2022年12月27日 ハーヴェステラ感想
未プレイ向け感想
どこから感想を書けばいいかわからなくなるくらいに語りたいことが多いけど、少なくともとにかく面白いです。毎日数時間ずつプレイして寝不足になるくらいに、とてつもなく面白い。
ただその面白さは、今どきには珍しい、"当時としては前衛的だったレトロゲーム"みたいな尖った面白さ・愛嬌に近い……と思った。
面白かった点
メインシナリオが硬派SFとして面白い。アホほど面白い。
「人類の美点は夢を見ること、叶うかわからない希望を持つことだ」「科学の世界でも、希望的な仮説に固執できるのは人間らしさだ」というメッセージ自体も本質的(「量的な話ではなく質的な話だなぁ」くらいの意味)だし、完璧な演算に絶望した人工知能(この手の支配者は得てして人類を滅ぼそうとするが、実際本作でも人類を滅ぼそうとする)がそのメッセージを支えているのもSF的に丁寧。
そして何より、人類滅亡AIとの対峙、絶望の共有、「どちらかを見捨てるなんてできないよ!」といったRPG的なストーリーラインとマッチしているのが面白かった(面白さに強く貢献していた!)。
最終盤、魔族(人工知能)のキャラクターストーリーでアーサー・C・クラークの『幼年期の終わり』がオマージュされていたけれど、ハーヴェステラのシナリオライターが一番描きたかったのは人類と支配者の関係性の物語だったのかなと感じた。
で、そんな話をファンタジーRPGと融合させるとどうなるかという話なんですけど……。
面白くなかった点
メインシナリオ、サブクエスト、キャラクターストーリー、世界観の非SF的なところが悉くそこそこ面白くて、それゆえにかえって面白くない!
ファンタジー・RPG的な部分が毒でも薬でもなく単なる前提でしかなくて(メインシナリオ、世界観)、結婚要素のあるキャラクターストーリーさえどこかで見たような話ばかり。サブクエストに至っては、そのそこそこな面白さゆえにかえって苦痛の域にまで達していた。
「遺産目当てで、老人の孫のふりをして親切に接する娘がいたが、老人はそのことを見抜いたうえで孫のように愛していた。孫娘もそれを受けて改心した」みたいな汎用感動シナリオを読むためにハーヴェステラをプレイしているわけではなくない!?
(ただ仲間のキャラクターストーリーに関しては、別に面白くないからといってキャラクターが魅力的ではないということではなかった。既視感のある話でも魅力は魅力だ)
面白くなさに直結しない問題点
あまりにも多すぎるので最後にまとめて書きます。
既プレイ向け感想
作品全体の感想
ファンタジー・RPGとしてのキャラゲー性とSFとしての反キャラクター性がミスマッチを起こしているなぁと思った。
固有名詞抜きの「人類」「科学者」「支配者」「天災」でも成立するくらい硬派なSFらしさと、個人的な悩みを聞いて最後には結婚もできるキャラクター性の要素。ハイネ、アリア、ディアンサス以外の仲間は、みんなその間の闇に飲み込まれてしまった。
(ユニコーンはそもそも立ち位置が謎すぎる! 面白い話だったけど、作品全体を見たときに「ユニコーンのキャラを出しませんか!?」となる起点が見えない)
クレス先生は、思い返すと「人類の美徳は希望を持つこと」という本テーマに合致しているものの、発生時期が早すぎるせいで夏頃には出番がゼロになる……もったいない……。
そしてもう一つ、純粋にやっぱりファンタジー中世としての世界観の魅力(ユニークさ)がもっと欲しかったなぁとも思う。
世界観に固有設定が少ないこと自体は、カジュアルに世界観を好きになれるメリットもあるものの、9章の展開を鑑みるに、プレイヤーがハーヴェステラの世界に強い愛着を持って、「"この世界を"犠牲にしたくない!」と思えるに越したことはなかったはずだ。
各章の感想
◆4章まで◆
サブイベント乱立のせいで非常にゲームテンポが悪い。朝起きて、畑の世話をして、スイカの種を買って、街中を徒歩で移動してサブイベントを読み進めて、街中を徒歩で移動してサブイベントを読み進めて、街中を徒歩で移動してワールドマップに出て、徒歩で移動しながらダンジョンを攻略する。
夜になった! ダッシュで転移地点まで帰って、徒歩で自宅近辺の採取をしなきゃ……。
スタミナが0になるとボスにトドメをさせないせいでガイスト第二形態に勝てないのは、それはなんか違くない? 回復薬が足りなくて負けるのは条理だけど、攻撃が出せなくて勝てなくなるのは不条理だよ……。
◆5章◆
ここに来て初めて、仲間が「9人の仲間たち」ではない扱いになる。
現実主義者チーム(ハイネ、イスティナ、ブラッカ)と天然チーム(エモ、シェリカ、アジール)、そして哲属性チーム(アリア、ディアンサス)という分け方が本当に良い采配。
ハイネのキャラクターストーリーも佳境だったので、このあたりから各キャラクターへの愛着も湧いてきた(本編より一足先に登場する米国旗……!)
◆6章◆
ニーア:オートマタに素直すぎでは……?
プレイ中は「ニーア:オートマタだなぁ」と思いながら素直に楽しんでいたけど、クリア後の今思い返すと、ファンタジーの序盤とSFの終盤の間に挟まる中盤として、ここまで素直にニーア:オートマタすることある?
嫌いじゃないけど素直だなぁって感想。
こういうのってシナリオライターの意向じゃなくてキービジュアルとかが先行してるのかなぁ、知らんけど。
剣と魔法と魔族の世界に飛ばされて「これ絶対過去だ!」ってなる判断に疑問符が浮かんでいたので、タイムディザスターまわりは別に衝撃的ではなかったかな……。でもキャラ目線だと衝撃的だから、衝撃的な話として描写する必要性がないわけでもないんだよなぁ。
◆7章8章◆
死後高まるガイストの格。
このあたりから「哲属性ってんだよ……」してくる。
このあたりから特に科学やSFを前提にした激論が続くせいで、ファンタジー出身の仲間たちが置いてけぼりではあったと思う。軌道エレベーターから見える地球(地球ではない)を地球(地球ではない)だと認識できてるの、あの中だとハイネだけじゃないか……?
あの場で「人類の美点は…」の話が効いてくるのもハイネしかいないし、比較的リアリスト比率高めな仲間たちではあったものの、さすがに前半と後半のギャップに飲み込まれてると思った。
ちょっとズレた"物語"として理解してそうなのが2人、「命の奪い合いになるらしい」とだけ理解してる人が2人、次回までに資料を集めて来そうなのが1人である。
素直に進めばワープ地帯も楽々進める親切設計なので、ダンジョンがダンジョンである必要って実はないんだなぁと少し感服した。
◆9章◆
デフォルトネームの「アイン」ってそういう(アベル+カイン)……男性名・女性名・中性名のどれでもしっくりくることも含めて、ハーヴェステラ世界を陰で支える縁の下の力持ちみたいな名前。
◆最終章◆
イベント長い、
ダンジョン短い、
ダンジョン手ごわい、
ラスボスがエルデの獣。
いよいよ登場人物の誰もシナリオの規模感について来ていないと思う!
唐突に大きすぎる主語はRPGとしては良くないことだけど、硬派なSFとしては「SFってたまにそういうところあるよね」で済まされると思う。
ここに来て自分のハーヴェステラへの認識がRPGから硬派なSFへと切り替わって、過去のストーリーに対しても結末から逆算で「なるほどなぁ」とか「そうはならんやろ」とか思うようにもなり……最終的に「やっぱり前半と後半はミスマッチだよ!」となった。
主人公の立ち位置は章タイトルで薄々感づいていたけど、アルトネリコやシェルノサージュじゃなくてアルノサージュから影響を受けてる(たぶん)作品って僕は生まれて初めて見たぞ。
面白くなさに直結しない問題点
農業編
「季節と季節の間に死季が来る」「次の死季まで〇日」は明示されるのに、1つの季節が30日交代なのが明言されていない。
作物を加工する際に、売値が上がるのか下がるのかわかりづらい(そもそも各アイテムの金額も把握しづらいけど)。加工時で表示UIがほしい。
農地を整理するタイミングがない。クリアまででもカレノイドが解禁されているせいで、災厄のはずの死季がボーナスタイムになってしまっている。(ただ丸一日探索が出来るのは楽しかったので、単純に「カレノイドはクリア後でよかった」と言いたいわけではない。)
古井戸のモノライト周辺だけやけに不便。その他のモノライトは、転移地点からすぐそばに採取地点があるのに。古井戸の丘から降りるのにカメラを回さないといけないのも不便だった。
生活編
シャトラの酒場前にモノライトを置いてくれ~!
街中でダッシュするのにスタミナ消費は要らなくないですか?
可能なら街中では時間経過ももっと減らしてほしい。
テキストの表示速度が遅い。
ボス戦以外ミュートでプレイしていたので、キャラクターボイスがなかなか聞けなかった。公式サイトのようなゲーム外でも構わないので、ボイスを聞けるタイミングがほしいです。
サブクエストとキャラクターストーリーの解禁タイミングはもっと調整できたと思う。3章4章でほとんど一気に乱立して、メインシナリオの妨害だけして去っていくやつらめ。
クレスは特に早すぎ、アリアは遅すぎ、ディアンサスとユニコーンが丁度だと感じました。各街の仲間たちは、最後にクリアした街基準だと丁度良かったです。
魔族のサブクエストはもっとください。"ハーヴェステラの"サブクエストが読みたいんです。
トトカクの穴掘り、これ要る?
ワールドマップが見づらい。
冒険したい気持ちはあるのに、時間は有限だから何もできない。
隠者の根菜をあたかもレアアイテムみたいに置くのはやめてください。
戦闘編
強制戦闘中でスタミナが0になった時の仕様。
近接ジョブの圧倒的な不遇。ただし戦闘に駆け引きがほとんどないのは、気軽に探索できるメリットも大きかったので、パリィやローリングが重要になるようなシビアさがほしいというわけではないです。
遠距離仲間のちょっとした不遇。仲間に前衛を任せるメリットが大きいぶん、後衛の仲間はちょっと扱いづらかった。
属性のわかりづらさ。波属性と水属性が別物って信じられない。弱点やブレイク属性の表示もわかりづらかった。
ブレイクタイム(みんなで食事する方)(弱点を突いたときのブレイクと紛らわしいね。紛らわしさが常軌を逸してるぞ)を使う機会がないのが残念だった。冒険開始時だと回復が無駄になるし、冒険途中だとバフが無駄になるし、そもそも次のモノライトにたどり着くころには夜だし。
下部インベントリがとても不便。戦闘中に種や木材は使わないし、段ごとに「農業」「食料」「戦闘」…で分けられると便利になると思う。
アイテムの回復量が固定値だから、最終的に全ての回復アイテムが使いづらくなる問題。コーヒー中毒で死ぬっつーの。
おめでとうございます!
賢者の根菜を手に入れた!!