では、遊びやすさを意識して異能の条件を緩くしています。ちなみに、『妖精』は見えなくても、異能は扱えます。
『無意識レベルの理解』を深掘りするならば、その『対象(宿主)』を主観視点に成り切れる程のシンクロ、共感に近い感性になってきます。*その感性に至っても『流れているもの』にしか作用しないのは、シンの異能の性質です。
ここまでやって、想い(イメージ)が『妖精』に伝わり、異能が使えます。そんな高レベルなことを『把握』と言い切った龍児やすぐに物にした流行(ルコ)が、おかしいだけです(説明下手は作者のせいですね笑)。また、シンが異能を発現させる場合でも、想い(イメージ)を『妖精』に伝えることが必要です。
『親和力』について簡単に話していきます。
『親和力』
『親和力』は親密度と言い換えられ、『親和力』が高い程、異能の効果範囲(射程)が広がります。そして、他者の異能の『対象』になるのを抵抗する力が比例して大きくなるので、抵抗力とも言えます。
仲の良い『妖精(宿主)』は、『親和力』と抵抗力が強く、他者の異能の『対象』になりにくいです。
これは異能の『対象』として扱えなくても『親和力』はあるということです。『血液』や『髪』、『肺の空気』といった、まず狙われそうな部分は、他者からの影響を受けにくいです。異能が使えない人であっても、同様に『親和力』が高く、抵抗力があります。
『親和力』には、『流れているもの』という縛りがありません。
たとえば『肉体』や家、私物全般だって高い『親和力』を発揮します。ですが、『親和力』が高くても銃には無力ですし、血は流れます。人間です(笑)
『隣人』は『妖精』と仲を深めることで『親和力』が高められます。これにより、他の『隣人』や『神子』から異能を邪魔されにくくできます。『神子』であっても『妖精』と仲良くすると、初対面以上に『親和力』を高められます。
『辞書』ではこう言われていましたが、「最上級…まぁうん、最上級だね」って私も思います(所詮『辞書』なので…笑)。
『神子』は『妖精』との1対1で『親和力』を高めれる上、繋がりがなかった(初めましての)『妖精』とも『親和力』が比較的高く、即戦力!応用力も非常に優れており、サバイバルスキルが高い『神子』のこの優遇っぷりは『隣人』にない大きなアドバンテージになります。『隣人』だと『親和力』の高い『妖精』が近くにいないと『異能』が発揮できないため、『妖精』と離れられませんね。
作中では、『親和力(抵抗力)』が高い『肉体』だって異能の『対象』にしています。それは同意のおかげです。
『親和力』の抜け道 同意
同意という言葉を知っていますか?アプリや契約関係で、現代人は聞き飽きた言葉でしょう。提案されたものを受け入れたり、賛同したら同意の意思を伝える。それが異能でもあります。
2つ注目すべきポイントがあります。『妖精』が協力的であること、そして、『隣人』にはあまり関係ないということ、です。
『対象』を異能使用者の思う通りに操るのは、『妖精』です。そのため、『妖精』が異能使用者の味方であれば(善意の行動理由だと伝わると)、『親和力』によって本来抵抗力が高い『肉体』や『感情』などであっても、操れるというルールがあります。『肉体』や『感情』の持ち主である人間が、異能を受け入れていれば、大半の『妖精』も協力的になり同意は成立します。
『隣人』であっても、同意はできますし、関係あります(笑)。同じ系統の『妖精』同士で協力し合うことは珍しくなく、同意とほぼ同じことを日常的にしています。
なぜ、あまり関係ないかというと、『神子』の同意と比較してあまりにも違うからです。
『親和力(抵抗力)』によって本来、干渉しづらいものを『妖精』の協力で使えるようになる。それが同意です。『隣人』はアピスを除いて、単一の『対象』にしか異能を使えません(言い切ってしまう程、有り得ないだけで、可能性はあってしまうのが、ややこし…)。そのため、『隣人』は『神子』のように『肉体』や『感情』といったものを『対象』とすることはなく、『神子』の同意のようにはいきません。
『隣人』に同意が関係ないと言ったのは、『隣人』にとって「今のは同意だ」なんて意識するようなことはないこと。そして、『神子』の同意と『隣人』の同意は別物レベルの差があり、同意とは『神子』の同意を、主に差す言葉という理由です。
『妖精』が見えなくても異能が使える、と言いましたが、見えるとできる幅は広がります。『射程』と『指示』の話に参りましょう。
異能の『射程』と『指示』
『隣人の異能』の『射程』
『隣人の異能』における射程は、『宿主』の近くだけ、です。『親和力』が高い程『射程』が伸びるのは『妖精』が頑張るからです。より懸命に周囲の(同じ系統の)『妖精』に呼び掛け、『射程』が雪だるま式に大きくなります。周りに『妖精』がいない時は『射程』は伸びませんが…。
『隣人』が『妖精』へお願いするのには、空間認識能力が欠かせません。
異能の発現(作用)をイメージし『妖精』に伝えます。これが『指示』です。もちろん、全部イメージ通りとはいかず、練習してズレを修正します。『妖精』に伝える情報は大体以下のようになります。
どこで?(座標)
どれだけ『宿主』を使って?(規模)
開始形態と最終形態、その流れ(造形)
意識すること(微調整)
空間認識能力の重要性は伝わったと思います。
4の『意識すること』は「徐々に加速させたい」や「殺しちゃダメ!」など『隣人』の真意を共有する部分です。先に言ってしまうと、『指示』の中身は『神子』でも大して変わりません。
『神子の異能』の『射程』
『神子の異能』における射程でも空間認識能力は欠かせません。もちろん、異能の『対象(宿主)』への『無意識レベルの理解』が、異能の発現には不可欠なので、空間認識能力と『無意識レベルの理解』が共存できる範囲こそが真の『射程』となってきます。
真の『射程』なんて言ったばっかりなのですが、これは『妖精』に個体差(個性)という概念がなかったら、そして、工夫をしなかったらの話です。
『隣人』には専属の『妖精』がいます。『神子』はその場で対応することが多く、初めましての『妖精』に異能をお願いすることになることが多くなります。
ですが、『妖精』にも個体差があって、頭が良かったり、声が大きかったり、勘が良かったりと個性があります。コミュニケーション能力が高い『妖精』の方が、IQが高い『妖精』の方が、伝達能力は高いです。
そうです、個性は『射程』に直結します。その時その時で、異能の『射程』はムラがあります。それは周囲の『妖精』が毎度異なるからです(これは『隣人』でも、同じで専属の『妖精』は同じでも、周囲の『妖精』が変わるので、『射程』は少なからず変動します)。その影響を『神子』の方が大きく受けてしまいます。
整理しましょう。
・『神子』は空間認識能力と『無意識レベルの理解』が共存できる範囲で『妖精』にお願いができます。
・『妖精』にも個性があって、『射程』は変動する。
もちろん、『神子』であっても、『妖精』にお願いすれば、空間認識能力と『無意識レベルの理解』が共存できる範囲の外であっても、異能を発現させることはできます。時間差で発現してもらったり、遠隔で『指示』したりすることが多いのも『神子』ならでは、です。
あれ?『隣人』と何が違うの?
そうです。『隣人の異能』と『神子の異能』の射程は大して変わりません。
決定的な違いは『神子』の方が選択肢が多すぎることです。
鍵が束になってたら、使いたい鍵を探す手間が増えたり……
人脈が多い人が、誰に声をかけるか考えたり……
一次救命処置などで助けを呼ぶ際、誰に、何を、って戸惑うでしょう?
それがないのが『隣人』です。『対象』を毎回のように切り替える『神子』とは違い、ルートが簡略です。『隣人』の方が自由でない分、楽ができます(マニュアルとオートマみたいな違いです)。楽なので速度が上がりやすい、それが『神子』になり『隣人』の特権とも言えます。
お次は、異能の効果について話していきます。ここまで話してきた異能の『対象』などの話では【操作】に重きを置いた話し方をしています。
では、今から詳しく話していきます。
異能の効果
『神子の異能』では、【操作】と【制御】、そして、【感知】が主軸です。
『隣人』の『妖精』は【感知】ができません。
では、【感知】とは何か。【感知】の説明に参ります。
【感知】
『神子』の【感知】の手順は以下の通りです。
【感知】の『対象』に対して『無意識レベルの理解』に切り替える(集中)
【感知】する範囲に意識を向ける(範囲指定)
『対象』に関わる『妖精』に情報送信を要求(お願い)
『妖精』からの情報をキャッチ(受信)
『隣人』ができないステップがあります。それが4です。『妖精』が伝えたいとする『情報』を異能の『対象』にできるので、『神子』は無意識に『情報』を変換しています。これも(『妖精』と『神子』の)お互いが同意していることなので、無意識に変換できるんですね~。
【制御】
作中では、さほど日の目を浴びなかった【制御】ですが、雨や滝の軌道をズラしたり、荒ぶる『感情』を沈めたり、他と比べて地味な効果となっています。
『隣人』でも扱える【制御】なのですが、『対象』が【操作】の時と少し異なってきます。雨や滝は自前のものではありません。
【制御】でも、専属の『妖精』が周囲の『妖精』に呼びかけをしてくれるのですが、異能の『対象』が雨や滝となり、『宿主』ではないというだけの話です。
え?『神子』はどうやってるのかって?雨や滝を『宿主』とする『妖精』に呼びかけながら、同じ系統(水系)の『妖精』にも呼びかけを手伝ってもらいます。
『神子』にとって、【操作】と【制御】はさほど変わりません。
異能で『対象』を動かし始めるのが【操作】で、動いている『対象』をコントロールするのが【制御】です。『制御』の意味の②である機械制御を行うとしたら、【操作】と【制御】の併用になったりしますね~。
【操作】
異能で『対象』を操る【操作】は、作中で様々な使われ方をしています。その最たる例を、後ほど別の記事にまとめさせてもらうつもりなので、ここでは省略させてもらいます。
「異能の効果や『射程』だけじゃなくて、使い手の話しろよ」「大事なのはエネルギーだろ?原理は?」って皆さんお思いでしょう。サクサクいきます!
異能の使い手
まず作中で異能を扱った者を分類していきます。
・『隣人』
・『神子』
・シン
・流行
・『霊』
『隣人の異能』と『神子の異能』って言っておきながら、『隣人』でも『神子』でもないやつ多すぎだろ!!
バレてしまったら仕方ないですね。ズルみたいなことしてる輩が、今作では多いんですね。アピス君を散々、脱法クソ野郎みたいな扱いしておきながら、シン達も意外と裏技(ズル)はしてることになりますね~。
異能の原理と『エネルギー』
異能は『妖精』に指示してるだけ、もしかしたら、何もしない上司と重ねてしまうかもしれません。『妖精』が自力でやれば良くない?
それはできません
上記のルールもありますが、スマホや車を想像して下さい。彼らは能力を有していても、自力で起動することはありません。ましてや、エネルギーがないと動かない鉄クズです。
異能の発現には、それを可能とする『妖精』、人間の『エネルギー』と『指示』が必要です。
さぁ、使い手を思い出してください。作中では、人間じゃなくても異能を使っています。
異能に必要なエネルギーは『精神エネルギー』ですので、『霊』であっても、シンであっても、供給は可能です。
一度、流行のことを思い出してみましょう。
『神子』や『隣人』は、精神的にも、感性的にも柔軟な幼少期に『妖精(異能)』と触れ合います。その過程をすっ飛ばした流行は寿命を削り、無理やり異能を使っていました。*『人間』の負担でまた少し触れます。
『霊』であれば、それ以上の対価が必要ということです
(『神子』≦『隣人』<<人間<<<<『霊』≒シン)
生きている人間以外が現世に干渉するのは大変燃費が悪く、『魂』や『存在』を揺るがすような危険な行為であって、『霊』が異能を使うことはないと言っても過言じゃないんですよ。バンバン使われて説得力ないかも知れないんですけどー(笑)
『霊』が異能を使って、ノーリスクってことないでしょ?その通り、リスクはバカみたいに高いです。
『霊』が異能を使うリスク
車ってガソリン切れたら運転できませんよね?
その状態から、車のバッテリーやウォッシャーなどあるものを使って無理やり動かす改造をしてると思って下さい。常識的に考えて、そんなことできませんし、できてもしません!!
「今動けばいい。運が良ければ(後で治せたら)無傷」
イカれてるでしょ、そうです、ちゃんとやばいことしてます。作中でそんな暴挙に出たのは、グルバンと流行ですね。
そこまでリスクを負わなくても、『霊』は異能を使えます。それが媒体です。*後ほど、詳しく説明します!
媒体を用いても、ノーリスクとまではなりませんが、するとしないでは大きな違いです。命綱の有無みたいなものです。媒体を用いずに異能を発現させたグルバンと流行は、命綱なしのバンジージャンプみたいなことです。
え?それを知ってそうなケイトがなんで止めなかったかって?
彼女は、グルバンの「リンは任せろ」を真に受けすぎて、現実的な可能性を見て見ぬふりをしています。グルバンにリンを任せて、ケイトは情報収集や妨害工作などをしています。グルバンが死んでしまうところを流行が尻拭いしにいった形になります。
媒体の話をしたいのは山々ですが、先に、異能を使う人間のリスクについてご説明いたします。これは『神子』や『隣人』にも、言える話です。
人間が異能を使うリスク
『神子』でない流行は、異能を使って寿命を削りました。また身体が病に侵されていたリンもそのまま異能を使っては体に障ると言われていました。
なぜでしょう?
原理を振り返りましょう。『妖精』に『指示』するのに、どうして『無意識レベルの理解』が必要なのか。『神子』は『無意識レベルの理解』を全身に巡らせ、『妖精』に限りなく近寄せます。『妖精』は同じ系統でないと意思疎通が難しいので、そこまでしないと異能は使えません。
この過程こそが負担になりやすいポイントです。まず、『魂』と『存在』がブレます。ブレは異能を使う程、致命的なズレになります。そのズレが『器』である体を蝕むのです。これらが流行の寿命を削った主な理由であり、リンの体が心配された理由です。
『隣人』のように単一の『対象』であれば、その歪みも寿命を削らない範疇で済むのですが、『神子』の負担は相当なものになります。それをシンが幼い頃から慣らしてくれることと『魂』のズレを調整してくれることによって、負担を最小限にするのが『神子』へのサポートでした。
リンは、病を患っており、基礎体力が低いことに加え、アピスの毒で臓器の機能不良がありました。異能を使う際の『魂』と『存在』のブレに耐えられないと考え、リンは改造されました(ほぼ健康にしてもらっただけ)。
負担軽減の方法は、異能を極力使わないこと、『対象』を絞ること、自身の『魂』や『存在』を異能でリラックスさせることが挙げられます。
『霊』が効率良く異能が使える媒体についての話です。作中でも軽く触れられており、シンがやっていることに近いことからも、覚えている方がいるかもしれません。
異能を使う裏技! 媒体
『霊』達は、シンのように『人間』を媒体とすれば、格段に効率が良くなります。もちろん、『隣人』や『神子』には届きませんが、『霊』だけで異能を発現させる無茶に比べたら十分現実的です。まぁ、それでも作中のケイトの活躍は異常でしたが……。
作中で媒体となった人達を列挙します(『神子』、流行、リンを除く)
・海月(子供化)
・大神天子
・グルバンのクローン
頭の良い人が多いですね~~。海月も頭いいですよ(笑)。強かに生きてるタイプで他より目立ちにくいですが…。グルバンのクローンは、ちゃっかりチート枠……って、チートばっかやないかい…Σ( ゚Д゚)
『霊』が『人間』を媒体にした異能発動原理
『霊』が『人間』に『イメージ』を伝える(イメージ共有)
『人間』が『無意識レベルの理解』を経て『対象』を選択(対象選択)
『人間』が『妖精』に座標・規模・造形、意識することを『指示』(指示)
1から説明します。『霊』は異能の『イメージ』を『人間』に伝えます。『霊』が悪夢を見せたり、気分を悪くさせたりする覇気(オーラ)的なものを飛ばしていると思って下さい。発する側と受け取る側の訓練、信頼、共鳴をもってイメージ共有が可能となります。してること自体はテレビのチャンネルを合わせるみたいなものです。
2の『対象選択』が特に厄介で、センス(感性)が要求されます。『霊』の『無意識レベルの理解』が完璧で、『人間』がその感性を増幅(共鳴)させることができたら『対象選択』はクリアです。
つまり、『霊』と相性が良ければ、比較的楽に異能が使えます。
3の『指示』は異能で必要な手順なので、外せません。『指示』の内容は『霊』が『イメージ』したものをそのまま流用するので、『人間』が特にすることはありません。
では、『エネルギー』はどうなっているでしょう。
実は『霊』からの『イメージ』共有で『想い』を受け取っています。これは『精神エネルギー』です。これを無駄なく『無意識レベルの理解』に繋げ、『想い(エネルギー)』を増幅させることが理想です。相性が悪いと、ここがスムーズでなくなるので、効率が一気に悪くなります。
あれ?『無意識レベルの理解』を全身に浸透させる過程がないよ?
そうです。『霊』が『人間』を媒体にした異能発動原理では「『無意識レベルの理解』を全身に浸透させる」ことはしていません。この過程によって、『神子』は『妖精』に『指示』できるようになりますが、『霊』のおかげでその必要はありません。そのため、負担(リスク)はほぼありません。
異能使用者の『魂』と『存在』がブレるのであって、『人間』はただの媒体です。
『霊』にはもちろん、負担(リスク)ありますよ。かなり軽減できるだけで、ありはします。『人間』は媒体でしかありません。『人間』の『精神エネルギー』の提供こそが媒体の本質であり、『霊』にとっての裏技となります。大神天子、グルバンのクローンはセンスが良かったので、流行やケイトに合わせることができました。
異能の起源であるシンが異能を使ったシーンを深掘りします。
シンが異能を使ったシーン
シンが異能を使ったシーンは3つあります。
①流行と会って単独で【遡行】
②電波塔の戦いで未来を選ぶ
③最終決戦で可能性全探し
①はシンのみが過去に戻り、あり得た未来を流行に見せるためにお話しに行っています。シンには実体がなく比較的容易に時間移動できます。
また、流行が龍成やシン、ケイトと話し合いをした『夢』は、媒体の話でしたイメージ共有のように異能を使っているのでシン単独ではありません。龍成と会える、回想や感情整理(作戦会議)を考慮しても『夢』が最善と判断し、本能的にそれを受け入れたことになります。
②リンが死んだりする失敗ルートを何個も見捨てて、負け試合(the best)をリンに【再現】してもらっています。未来の選び方は、並行世界を見る自分を見るという裏技をフル活用して最適解を見つけ出すというものでした。膨大な試行回数を確保しつつ負担は最小限で済むバグ技を使っています。③でやってることも②と同じ手法です。
話は変わりますが、シン(の力)の一部をソウが持っていたという話ですが、シンの力の0.1%だけをソウが預かっていました。ソウと深い所までシンクロして、くっついてしまったシンの欠片を取り戻して、100%に至ります。リンが『死』というラストピースで覚醒したのと多少似ています。
本編を見ると「シンと『妖精』が異能使えばいいのに」って思うシーンがあるかもしれません。シンと『妖精』のルールを改めて触れていきます。
シンと『妖精』のルール
シンも『妖精』も単独で異能を発現できません。異能の発現は、シンには『妖精』が必要ですし、『妖精』には『エネルギー』が必要になります。先程、シンが作中で異能を使ったシーンをまとめましたね?
シンは【時間】操作であっても、【遡行】と平行世界を観るバグ技に絞っています。
「【時間】操作できるんなら、戦闘のサポートしてよ~」
正論のように思えますが、できなかったんですね。理由があります。
シンは世界規模の【時間】操作(移動)しかできません
シンと『妖精』は原則、現世に干渉できない、と言いました。
シンが人間と話したり、異能を貸すのはOKです。これは直接的に現世を変えたのがシンではないので、セーフ扱いとなります。
【遡行】と平行世界を観る技は、言ってしまえば、観るだけと戻すだけ
録画の10秒戻しをしても、10秒経てば同じ映像が流れます。転がるビー玉を少し高い位置に戻しても同じように転がっていくでしょう。してもしなくても変わらないことは、人間界に干渉した扱いからグレーゾーン(可能)として扱われます。
【遡行】の時間が短い程、『対象』が限定的であるほど、歪みが少なく、エネルギー消費は抑えられます。
『隣人』の成り方について説明しましょう。『神子』は『対象』を増やせるので、『1』を『A』や『B』などに変える『1→100』タイプです。
そうであれば、『隣人』は『0→1』タイプです。無能力者が能力者になる、そんな話になってきます。手数が増える凄まじいことなので、アピスからも目をつけられています。
『隣人』の成り方
『神子』が『妖精』にお願いするのは、チャンネルをいじって『妖精』に歩み寄っていると言えます。それに比べ『隣人』は受動的です。『妖精』から好意を向けられないと、始まりません。『隣人』に成れたシチュエーションをまとめていきましょう。
①長期的に(約1年以上)、『宿主』の傍にいた場合
②自然体で生きる人間の感性を『妖精』から気に入られた場合
③一定時間(約1時間以上)、『無意識レベルの理解』を向けられた『対象(妖精)』が人間に興味を持った場合
❹
①~③、いずれのパターンでも時間と運が絡んできます。『神子』のような即効性や可変性はありません。
①が『隣人』に成る大半が通るシチュエーションです。『宿主』の大きさ、『妖精』の自主性、性格などで『隣人』に成れるかが左右されます。なので、一生水槽を抱えて生きても『隣人』に成れない可能性もあると言うことです。また、『時間』などを『宿主』とする『妖精』は①で親交を深めるのは、まずありません。影響力の強い『妖精』ほど「傍にいたから」などの情だけでは動かない傾向にあります。
②は自然体の人を『妖精』が好きになるパターンと言えますが、流行が龍成を好きになったのと似ていると思いませんか?そうです、龍成が『妖精』から好かれたパターンがまさに②に該当します。赤子がみな純粋なのはご存知でしょう。それは『妖精』も一緒です。年を重ねるごとに純粋さや価値観が歪み、醜いエゴが生まれるのは言わば必然です。そんな中でも輝く龍成は流行に限らず眩しく見えるものですから、『妖精』から好かれるのもわかると思います。①と比べて②は稀有な成り方で『隣人』全体の1割を切るパターンです。
③は『アピス』以外で実践した『隣人』はいません。情報統制もされている国だったので、『隣人』の成り方なんて広まっていませんし、半端な気持ちで試しても成立しません。もっと丁寧に条件をお示しするなら、『無意識レベルの理解』で「流れているイメージ」を強く持ちながら『宿主』の傍にいること、『妖精』の性格にあった精神状態・『精神エネルギー』を持ち合わせていることが必須条件です。
❹『隣人』の洗脳、『妖精』への脅迫、どちらもが成立した場合
アピスが見つけた裏ルール。『隣人』の洗脳、『妖精』への脅迫、片方が欠けただけで成立しないとんでも裏技です。整理しましょう。
『妖精』は『隣人』が好印象だったから力を貸します。❹以外の場合を見たらお分かりますよね?
『妖精』は基本的に『隣人』が好きです。
アピスはそこを悪用しました。
まず、『隣人』の洗脳で『妖精』の譲渡を促します。『妖精』は抵抗しようとしますが、『隣人』を人質に脅します。無論、失敗することもありますが、成功のリターンが『異能の手数拡大』と破格です。
『隣人』の洗脳、『妖精』への脅迫の片方が欠けたら、なぜ成立しないか。
『隣人』の洗脳だけの場合だと『妖精』は従いません。『隣人』が洗脳されていない状態で『妖精』の譲渡を試みても、これは成立しません。『妖精』が『隣人』から離れたくないからです。
『妖精』への脅迫は基本成立しません。『隣人』でさえ意思疎通は難しく『指示』くらいでしか伝えられない『隣人』が多いです。動植物や微生物と意思疎通をマジメに考える人は、そういないですよね?その次元の話です。
『妖精』への脅迫の前提条件Ⅰ 『妖精』に意思を伝える手段の確保
『妖精』に話ができるのは『親和力』が高い『隣人』です。少々おかしな話ですが、『隣人』になるために『隣人』の協力を必要とします(完全な裏技ですので、アウトロー過ぎるのは今更ですね)。
『妖精』への脅迫の前提条件Ⅱ 『隣人』にできる『人間』の確保
『妖精』が『隣人』に異能を使えるようにしていますが、それは『隣人』からの『指示』が通じるからに他なりません。馬が合う、波長が合う人間でないと『妖精』は要求に従いたくても、従えません(『隣人』にさせられない)
『妖精』への脅迫の前提条件Ⅲ 『隣人』の気力を完全に削ぐ
『妖精』にとって親や子供のように思う『隣人』を、暴力で抑え込むようなマネしたらどうなると思います?
いつか復讐してやるといった恨みを持たれ、いざという時に『妖精』に見捨てられます。
『隣人』の心を折ったとしても一時的な服従かもしれないということです。そのため、『隣人』を人質にしないと『妖精』(異能)の譲渡は不完全なものとなります。
『隣人』を人質にして、『妖精』が無力感を悟ると比較的従順になります。この状況に持っていくのには『隣人』の洗脳が最悪なまでにマッチしています。最低ですね。
アピスが行った攻略方法を少しお教えしましょう。
『妖精』への脅迫の前提条件Ⅰ 『妖精』に意思を伝える手段の確保
→『隣人』の洗脳でクリア
『妖精』への脅迫の前提条件Ⅱ 『隣人』にできる『人間』の確保
→『アピス』のクローンでクリア
『妖精』への脅迫の前提条件Ⅲ 『隣人』の気力を完全に削ぐ
→『隣人』の洗脳でクリア(強いて言えば『妖精』のマインドコントロール)
このように❹のやり方は、アピス以外には不可能と言えるほどに腐っています。もちろん、『隣人』の成り方の①や③のやり方も併用しますが、❹ができると『アピス』としての軍事力が飛躍的に向上します。『隣人』を洗脳してそのまま利用することも、そこそこしています。それ以上に『アピス』としての戦力強化や狂気を演出するのに最適と判断したので、『アピス』には異常な数の『隣人』が集まりました。
複数の異能を同時に操作するカラクリついてお話しして、『異能の本質』は締めさせていただこうと思います。
複数『対象』の同時発現
そんな話が出ているにも拘わらず、作中では4つの異能を同時に使う龍児君や異常な量の『対象』に異能を発現していたケイトなどがいます。彼らは例外です(笑)。それで終わっては元も子もないので、彼らの場合をフォーカスしてみましょう。
初めこそ『無意識レベルの理解』を全身に浸透させ、『妖精』とシンクロさせる必要が出てきます。ですが、一度『対象』にしたものに対しては、体の一部に浸透させるだけでも異能が使えるという使用感(ルール)をお伝えしていませんでした。
体の一部なんて言ったら、簡単そうに思えるかもしれませんが、言葉では言い表せない程難しいと思って下さい。右脳と左脳で『対象』を分けたとしても、2種類しか使えませんよ。それ以上を細かい脳の領域で分けるのは常人には到底無理ですし、同時に『指示』なんてのも現実的ではありません。
こういう時は、テクニック、裏技がつき物です。
①時間差発現……『妖精』に、何秒後にコレして、という『指示』とエネルギーを渡して、タイミング良く別の『対象』に異能を発現させれば同時発現ができます。龍児の【水】と【土】の携帯もコレに該当していて、『妖精』には「近くで回りながら待機」といった『指示』を渡していました。
②【感知】と併用……先述した通り、【感知】は他と比べて受動的です。『指示』を出しておけば、『妖精』から『受信』するだけとなります。『受信』するにも少なくとも体の一部を『無意識レベルの理解』を浸透させた『受信場所』が欠かせません。『受信』と五感は相性が良く、耳や鼻などで【風】を意識するだけで『受信』が可能となります。【操作】のような細かい『指示』を必要としないため、コスパが良いとも言えます。【制御】も【操作】よりは単純な仕事が多いのは確かです。半面、ケースバイケースで緻密な作業にもなりやすいので気は抜けません。
併用負担 【感知】<<【制御】≦【操作】
③合図訓練(親和力)……仲のいい『妖精』になら合図を事前に決めたり、即興での意思疎通を鍛えたり、といったやり方で『指示』の伝達速度をより短くすることができます。右手を銃の形にしたら、即座に【水】の銃弾を飛ばすなんてことができるようになります。これは右手と無意識の反復練習で『無意識レベルの理解』を浸透させる体の部位を、より絞れます。『妖精』と一緒に練習こそしてますが、9割は、いかに異能使用者の体に叩き込むかという訓練になります。体で覚えるという体育会系(正統派)テクニックです。
❹『対象』の拡大……結論から先に言いましょう。『水』と『油』があった時に、別々に『対象』とするより、【油水(液体)】を『対象』にした方が扱いやすいです。『雨粒』は一粒一粒、別の物質です。これを【雨】として【操作】すると、複数『対象』の同時発現しているように見えませんか?
『対象』の拡大は、『効果範囲』の拡大や拡大解釈と言い換えれられる。
❹は、①~③の複数『対象』の同時発現を目的としたものと異なり、複数の『対象』を一つの『対象』と見做した異能の発現です。これは複数『対象』の同時発現より効率が良い裏技に当たります。
これにて『異能の本質』のお話は以上となります。本当は、第3章の異能の使われ方をこの場でお話ししたかったのですが、またの機会にさせていただきます。
なぜ、第3章を特に話したいのかって?
異能を真に使いこなせたのはリンだけです。もちろん、アピス君の作戦や【possible】にも秘密が詰まっています。それらを話さずに異能を語り尽くしたことにはなりません。区切りが良いということでご容赦ください(笑)
ではまた、別の場所でお会いしましょう~~
クレジット表記
イラストのほとんどはシルエットACとイラストACをCanvaで編集したものです。
・シルエットAC https://www.silhouette-ac.com/
・イラストAC https://www.ac-illust.com/
・Canva https://www.canva.com/
また、イラストを使ったキャラのクレジットをまとめます。
・龍児 ことりゆう様のフードの男メーカー https://picrew.me/ja/image_maker/1555746
・流行、ケイト ことりゆう様のましろ製造機 https://picrew.me/ja/image_maker/960805
・海月(大人) んぇぷぼ様の試作・JKちゃんめいかー https://picrew.me/ja/image_maker/2325423
・海月(子供) 海畑様のぼうだちつくろ
https://picrew.me/ja/image_maker/193709
・リン メリケン様のロリメーカー
https://picrew.me/ja/image_maker/1178570
・アピス 伊東冥水様のSK-MEN'S
https://picrew.me/en/image_maker/2306733
吹き出しはフキダシデザインからお借りしました!
・フキダシデザイン https://fukidesign.com/